黙して語らない騎士、キャンプでも愛でる。
テントは、今回女性は私一人なので丸っと私のゾーンだ。
キラさんが素早く作った上に、キラさん以外入れない魔法をかけたらしい。すごい。執着すごい。大事に管理しないといけない荷物をついでに入れておいて〜と、団長さんに渡された物が入ってるから半分くらい荷物ゾーンだけど。
フランさんに貰った書類をテントに入れて、腰の布をとってショートパンツから、ハーフパンツに戻したけど・・、これでもダメなのかなぁ?ちょっとテントから顔を出して、入り口の前にいるキラさんに、
「キラさん、これくらいの丈でもまずいかな?」
少し入り口を開けて確認すると、キラさんは目を丸くして少し赤くなる。
「・・・・腰、に、巻いて欲しい」
「あ、は〜い・・」
うん、ダメらしい・・。
あ〜〜、じゃあずっとロングパンツか・・。あっついな。あ、でも腰布を巻けばセーフなら中はショートパンツでもいいんじゃない?めくってくる強者がいるだろうか?いや、いないな・・。
キラさんに殺されたい人くらいだ。
さっさとショートパンツにして、布を巻いた。
涼しいの大事だも〜ん。
テントから出てくると、ちょっとまだ目元が赤いキラさんが待っていた。
「ごめんね、キラさん・・」
「ああ・・」
なんかそんなに照れられると、私まで照れちゃうんですけど・・。
キラさんは、私の手をそっと繋ぐと、
「少し、歩きたい」
「あ、はい」
静かにいうので、頷くと嬉しそうに笑う。
うん、その顔好きです・・。
焚き火を囲みつつ、談笑している騎士さん達の側から離れていく。
少しずつ音が遠ざかって、暗闇が近くなってくる。
えーと、どこまで行くのかな??そう思って、手をちょっと引っ張ってみる。
「キラさん、どこまで行くんですか?」
「上に・・」
「上?」
空を見ると、満天の星空だ!!
おお!!!私達が住んでるのは、町中だから見られない星空だ!!
星が川のように流れている!!
「キラさん、星!星がすごいですね!!」
「ああ・・」
私は興奮して、キラさんの手を引っ張りながら空を指さす。
「私が住んでた世界も、星が見えてたんですよ。一緒で嬉しいです!あと、私が住んでた所は都会だったんで、こんな風に星が見えなかったんです!!初めてこんなに見ました〜!!」
「・・嬉しい?」
「嬉しいですよ!キラさんもいるんですから」
ヘラっと笑うと、キラさんも嬉しそうに微笑んでくれた。
「・・ナルの世界も見てみたい・・」
「何を見たいですか?」
「ナルのいた町」
「ああ〜、建物がいっぱいあって、人もすごくいて・・、ごちゃごちゃしてますよ?」
「・・でも、ナルの育った所だ・・」
キラさんの静かな声に、思わず顔が赤くなる。
「ナルの全部が好きだから、全部知りたい」
「じゅ、十分・・・知ってると思います・・」
ものすっごい甘い言葉に、繋いでいた手が熱くなる。
おかしいなぁ・・結婚して一年も経つのに・・、ドキドキするものなの?
「もっと・・・」
キラさんが、ちょっと屈んで私にキスをすると、真っ赤になってしまった・・・。キラさんは、嬉しそうに笑って私を見つめる。なんですか・・、この王子様は・・・。
私は、手をぎゅっと握る。
「・・・私の世界にキラさんが来たら、他の子がきっとキラさんを狙っちゃうから・・、ダメです。多分、ヤキモチばっかり妬いちゃいます・・」
そして、私はきっとその争奪戦に勝てる見込みはない・・。
だって、可愛い子も綺麗な子も、いっぱいいるし・・。いや、こっちの世界にも一杯いるけどさ。
キラさんは、そっと抱きしめてくる。
「ナルが一番だ」
「キラさん甘い!ものすっごく甘い!!」
「ナルは?」
「・・・・・・・・・・・・・キラさんが一番です」
そういうと、ぎゅっと更に抱きしめられた。
・・・私も抱きしめ返しましたよ?だって、真っ暗だし。星しか出てないし。最高のシチュエーションだし。
甘いのしか書きたくないの。