黙して語らない騎士、王都へ行く。4
何かっちゃー着替えるんだね、王族様とか貴族様って。
お茶飲んで休憩したら、夕食のためにドレスのお着替えに侍女さん達がまた来てくれるそうな・・。
そうして、豪華なティーセットが用意された部屋で私は周囲を見ては、ため息をつきそうになる・・・。
物凄く煌びやかな部屋で、私はただでさえ肩身が狭い思いをしているのに、向かいに座るキラさんは豪華なソファーに座って優雅にお茶を飲んで寛いでいる。
・・・・・・すっごい様になってる〜〜!!!!
「・・・ニルギさん、まだ魔術談義しているのかな」
「・・・なぜ?」
「キラさんが、今、最高に格好いいので写真を撮りたいんです!そんな豪華なソファーに座っても、様になっちゃっていて・・格好いい!!写真とっておきたい!!って、思ってるんです・・」
キラさんが、ちょっと目を丸くして私を見る。
「・・・すみません、ちょっとあまりに別世界へ来て、混乱してテンションが可笑しいのかもしれません・・」
ちょっと横目でキラさんを見ると、小さく笑う。
「・・確かに、別世界だな」
「キラさんは、お城へ来た事はあるんですか?」
「魔物の討伐で成果を上げた時にな」
「ああ、なるほど・・」
フランさんがキラさん、武勲がいっぱいある・・みたいな事、言ってたもんね・・。そう考えると、キラさんは凄いのに偉ぶった事をしないで、真面目にお仕事しててえらいなぁ・・。
「写真・・」
「はい?」
「今、撮るか?」
「キラさん、単体ですか!?」
小さく首を振った・・・。
あ、はい、一緒じゃないと撮りたがらないもんね・・。カップを置いて、キラさんの横に座るとキラさんは嬉しそうに笑って、少し自分の方へ寄せる。うう、これ、照れるな・・。
キラさんが指を上げた方を見上げると、キラさんが頬にキスした。
「き、キラさん!!!」
「・・・ナル、可愛い」
キラキラした瞳で私を見る。ご、誤魔化されるもんか!!
ヒラっと写真も撮っておいたのだろう。空中から下りてきたのをキラさんがキャッチしたので覗き込むと、私の頬にキスしているキラさんと私がいる。
「や、ヤダヤダ〜〜〜、これめちゃくちゃ恥ずかしいじゃないですか!」
「・・・俺が持っている」
「・・・キラさんに見られるのが一番恥ずかしいんですけど」
・・・しかし、誰にも見られない事は、間違いないだろう。なにせキラさんだ。私の事に関しては死んでも見られないよう魔法をかけていそうだ。
キラさんは、嬉しそうに笑って写真を胸ポケットにしまう。
もしやキラさんも、ちょっとテンションいつもと違う?
仕方ない、キラさんに見られるのは恥ずかしいけど・・、人目に晒さないのであればいいや。ため息とつきつつ、豪華な窓の外を見る。
綺麗なお城の庭園が見える。
明日の午前中は軽いお茶会があって、午後に武勲を立てたお祝いをするらしい・・。それだけでいいと思うけど。
「・・・とりあえず、夕食は食べるだけだし・・頑張ろう」
「ダンスもある」
「・・・え?」
だ、だんすだと・・・・?!!!
私は、キラさんの顔を凝視した。
いや、踊れないって言ったよね?団長さんの結婚式で教えてもらったステップしかできないよ???あ、でも踊らなくてもいいのか?そう思ったら、キラさんは・・
「踊る。マナーだ」
「ここに来て、マナー!!!!そしてまた心を読みました?」
痛恨の一撃!
あまりに忙しすぎて、何もかも知らなかった・・・。
キラさんをちらっと見上げ、
「・・・キラさん、付け焼き刃ですけど・・、簡単なステップ教えて貰えますか?」
そういうと、無表情のキラさんの後ろからパアッと光が輝いて見えた。あ、嬉しいんですね。すごく嬉しいんですね・・。
キラさんは、私の手を取るとすっと立ち上がり、
「・・・姫、こちらへ」
低い声で、突然王子様のようにエスコートするので、私の顔は真っ赤になった。
キラさんは、表情筋が動いて美しい顔で笑った。心臓に悪い。