黙して語らない騎士、王都へ行く。16
キラさんの強い決意を目の当たりにしつつ、3時頃になると侍女さん達が着替えの手伝いにやってきて驚いた。
あれ?5時頃から始まるんだよね??
って思ったけど、もう何かを考えることは放棄した・・。好きにして下さい。キラさんが、少し心配そうに見てるけど、大丈夫・・とりあえず行ってきまーす・・・。
頭のてっぺんから、足のつま先まで磨かれて、びっくりした。
王族のお姫様だと朝から磨き上げるらしい・・良かった、一般庶民で・・。私、ぜっっったい王族にはならない。
そうして、ピカピカに磨いて頂いたおかげで近年稀に見る私が出来上がった。すごい!!侍女さん達、すごい!!めっちゃすごい!!テクニック凄いって、しきりに言ったら照れていた。いやほんと、お金取れるよ?商売始めたら?って思っちゃう・・。
そうして、キラさんが選んだドレスとやらが運ばれてきた。
薄い淡い水色がベースのドレスで、肩の空いたデザインだった。胸の辺りからウエストまでを銀色の花の刺繍がされていて、スカートの部分はチュール素材になっていて、裾をふんわりと広げている。アクセントに濃いグレーのリボンが腰にアクセントのように結ばれていた。
・・・・・・・これ、相当お高いんでは???
だって、デザインはキラさんが選んだとはいえ、ルーンさん・・王族だよね?このクオリティ・・、その辺のペラッペラに安いネットショップのような質じゃないよね・・?
運んできた侍女さんも、着せてくれる侍女さんもうっとり見てるけど・・、え、お礼言わないとだな・・これ。キラさんに、警戒レベルをいかに下げさせるかが課題だな・・。
そうして、侍女さんに着せてもらって髪も結ってもらった。
これもすごく素敵だった!!
「髪が長い方は珍しいので、私共も腕が鳴りました!!」
そう言って頂けると嬉しいです・・。えへ。
着替えが終わって、キラさんの待っている部屋へ行くと・・
キラさんは、濃いグレーのジャケットと細身のパンツを履いていた。銀色の刺繍が袖口にさり気なくしてあって、銀色のカフスを付けていた。
言っていい??
格好いい!!!王子だったの?うちのキラさん???
後ろでため息、第二弾の侍女さん・・私もそっちに行くわ。そっちから見たい・・。
キラさんは、私の方を見ると・・表情筋が動いている。
水色の瞳がキラキラしながら私を見てる。
めっちゃ嬉しそうだ・・。
キラさんは、側へ寄ると嬉しそうに見つめる。
「・・似合ってる」
「・・・・ありがとうございます・・。キラさん、選んでくれたんですよね?あの、嬉しいです・・・。忙しくて、何もできなかったので・・」
前半は、照れ臭かったけど、後半は団長さんに「書類まだですか?提出早くー!!」って言いながら駆けずり回っている記憶になってしまって、遠い目になった・・。こんな時まで団長さんを思い出したくなかった・・。きっとそんな話をしたらニヤついていくだろう。
キラさんのスーツを見て、ふと・・
「キラさん、濃いグレーなんですね〜、白とか紺のイメージでした」
「ナルの色にしたくて・・」
「へ?」
もう一度スーツを見ると・・確かに濃いグレーなので私の髪の色にも似ているかも・・。あ、じゃあ、昨日のはキラさんの色だったけど、今日は私の色って事なんですね?そうですか、そうですか・・・・。
「・・・・・キラさんも、似合います・・」
もちろん言いましたよ。
でも、理由を聞いちゃうと、思いっきり格好いい!!!とは言えないというか・・、照れ臭いというか・・。ちょっと顔が赤くなってしまうではないか・・。
キラさんはポケットに入れておいたのか、花のイヤリングを私に付けてくれて、私を見ると大変満足そうに静かに無表情で頷いた。
・・・・晩餐会とか、どうなってしまうんだろう・・。
キラさんに見つめられすぎて、きっと私の顔には風通しのいい穴が開きそうだ・・。