黙して語らない騎士、王都へ。5
ダンスの練習をしてみたけど、難しい・・。
世の中の王族を見習うよ。
騎士団もトップになると、どうしても練習しておかないと何かあった際にエスコートできないそうな。
はーー・・・・大変だな。
あっという間に、夕方前に侍女さん達がぞろぞろやって来て、私はドレスのお召替えのために連れて行かれた。着替えが自分でできないドレスってなんなの?って思ったけど、ドレスは着れた・・。ただ、髪とかメイクとかあるんだね。
凄い!!3割り増しくらいになった!!
と、思って着替えたキラさんを見に行ったら、キラさんも私に合わせたスーツを着ていたんだけど・・滅茶苦茶格好いい・・。私は、おまけだな。おまけ。
白いジャケットに銀色の刺繍が袖口や、ジャケットの襟に施されていて、薄い水色のタイをしめているんだけど、銀色の髪と水色の瞳を更に魅力的に引き立てていた。
私の着替えを手伝ってくれた侍女さん達が、ほぉっ・・とため息ついてた。わかる、わかるよその気持ち。
私のドレスも、キラさんに合わせて白いドレスだけど銀色の刺繍がしてあって、スカートの部分は銀色の薄いチュールみたいなの?が重なっていた。あ、これはもうキラさんセレクトですよね?俺色に染まれ的な??
キラさんは、私を見ると嬉しそうに微笑むので、後ろの侍女さん達が小さく騒いでいる。わかります・・、私もそっちに混ざりたい・・。
キラさんがそばに来て、耳元でそっと囁く。
「ナル・・綺麗だ」
「・・・・・キラさん、今、それはやめて下さいね・・」
「なぜ?」
「・・・格好いいからに決まってからじゃないですか・・」
目線を逸らしつつ、そう答えるとキラさんは益々嬉しそうに笑うので、心臓がバクバク言ってる。うう、キラさんの格好いい姿、大変よろしくない・・。顔を触った時に、ふと思い出す。
「あ、そうだ!キラさんに貰ったイヤリング着けようと思ったんだ」
「・・・花の?」
「こういう時じゃないと、着けられないし・・」
「・・ああ」
テーブルに小箱を置いていたのを忘れていたんだ。
スカートをちょっと摘んで、テーブルの方へ行こうとすると、キラさんに制止されてピタッと動きを止めると、キラさんがさっとテーブルから小箱を取って持って来てくれた。
「あ、ありがとうございます・・」
キラさんはイヤリングを一つ持つと、私に小箱を渡す。
あ、着けてくれるって事かな?
ちょっとキラさんが着けやすいように、耳を向けるとキラさんが綺麗な指で一つ着けてくれたけど・・、これ、かなり照れますね・・。後ろで見ている侍女さん達の視線が突き刺さるようだ・・。
「キラさん、もう一つは自分で」
「つける」
「あ、はい」
キラさんの意思は固いらしい・・。
私が体の向きを変えると、キラさんがもう一つも付けてくれた。
「で、できました・・?」
「ああ」
嬉しそうに微笑むキラさんが満足してくださって良かったです・・・。
私は、なんというか顔が大変熱いですけど。
キラさんは、小箱を受け取ってテーブルに置いてくれると、腕を出してくれた。
「あれ?もう行く時間ですか?」
「そうだな」
「・・・・では、行きますか・・・」
「ああ・・」
夕食会がどんなものかは知らないけど、キラさんがいるし・・なんとかなる!そう思って腕に手を添える。
侍女さんが、さっと扉を開けてくれて二人で歩き出すと、扉の前にニルギさんがいた!綺麗な濃紺のローブを着ていて、すごく素敵だ。
「ニルギさん、ローブ素敵ですね!私、そっちが良かったかも」
「ダメだ」
「キラさん、早い・・早いです・・」
ニルギさんは、笑いを噛み殺しながら私達をみる。
「なかなか似合ってるじゃないか。もう一回結婚式するか?」
「けっ・・・・!」
ニルギさんの一言に、いよいよ顔が赤くなる私を見たキラさんは、私を見て小さく頷くけど・・結構ですよ?結婚式は一度でいいですからね???