黙して語らない騎士、王都へ行く。1
私もキラさんも、あんまり買い物をしないんだけど・・、ドレス!!と息巻いている(無表情)のキラさん・・、買った事あるの?思わず聞いたら、真面目な顔で、
「ない」
「でしょうねー・・・。困ったなぁー、ドレスコードとかまったく分からない・・。とりあえずラフさんに聞いてみます。あそこ本物の王族出身ですし」
すっごい軽く言ったけど、何気にすごい人なんだよね・・ラフさん。
キラさんは、静かに頷くけど選ぶのは自分だというオーラがすごい。記念写真撮った時も、結構真剣だったもんな〜・・。キラさんの本気を一旦落ち着けてもらって、執務室へ戻る。
執務室へ入ると、団長さんがすっごくいい笑顔だ・・。
あ、はい・・、キラさんが行くって確信してますね。その通りですよ。
ニルギさんも面白そうに笑わないの!
「・・キラさんも行きます・・けど、あとですね・・、ドレスコードあるんですよね。全っ然、分からないんですけど・・ラフさんはどちらにいるか知ってます?」
「ああ〜・・・、女性はあるね〜・・」
団長さんが、そういえば・・みたいな調子で思い出したけど、女性ってのは大変なんですよ。ニルギさんは、お茶菓子を呑気に食べて「ローブはダメか?」って言ってますけど・・できれば、そっちがいいな・・。
と、ラフさんが良いタイミングで、執務室へ書類を持ってやって来た。
「ラフさ〜〜ん!!お願いというか、お聞きしたいことがあるんですが・・」
「・・・?どうした?」
「王都のご招待を受ける事になったんですが、ドレスコードがさっぱりです!」
「・・・・・・ああ」
若干遠い目になっている・・。
王族でも、遠い目になっちゃうの?女性のドレスコード・・。怖いよう。
「ルーンに言っておけば、ドレスの手配はしてくれるぞ。急な招待だしな」
「え?二週間後って、急なんですか?!」
「・・・大体、一着に二、三ヶ月かける時もある。貴族なんかはある程度、パーティーの予測を立てて作っておくな」
「・・・・いっそ隊服借りていいですかね?」
ニルギさんと団長さんが、同時に吹いた。良いアイデアじゃない?
ラフさんは、笑いをこらえつつ、
「それでは、ウルキラが嫌がるだろう。好きな色と形をざっくり教えてくれれば、頼んでおく。」
「色はわかるけど・・か、形・・・・・」
もう隊服でいい。
膝から崩れ落ちそうになると、リルケさんに頼んで形の見本を持って来てくれる事になった。有難いしかない・・。キラさんにはその辺りで納得して頂こう。すみませーん、ルーンさんドレスお願いしまーす。王都側に言っておいた。
夕方、仕事を終えてキラさんの迎えに行く。
訓練場では、今日も騎士さん達がへばっている・・。暑いもんね〜・・・本当にお疲れ様です!
キラさんは嬉しそうに私を見る。
うん、今日もうちの旦那さんはキラキラしていてカッコイイ。私も手を小さく振る。
一緒に歩いて帰る道すがら、ラフさんの話をすると案の定複雑そうだったけど、色も形もキラさんの好きなように選んで欲しいと言った。
「・・ただ、キラさんに貰ったお花のイヤリング、つけていきたいんですよね・・。それに合うのがいいなぁ・・なんて」
あ、ちょっと照れるな・・。
俯きつつ話すと、キラさんは繋いでいる手をぎゅっと握って嬉しそうに笑ってくれた。照れるな・・、うん。
「・・・いざとなったら、隊服でもいいかなって思うんですよね。なんちゃって女性騎士みたいでいいかな〜って!」
と、話すとキラさんは静かに首を横に振った。
え、やっぱりダメかな・・、いいアイデアだと思ったんだけど。
キラさんを見上げると、何も言ってないのにまた首を振った。そんなにか・・、そんなにダメか。