黙して語らない騎士、キャンプで照れる。
夕食は、フランさんとライ君の手伝いだ。
材料を出して、騎士さん達が自分達で自炊できるようにシートを敷いて並べる。
材料の各グループごとに貰って、早速調理を始めていた。本当、手際いいなぁ〜、私も見習おう・・。
私達の食事は、フランさんとライ君が作ってくれていた・・。
あ、ありがたい・・・・。
「ナルさん、疲れて帰ってくると思ったから〜」
「本当にお疲れ様でした!」
ライ君からは、お茶の入ったコップ・・、フランさんからは美味しそうなスープとパンを渡されて・・ねぇ、泣いていい?すっごい嬉しい・・。
「お二人とも、本当にありがとうございます・・。帰ったら、お茶菓子サービスします〜〜」
「え〜〜僕には?」
「団長さんには、激甘ホイップの乗ったカスタードプリンです」
ええ〜って言うけど、無視する。
色んな野菜とお肉が入ったスープはすっごく美味しくて・・、目がキラキラしてしまう!食堂のとはまた違った味付けで美味しい〜〜!!!
「フランさん、これすっごく美味しいです!!」
「そうですか〜。僕の故郷の料理なんですよ〜」
「あれ?フランさんって、どちらの方から・・」
「ソル二っていう、ティルトの南の方にある島国出身なんですよ〜」
島国!!あらやだ、親近感!
「私も島国出身なんですよ〜!同じですね」
「そうなんですか〜、一緒で嬉しいです〜」
二人で、ほんわか笑い合う。ああ〜、癒される・・。
団長さんは、お茶を飲みつつ、
「へ〜、ナルさんの国は島国だったんだ。海とかあったの?」
「海も山も川も湖もありましたよ〜。ただ、国土の半分以上が山だったり、資源が少なかったけど・・、頭一つで大国入りしました!!」
・・って、これは社会の勉強を掻い摘んでますけど。
「頭脳・・・、じゃあ、ルーナのいた国と似てるな・・」
「そうだ!!団長さん・・、ルーナさんのカメラって・・」
「竜族のお嫁さんが教えてくれたのをヒントにして作られたっていう話だが・・、ルーナは王族には詳しくないからな・・、情報はそれくらいだ」
お嫁さん・・、何者なんだろう・・、一緒に話してみたかった・・。
「そっかぁ・・、って、竜族??」
「昔は、こっちにもいたんだがなぁ・・」
「いたんですか?!」
そっちにもびっくりだ!!団長さんはまた一口お茶を飲んで・・、
「もう少し前は、異界とここは通うじていて行き来できたらしい・・、今は来てしまったら戻れないし、行けない状況だが、いつかまた行けるかもな・・」
「え〜〜、行ってみたいなぁ!!」
そうしたら、竜族にも会ってみたいしカメラの話もしたい!!
「ナルさん、勇気あるねぇ・・魔物出るかもよ?」
「それはこっちも同じじゃないですか!!」
「確かに・・」
面白そうに団長さんは言うと、キラさんと明日の打ち合わせに行った。
私も食事を終えて後片付けをして、一旦自分のテントに戻った。
お風呂に入れないので、すぐ近くの川の水をタオルで浸して、ぎゅっと絞って顔や首元を拭くとちょっとホッとするけど・・入りたい。いっそ入りたい。もう少し野営ポイントから離れて、足も洗おう・・。
まだ夕方だけど明るいし・・、そう思って一人でタオルを持って歩いて行く。
大分離れたし、いいかな・・ブーツを脱いで裾をまくって、ジャブっと水音をさせて入っていく。
「ふは〜〜〜〜〜〜〜」
温泉に入ったおじさんみたいな声が出た・・。
最高だ・・。気持ちいい・・・。
「ナル」
キラさんの声がして、振り返ろうとすると足が滑った。
「ひゃあ!!」
思いっきり水に浸かった・・・。
キラさんが慌てて駆け寄ろうとするけど、ぬ、濡れちゃうから!!
「だ、大丈夫キラさん・・上がれるから・・」
手で制止して、体を起こして、水分を思いきっり含んだ服を絞る。
「・・結局、濡れちゃった・・」
ヘラっと笑うと、キラさんはちょっと目元を赤くして着ていたシャツを脱いで渡してくれた。あ、すみません・・。
「・・・上を脱いでから羽織った方がいい、風邪を引く」
「え、でも・・」
「壁になるから」
「あ、はい・・」
急いで、びしょびしょのシャツを脱いで、キラさんのシャツを着るとちょっと温かい。水、結構冷たかったんだな・・。キラさんに声をかけると、私を見たキラさんが赤くなって固まった。熱とか、大丈夫?