黙して語らない騎士、王都へ行く。13
試合が終わると、庭園でお茶会に出席したり、騎士団の元へ行く人と、帰る人・・様々だった。
私達は、もちろん庭園へと誘われた・・。
ええーー、行くの〜〜??思いっきり顔に出ていたのだろう・・。ニルギさんが、ぶっと吹き出す。
「騎士だったら、そんな顔をしたらダメだぞ?」
「・・見習いなので、まだ無理ですー」
ニルギさんと私の会話を聞いて、ルピスさんがクスクスと笑う。
ルピスさんも、ルーンさんの警護のために庭園へ向かうので一緒だ。騎士さんに案内してもらうけれど、私の格好もあって注目を浴びている。
「・・隊服着るなんて、信じられないんですかね?」
「普通は、めかしこんでアプローチするからな」
「ああ、なるほど・・・」
ニルギさんは、面白いのかニヤニヤして私を見る。
「後で写真を撮りたいんだが・・」
「私は高いですよ?」
そう言うと、ついに笑い出した・・。失礼な。演習場の入り口に着いて、キラさんに一声かけてから庭園へ行こうとすると、女性陣に囲まれたキラさんがいた。す、すごい!!リアルで囲まれている人、初めて見た!!びっくりしていると、ニルギさんがニヤニヤしながら私を見る。
「・・・騎士のフリして、行ってもみてもいいですかね?」
「面白いから、ぜひ!」
「団長さんに言わないでくださいよ?」
一応、釘を刺してからタタッとキラさんの方へ駆け寄ると、キラさんが私を見つけると、
「仕事が・・」
そう言って、私の元へやって来る。
ちょっと複雑な顔をして、私を見るので私は面白くなってしまって、ニコニコだ。
「・・・ナル、その格好・・」
「えへへ〜〜!どうですか?似合いますか?団長さんに貰って、こっそり持ってきたんですよー!」
ヘラっと笑って、敬礼をしてみた。
「お迎えにあがりました!この後、どうしますか?」
キラさんは、ふっと小さく笑って私の頭に手を置くと、耳元に顔を寄せる。
「・・姫と、お茶会へ」
低い声で囁くから、思いっきり後ろへ後ずさった。いきなりの低音ボイスはやめて頂きたい所存です!!顔が赤いのであろう私をキラさんは少し見つめると、支度をするから一緒に来て欲しいと言うので、ニルギさん達に後からキラさんと行く事を伝えて、先に行ってもらった。
ニルギさん達に伝えて、キラさんに駆け寄っていく私をキラさんがじっと見ている。何かあったのかな?
「キラさん、どうかしました?」
キラさんは、そっと私の手を繋ぐと、後ろで女性陣の悲鳴が聞こえる。おおー・・、すごいなぁ・・。目を丸くする私を、気にせずキラさんは手を引っ張っていく。
演習場の控え室だろうか、そこへ一緒に入っていくと、キラさんは扉を閉めて私を見る。
「・・・何か、怪我はないか?」
「へ?怪我?何もないですよ?」
「・・・ドレスは・・」
「ああ、ええと・・ちょっとぶつかっちゃって・・汚しちゃって」
と、言っておかないと恐ろしい事が起きそうで・・。
ここは、全力で誤魔化します。
少し眉を下げて私を見るキラさんは、多分わかってるだろうけど・・。今回はせっかくのお祝いの席だし、事を荒立てたくないし・・。
そう思っていると、キラさんがそっと抱きしめてきたので、そういえば勝ったのに何も言ってない事を思い出して、ちょっと私も抱きしめてキラさんを見上げる。
「・・キラさん、試合すごく格好良かったです!えっと、おめでとうございます・・」
キラさんは、私の一言ではっとする。
いや、今思い出したでしょ?言われるまで、私の事で頭いっぱいだったでしょ?
思わず、笑ってしまって・・キラさんが複雑な顔をする。ごめーん。
キラさんは笑う私の顎を掴んで、ちょっと上に向けると、チュッとキスする。
「き、キラさん!!」
「優勝祝い」
「い、いきなりとかは・・」
びっくりするんですけど?って思ってキラさんを見ると、少し面白そうに私を見る。照れてる私なんて、いつも見てるのに・・。キラさんはぎゅっと更に密着してきて、私の顎を掴んで離さない。う、うわわ・・
「・・もう一度」
無理!!格好いいから無理!!
そんな言葉は、結局キスで塞がれてしまう結果となった・・。