黙して語らない騎士、王都へ行く。
まさかの妊娠かも?!騒動で、一時騒然とした執務室・・。
改めて事情を話した時の、一同の爆笑っぷりは思い出したくない・・・忘れてやる。あと牛乳はしばらく飲まない。
少しシーヤも涼しくなってきた頃、王都のルーンさんから、シーヤ騎士団と、王都の騎士団が今回活躍してくれたのでお礼を兼ねたお祝いをするから来て欲しいと、王都へご招待の手紙が届いたらしい。
団長さんは、その招待状を机の前に置いて腕組みしてる。
お茶を机に置いて、団長さんと目が合ったので、
「団長さん、行ってらっしゃーい。お土産よろしくお願いしまーす!」
「・・・・嫌だ・・行きたくない・・」
「何、キラさんみたいな事言ってるんですか?おめでたい席でしょ?」
「・・面倒くさい」
・・・そういう所、キラさんと似てるな。上司と部下って似るのか?いや、似ているから、ある意味上手くいってるのかもな。
「新人の騎士の募集もしないとなのに〜〜」
「忙しいですね」
「ナルさん行きたい?」
「絶対嫌ですね。ルピスさんには会いたいですけど」
「じゃあ、行って」
「嫌です」
二人で押し付け合いをしていると、ニルギさんがソファーでお茶を飲みつつ私達をみる。
「・・私が行こうか?とりあえず働いたし、王都へも顔は売れてるし、出かけてもいいぞ?」
私と団長さんは目を丸くする。だって、面倒臭い事が一番嫌いなのに・・!!!自ら行きたがるなんて珍しい!!!ニルギさんは、にっこり笑って私を見ると、
「ナルも行こう」
「え??私ですか???」
「ルピス殿に会いに行こう」
「え、でも・・私が行くという事は・・」
絶対、確実に、キラさんが付いてきますけど・・・?それが狙いでしょうか?
ニルギさんは、猫のようににっこり笑って、
「転移の魔術がようやく出来上がってな・・、王都までひとっ飛びだ。楽しいぞ!」
「あ、移動に日数が掛からないんですね・・、そこは便利ですけど・・、私は完全におまけですけど・・いいんですか?」
「ああ、楽しそうだしな」
・・・そ、そうなのか?
団長さんはニルギさんを訝しむような顔で見ている・・。
「・・・ニルギ、何企んでるんだ・・・?」
「いやぁ〜何も?」
ニルギさんと、団長さんが見つめ合うけど・・怖いです。この二人。
団長さんは、はぁっとため息をついて私を見る。
「じゃ、団長命令でーす。ニルギと王都まで行ってきて下さ〜い。ウルキラが付いていくって言ったら、一緒にお願いしまーす」
「ちょ!!!それ、ずるいですよー!!!」
「だって、僕団長だもーん!」
ギャアギャアと喚く私達を、フランさんとライ君は生温かく見守っていた・・。ううう、そんな・・・。
お昼の鐘が鳴ったので、訓練場へ昼食を持ってキラさんの所へいく。
キラさん・・、どうするかなぁ・・いつもの木陰に行って、午前中の経緯を話すとキラさんは少し考え込む。
え、すぐについていく!っていうと思ったのに・・珍しいな。
ああ、でも・・・王都にはあまりいい思い出がなかったんだよね・・。それじゃあ、ニルギさんと一緒に行って、さっさと帰ってくればいっか。
「・・・・ナル」
「はい」
「・・服を買いに行こう」
「・・はい?!」
「あとは、アクセサリーだな・・」
キラさんから、聞き慣れない単語が連発して頭が一瞬混乱した。っていうか、初めて言ったな・・そんなセリフ!
「な、何でですか??」
「・・・王都の祝賀会はドレスコードがある。普通のパーティードレスでは出席できない」
「あ、そうなんですね・・面倒ですね」
キラさん若干目つきが鋭い・・。
「ドレス姿のナルを・・・、見たい」
そっちかー!!!そっちだったかー!!
嫌な思い出とか考えたけど・・・そういう人じゃなかったね・・。
目元を赤らめて言うけど、キラさんの変わらない私を好きな感じは変わるどころか、マシマシだ。今日もマシマシだ。