黙して語らない騎士、キャンプで愛でた。
ウルクさんと、ライ君とキラさんと焚き火を囲みながらお茶するなんて、滅多にない機会なので・・ちょっとワクワクする。
「そういえば、ニキ君やフィアナさんお元気ですか?」
「うっす、すごいどっちも可愛いです!!」
おお、ウルクさんの隠さない気持ち・・清々しい!
横でライ君がじっと横目で見つつ、お茶を飲む。
「・・・フィアナさん、兄の気持ちを先日受け入れまして・・、今度ちゃんと式を挙げるんです」
「え?!!そうなの??」
ウルクさんは、仮初めの夫婦でいいからニキ君を一緒に育てよう!って言って、いきなり籍を入れたんだけど・・。すごい、割とそんなに経っていないのに・・。
「はぁ〜〜〜、でもおめでたい事には変わりないね。ウルクさん、おめでとうございます!」
「あざっす!!」
「・・普通にありがとうございますって言いなよ・・」
ライ君が呆れたようにウルクさんに話すから、つい笑ってしまう。でも、幸せそうで何よりだ。と、キラさんが私の肩を指でトントンと叩く。
「どうしたの?キラさん・・」
キラさんは、無言で指を上にあげたので、見上げると、大きな満月がぽっかり空に浮かんでいた。
「わ!!綺麗・・、昨日は疲れてて全然気が付かなかった〜・・」
「今日は湿度もないから綺麗だ」
キラさんが説明してくれた。
湿度がないと綺麗に見えるのか〜・・、理科でやったような・・やってないような・・。過去の記憶だな。周囲をみると、騎士さん達も月を見ていた。
やっぱり、月・・見ちゃうんだね。
私の住んでいた所は明るかったから・・、こっちへ来てからお月様がこんなに大きくて、明るいって初めて知ったなぁ・・。キラさんは、こんな月を何度も見て来たんだろうな。
「綺麗ですねぇ・・」
「・・ああ」
・・・ん?キラさんを見ると目が合う。キラさん、月じゃなくて私見てない?私は、月を指差してキラさんの視線を上に向けさせようとしてみた。
「いいですか?キラさん、あれは月です」
「ああ」
「見るのは、私でなくて月です」
「よく見てる」
「私の方を相当見てると思います。今は、月です。ムーンです。月に変わってなんとやらです!」
キラさんは、静かに頷いて私を見る・・。ダメだー!!この人、私の事好きだった!!!ウルクさんが笑いそうになっているのを、ライ君が脇腹を思い切りど突いてくれたので未然に防げた。・・ありがとうライ君・・。
そうして、しばらく色々話して就寝の時間になったのでテントまでキラさんが送ってくれた。
案の定、テントの前でゴネたので・・、テントの中へ一旦入ってもらった。
「キラさん、ちょっとそこ座ってください」
「ああ」
「副団長さんなんですから、こう・・、人前ではですね、あんまり・・私に甘く・・というか、その・・しっかり仕事しないと示しがつかないというか・・・」
あーー!!ダメだ言ってて恥ずかしくなってきた!!
顔が赤くなってきて、キラさんをちらっと見ると、キラさんはちょっと目を丸くして・・、急に近付いてきた・・と、思ったらキスしてきた。
こ、こら!!仕事中〜〜〜!!!いや、今は休憩だけども!!!
キラさんは、ぎゅっと私の体を寄せると、いつもより深いキスをしてきた。だ、ダメでしょ!!キラさんの舌が動く度に声が出そうになって、慌ててぎゅっと目を瞑った。
「・・・っん・・」
そっと、キラさんの唇が離れて、真っ赤な私は息が上がる。
うう、これ・・ドキドキするから苦手だ・・。
キラさんは、そのままギュッと抱きしめると、耳元で、
「・・・このまま、ここで寝たい」
静かに囁いて私の鼻と、キラさんの鼻がくっつきそうになったので、咄嗟にキラさんの口に手で蓋して、キラさんをきっと見る。
「・・・お家まで、我慢です!!」
そういうとキラさんが吹き出して笑うから、私はますます真っ赤になった。
くそ〜〜、覚えてろよ〜〜!!