黙して語らない騎士、キャンプでの魔物討伐。
魔物の巣が出来ていたらしく、キラさんと騎士さん達であっさり片付いたらしい。確かに、踊ってるの?くらいの身のこなしで襲いかかってくる狼を薙ぎ払っていたな・・・。
密猟しているポイントも掴んで、とりあえず休憩になった。
キラさんに馬から下ろしてもらって、見晴らしのいい高台のような場所でお昼を食べる。肩にかけておいたバッグを下ろして、携帯食を出してキラさんに渡すと、知らず大きなため息が出る。
「・・・キラさん、遠征に行くとこんな感じで仕事してるんですね・・」
「ああ」
「すごい・・、私、幾つ心臓があっても、もたない・・・」
「そうか」
キラさんは、静かに笑って携帯食を食べる。
あんな突然魔物が出てくる、ある程度予測している事態でも、あっちからこっちから出てきてはケガ人を出さないように、連携を考えつつ戦うんでしょう?そう考えたら、脳みそも足りないな・・。
「キラさん・・・、すごいです。騎士さん達もすごい・・」
すごいしか言えない私の語彙力よ・・。
いや、もうちょっとこう・・、格好いい?頭いい?体張ってる〜!とか?
うう〜んと、考えているとキラさんは私を見て、小さく笑う。
「俺達の活動を想像できないくらい、平和であって欲しい」
「・・・平和・・」
確かに、そうだけど・・。
騎士さん達や、キラさん達は?
ちょっと眉を下げて、キラさんを見ると、頭をそっと撫でる。
「そのための俺たちだ」
・・・キラさん、かっこよすぎるでしょ。
私は、静かに頷きつつ、赤くなった顔を誤魔化すように景色を見る。
多分、結婚したけど、何年経っても慣れない・・。だって、キラさん格好いいし、優しいし・・、無理だと思う。
「・・・・キラさん、ずるい」
ボソッと呟くと、嬉しそうに笑った。・・ほら、格好いいじゃん。
携帯食を食べ終えて片付けていると、ウルクさんがやって来た。
「ウルキラ副団長〜、午後はどうしますか?」
「・・もう一箇所、魔物がいるポイントへ行くが・・」
「いえ、ナルさんっす。危なくないっすか?」
キラさんは、ああ・・と、納得した顔だけど、ちょっと待てーーー??!
「危ないの?!私、先に戻りますか?」
キラさんは、静かに首を横に振る。
「魔法をかけておく」
「・・・・キラさん、公私混同はダメですよ?」
「大丈夫っすよ〜!もし、良ければさっきみたいに警護しますから〜」
「いやいや、お仕事の邪魔しかしてないですか?!申し訳ないですよ!!」
キラさんは、じっと私を見つめる。
「・・・いてくれた方が、捗る」
「捗るとは〜・・・・・・」
目が遠くなるが、一緒に行くのは決定事項のようだ。
ウルクさんが側に控えていて、何かあればすぐ移動になったけど・・いいのか?騎士さん達の邪魔にならないのか?悶々としていると、他の騎士さん達が、
「要人の警護なんかもありますから、そういう練習もできていいですよ〜。しかもナルさんですから、緊張感はハンパないっすけど!」
・・・すみません・・。ご迷惑おかけしますが、お願いいたします・・。
そんな訳で、午後はもう一つ魔物が出現する場所へ行くらしい・・。一般人は緊張しかないんだが・・。キラさんは、涼しい顔で、私に魔法をかけて馬に乗せる。
鬱蒼としげった森は、いかにも何か出てきそうだ・・。
暗くて、どこかで何かが鳴いてる・・。
「私が最初に来た森も、こんな感じでしたね・・」
思わず小声で話すと、キラさんは私のお腹に回した腕を少し寄せるように抱く。
「・・・ああ」
静かなキラさんの声に、ちょっと照れる・・・。
いきなり狼に囲まれた時は、唖然としたな〜・・・。まぁ、すぐにキラさんが追い払ってくれたけど・・。
「最初に会った時、狼をあっという間に追い払ったキラさん・・強いのにすっごい綺麗な顔をしていて、びっくりしました」
小さく笑って、キラさんを見るとなんか顔がちょっと赤い。
キラさんは、ちょっと目を逸らして
「・・・辛い・・」
って呟いてたけど、だ、大丈夫???