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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
155/566

黙して語らない騎士、大慌て。


キャンプから帰ってきて、一週間。


・・・やってしまった・・。

古い牛乳を、大丈夫かな?って思いつつ飲んだのが、まずかった・・。気持ち悪い。ムカムカする。吐き気があるけど、今日の書類だけは、団長さんに確認して提出しなきゃいけない・・。


提出して、確認してもらったら今日は帰ろう・・。

キラさんがトイレから出てきた青い顔の私を心配そうに見る。


「・・・休んだ方がいい」

「・・私もそうしたいけど、今日提出期限のある書類だけはやっておきたいんだ・・、ごめんねキラさん・・、心配かけちゃうけど・・、今日はそれだけやったら帰りますんで・・・・」


・・・自分の中に、こんな社畜魂があったとは・・。でも、あれは引き継いでない分だからな・・。

キラさんは真剣な目で、


「おぶっていく」

「・・・いや、キラさんの背中にリバースしたくないので、根性で歩きます・・・。気持ちは受け取っておきますから」


ごめんよ・・、本当にごめんよ。

心配するキラさんを横目に一緒に出勤する。うう、気持ち悪い。

詰所前で別れると、キラさんは何度も振り返って私を心配そうに見ていた。す、すみません・・。古い牛乳のせいです。


執務室の階段さえも辛い・・・・。

青い顔をして執務室へ入ると、団長さんが驚く。


「ナルさん、真っ青じゃん!!大丈夫なの??」

「・・・すみません、全然大丈夫じゃないので、この書類だけ確認して頂けたら、今日は帰ります・・・」


そっと書類を渡すと、ぐっと吐き気が来る。

慌ててトイレへ走ると、途中でニルギさんに会ったけど、トイレまでダッシュした。


・・・セーフ・・。

間に合ったよ、ちょっとスッキリして口をよくゆすいでから、執務室へ戻ると一斉にみんなが私を見る。


・・・・え?

何・・・???


ニルギさんが、静かに近づいてきて肩に手を置くと、


「ナル、今日は早く帰りなさい。体は大事にしないと」

「あ、はぁ・・・?」


ちょっとスッキリしたし、そのまま働いて帰ろうと思ったんだけど・・。ライ君は、私を心配そうに見つめて、


「ナルさん、今は無理しちゃいけない時期ですよ・・・」


ライ君の隣にいるフランさんが、静かに頷く。あ、そ、そう???仕事・・、まだ残ってるけど?団長さんは、私をじっと見つめて、


「団長命令です。今日は帰ってとりあえず病院行ってきなさい」

「あ、命令・・、珍しいですね。じゃあ、そこまで言うなら・・?お、お疲れ様です」


なんか・・皆、嫌に真剣な目つきだったな・・そう思って、家に帰る途中、病院に寄って診察を受けた。案の定、「古い牛乳なんて飲むな」と言われて、綺麗な看護師さんから整腸剤をもらった。


薬を飲んで、ベッドに入ると大分体が楽になってウトウトしていると、階段を駆け上がる音が聞こえて、ドアをバタン!!と思いっきり開ける音がして目が覚めた・・。


キラさんが、息せき切って部屋へ入って来るので、目を丸くする。


「・・・え??キラさん、お仕事は???」

「ナル・・」

「は、はい・・・?」


ど、どうしたの??何かあったの??一気に緊張が走る。


「・・・赤ちゃん」

「・・・っへ?」


キラさんの口から、全く聞いた事のない単語が出てきて、首をかしげる。なぜ、赤ちゃん・・???疑問符が浮かぶ私にキラさんが私の側へやってきて、ぎゅっと抱き寄せる。


「・・・一人の体じゃないから・・」

「え?私の体に誰かいるんですか???」


キラさんが、私をそっと離して不思議そうに見る。


「・・・ニルギ達が、そういった・・」


「え・・、あ!!もしかして、吐き気があったんでトイレに駆け込んだの見て、妊娠したと思ったのかな??・・すみません・・、あの、古い牛乳を昨日、飲んじゃって・・、ただの食あたりです・・・・けど」


あと病院へ行って、念の為調べてくれた上で食あたりという診断でした。


キラさんは、ホッとしたようなちょっと残念そうな複雑な顔をしていた。そんな顔もできるんだ・・、初めて知った。あ、そうか・・でもキラさん心配してくれたのか・・、嬉しくも思ってくれたのかな?そう思ったら、頬がにやける。


キラさんの手を握って、見上げるとキラさんはまだ心配そうに私を見つめる。



「・・心配かけてごめんなさい。でも、残念だけどえーと、赤ちゃんはまだですけど・・いずれ、その・・、来てくれたら嬉しいな・・とは思ってますよ・・」



うう、ちょっと照れ臭い。

キラさんは嬉しそうに笑って、私を見るけど・・、顔が赤いと思うので勘弁して欲しい。キラさんは、私の頬をゆっくり撫でると、頬にキスする。キラさんの瞳を、私もじっと見つめるとキラさんはにっこり笑って・・



「じゃあ、今・・」

「いや、何が???!!!」



思いっきり部屋で叫んだ私は、何一つ悪くない。

そう思っている。




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― 新着の感想 ―
[一言] (^・ェ・^)(^._.^)(^・ェ・^)(^._.^)ウンウン すごいかわいいこと言ってて押し倒したくなるのわかるけど、食あたりで体調崩してる人は休ませてあげなきゃね(;A´▽`A ナル…
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