黙して語らない騎士、王都へ行く。10
朝から侍女さんが来て、お着替えを手伝ってくれました。
ええ・・・、私、絶対王族にはなれないし、貴族も無理だな。
シンプルなドレスだけど、薄い淡い水色にキラさんが常時くっ付いている気分だ・・。キラさんを見上げると、嬉しそうに微笑んでいる。・・・・ご機嫌が良くて良かったです・・。私は大変照れ臭いですけど。
美人は3日で飽きるって言うけど、本当なの?
飽きない、格好いい、むしろもっと魅力が増してる気がする。ちらっと見上げつつ、朝食を食べるけど・・キラさんの魅力って天井知らずなんだろうか。侍女さんが今日もうっとりして見てるし・・。
食事が終わると、キラさんは親善試合のために王都の騎士団へ行くらしい・・。ニルギさんが、部屋へやって来て
「どれどれ、姫の護衛を代わるよ〜」
と、ニコニコしているニルギさん・・。
キラさんは静かに頷くと、頬にキスしてくるからびっくりする!ひ、人前なんですけども!!!?日本人は、そういうの慣れてないんですけど???ニルギさんはニヤニヤしてるし、私は真っ赤になるばかりだ。
「・・行ってくる」
「行ってらっしゃい・・・」
ちょっとキラさんを睨むように返事した。
人前は嫌だって、もう一回言っておこう・・。キラさんが甘いのは二人だけの時だけに留めて欲しい・・。心臓に悪いし。
キラさんが出かけて行くと、ニルギさんが親善試合が見られる場所まで一緒に連れていってくれた。庭園でやるのかと思ってたけど、その隣の広い演習場でするらしい・・。
庭園でお茶会もあるらしいけど、私は試合を見ていた方がずっと心休まる。
長い廊下を二人で歩いて行くと、演習場に向かっている人達が見えた。
石の回廊が、お日様の光を浴びてなかなか幻想的だ。
ニルギさんは、庭園の方をじっと見て・・
「美味しいお菓子・・あるみたいなんだよなぁ」
「・・・ニルギさん、お菓子食べに行く気満々ですね・・」
私は、ジトっと見てしまう。
「・・まぁ、試合見るだけなら特に何も起きないと思うし、お茶菓子、今のうちに堪能してきて下さって大丈夫ですよ?」
「ウルキラ、また魔法掛けてあるしな」
「え?!!また??いつの間に???なんの魔法ですか?」
ニルギさんは、面白そうに笑いつつ演習場へと一緒に入っていく。本当に何の魔法ですか・・・。キラさんプロテクトがどんだけ私に付いてるのだろう・・。何か命に関わることがあったら、キラさんの命を引き換えになっている魔法を最近、ようやく解除してもらったというのに・・。
演習場は、コロッセウムのようになっていて・・、よく見える場所が王族の場所なんだろう。私達が入ってくると、王都の騎士さんだろうか・・駆け寄ってきて、案内してくれた。
座る場所まで決まっているんだなぁ・・、そう思って椅子に案内されるとルピスさんが近くにいた!目が合って、手を振ると小さく笑って、こちらへ来る。
「・・おはよう、昨日は大変だったな」
「・・・・おはようございます。そうですね・・頑張りました」
私が遠い目で話すと、ニルギさんが、ぶっと吹き出す。・・・見てましたね?へなちょこダンス。ルピスさんは、小さく笑って「こちらへ座っても?」と聞くので、頷くとニルギさんに挟まれて座る。あ、ちょっとVIP感すごい・・。
「・・・ウルキラも、嬉しそうでしたね」
ルピスさんが小さく話すので、ちょっと照れつつ静かに頷くと、ルピスさんはニルギさんを見て・・
「・・ニルギ殿が、ウルキラの親になってくれて、嬉しいです」
私は思わずニルギさんを見ると、ニルギさんは少し驚いた顔をしてから、静かに微笑む。
「・・・どういたしまして」
それだけだったけど、ルピスさんは色々伝わったのか、静かに微笑んで演習場の真ん中をみる。キラさんや騎士団の人が並び始めている。
キラキラ光る銀髪が、こちらを見ている気がする・・。
私もキラさんを好きなニルギさんも、ルピスさんも見てますよ〜!何だかくすぐったいような嬉しい気持ちで、そっと手を振ってみた。