黙して語らない騎士、王都へ行く。19
祝賀会はまさかの展開で・・、騎士と給仕の人、それに関わっていた人がすぐに取り押さえられた。
キラさんと、オルク団長さん、ニルギさんと、ルピスさんがすぐに手分けして騎士さん達を集め、会場の人を避難させつつ、取り押さえた人の尋問と、王様やルーンさんの安全を確保するために動く。
私も部屋に戻ろうとしたが、部屋にいるよりは目の届くところへいてほしいと言われて、女性騎士さんとお茶菓子のあるテーブルに座って待つ事にした。
・・みんなテキパキ働いてるのに、なんかすみません・・。
話し終えたのか、ルーンさんが騎士さんとルピスさんを連れて、こちらへやって来る。・・・あ、キラさんが後ろからじっと見てる・・、仕事、仕事中です!キラさん・・。
女性騎士さんが、さっと立ってお辞儀をするので、私もしようとすると手で止められた。あ、はい。・・・とりあえず座った。
「大丈夫だったか?」
「あ、はい、ありがとうございます。ルーンさ・・・・ルーン様はお怪我は?」
「あ、今は口調は気にしなくていい」
「はぁ・・、あ!そうだドレス!!こんな時になんですが、改めてですけど、ありがとうございました!・・仕事で、目が回ってて・・・全く何もできる余裕がなかったんで、助かりました」
ルーンさんと、後ろのルピスさんが小さく笑う。いや、本当激務だったんですよう。
「・・事務員、送ったろ?」
「事務員の方は、本当ーーに私が言うのもなんですけど、良くやってくれてます。ほら、新人騎士の募集日が重なったんですよ・・」
遠い目をすると、ああ・・と思い出したのか、ルーンさんが静かに頷いた。
あと団長さんが書類提出、ギリギリまで粘るんですよ。
「そっちは相変わらずだな・・」
「こっちは・・大変そうですね」
「・・もう少しで戴冠式もあるからな」
「え?!そうだったんですか?」
・・そうか、だからこんなに警備が充実してるのにも関わらず、狙われたのか・・。でも、最強揃いなのに無謀すぎやしないかな・・?
ルピスさんが、私をじっと見て、
「ナルさん、手首の魔術を見ても?」
「あ、はいどうぞ・・」
さっと立って、ルピスさんに手首を見せるとキラさんの魔法を見ているのか、真剣な目でじっと見つめられるのでちょっと照れ臭い・・。
「・・害意や悪意を感じ取れる・・。最近作った魔術でしょうか」
・・・ドレスにジュース掛けられたんで、さっきですね〜とは言えない・・。
「あ、そうみたいです・・」
「ルーン様、腕に術式を組み込んでおきます」
「ああ、頼む」
そう言うと、ルーンさんが手首を出してルピスさんが、そっと指先から淡い光を出して魔法をかけた。金色の模様が手首にあっという間にできた。
「わ〜、綺麗!ルピスさんのは金色なんですね」
ルピスさんに言うと、ふふっと小さく笑う。
金色の模様が入った手首を、ルーンさんは複雑そうな顔で手首を見つめた。そうだよね・・、害意や悪意なんていつでも感じ取れるの・・嫌だろうなぁ・・。
「私と色違いだけど、お揃いですね!」
なんか、ちょっと明るくなって欲しいな・・
そう思って、ヘラっと笑って話すとルーンさんも、手首をもう一度見て小さく笑う。
「・・・・そう思えば、悪くはないな。お前も気をつけろよ」
私が頷くと、ルーンさん達は祝賀会を別の会場へ移したのでそちらへ行った。
大変だなぁ〜と思って、事件の現場を見ると騎士さん達が調べたりするのがあらかた終わったのか、キラさん達がこちらへやって来る。
「お疲れ様、キラさんもう大丈夫?」
キラさんの側へ歩いていくと、いきなりぎゅっと抱きしめられた。
ちょ、ちょ、ちょーーーーい!!!人!!視線!!私、とても気になりますけど!??
後ろのニルギさんがニヤニヤしてますけど?!!
頼むから、人前だけはやめてくれ。
一句できてしまったが、とりあえずなんとか宥めて離れてもらった・・。