黙して語らない騎士、キャンプでの仕事に不満。
翌日も快晴で、午後から昨日行ったポイントをもう一度見回りするので、午前中はフリータイムらしい。朝、がっつり走り込みをしている時点で、フリータイムの概念を疑うけど・・。
キラさんは、団長さんと午後の話し合いをするので一緒に団長さんの所まで歩いていく。途中、川で釣りをしている騎士さんもいて、釣れたら昼に食べよう!と盛り上がっていた。
「なるほど〜、釣りもいいですね・・」
「そうだな・・」
キラさんも釣りをする様子を見るけれど、私が川の近くへ行くとまた滑るんじゃないかと思うのか、遠ざけられる・・。大丈夫ですって・・。
団長さんのテントの前で、すでに団長さんは折りたたみ椅子に座って書類を読んでいた。お疲れ様です・・。キラさんはそちらへ行き、私はそばにいたフランさんの所へ行く。
釣りの話をフランさんにすると、
「この辺は、結構釣れる場所ですからね〜」
「フランさん、島国って事は、釣りとかもやってました?」
「どちらかというと、銛で突いて採ってましたね〜」
「・・・・結構、ワイルドだったんですね」
こんなにのんびり、ふわふわな感じなのに・・。
「そろそろ、実家にも一度顔を出さなきゃなぁ〜と思っているんですが・・、なかなか時間がなくて・・」
「そうですね〜・・、忙しいですもんね」
そう言って、二人で書類を読んでる団長さんを見ると、団長さんがジトーっとこちらを見てくる。
「・・・すみません・・・。でも、本当フラン、実家には気にせず遊びに行ってくれよ?やだよ、僕・・、あっちからのクレーム・・」
「フランさん家、何かあるんですか?」
「僕、実家は結構なお金持ちなんで・・」
「お金持ちなのに、銛で魚をゲット・・・」
「田舎でしたから、結構緩い感じでしたね〜・・。まぁ、銛は武器になりますし」
・・・・いえ、できればお魚を採るに留めて欲しい・・・。
そうかぁ〜、なんというか時々感じる品の良さは、お金持ちゆえなのかな?フランさん、何気にまだ色々知らない事多いなぁ・・。
「まぁ、もし良ければウルキラさんと遊びにいらして下さいよ〜。ソマニ、海が綺麗なんですよ〜」
「いいですね〜!行ってみたいです!!」
キラさんをちらっと見ると、静かに頷いている。おお、珍しい。
団長さんは、やってられんとばかりに書類を読んでいると、魚が団長さんの足元に飛んできた。
魚???
向こうを見ると、騎士さんが釣った魚の釣り糸が切れて、こっちまで飛んできたらしい・・・。騎士さんが謝りながら、手を振っている。団長さんは、魚をヒョイっと持ち上げて、騎士さんの方へ投げると、
「・・・・はぁ、どこに行ってもガキばっかだ・・」
と、呟くからフランさんと笑ってしまった。
騎士さん達の、そういう面も良いところだと思いますけどね。
昼食は、魚釣りした人が捌いて焼いて回ってくれた!
炭火で食べるのは初めてなので、すっごい嬉しかった上に、美味しかった!!隣にいるキラさんに、
「私、炭火で焼いた魚初めて食べました!美味しいですね!!」
そう話すと、キラさんも嬉しそうに笑った。
釣り、してみたいなぁ・・。ビチビチ動く魚を掴んで、捌けるか・・そこが問題だけど。
そうして、午後は昨日のポイントへキラさん達は出かけていった。
え?キラさん・・・?
一緒がいいって言ってましたけど、無理です!怖いです!!蜘蛛は苦手だし、足手まといになるのも嫌だし、お仕事の邪魔もしたくない。
「夕飯、フランさんとライ君で作って待ってますから・・」
そういって、やっと納得して頂けたような、そうでないような???
団長さんが笑っていたら、他の騎士さん達に「団長が来てくれないと嫌ぁ!!」「怖い!!ウルキラ副団長の目が怖い!!」と、半泣きで縋られて、引きずられるように一緒に行った・・・。
「なんでーーー??!!」
って、叫んでたけど・・、訓練なんで一緒に行って下さい・・。
静かになった野営地で、私達はのんびり夕食作りをしてまーす。