黙して語らない騎士、キャンプで慌てる。
食事が終わったら、片付けして・・とりあえず今日はのんびり過ごすらしい。
まぁ、移動したり、野営の準備したり、泳げばなぁ・・。
私も片付けをしようと、食器を拭いてから川で水洗いをする。
あんまり外での食器洗いに慣れていないので、濡れた・・。
「・・・結構、びしょびしょだなぁ・・」
ひとまず着替えようと思って、テントへ戻って着替える。
「あ、ハーフパンツも入れてたっけ。これにしよ」
暑いので、クルクルと裾を折ってショートパンツにした。足が涼しくて大変よろしい。食器を所定の場所に戻して、明日の確認をしようと思って、フランさんを探すと、ウルクさんがいたので声をかけた。
「ウルクさ〜ん、フランさん知りません?」
「団長さんの方のテントに行きましたけど、そのカッコ、大丈夫っすか?」
「え?何で?おかしい?」
「いやぁ〜、ウルキラ副団長、心配すると思うっす」
「そうかなぁ〜???」
ショートパンツって、確かにこっちでは、小さい子しか履いてないかも・・。暑い時、大変だよね・・、そう思いつつフランさんを探しに歩いて行くけど、騎士さん達が通る度に、二度見してくるんだけど・・。
え、これってそんなにまずいのか?
ちょっと不安になっていると、ライ君がちょうどテントから出てきた。
「あ、ライ君〜。お疲れ様、フランさんの所へ確認に一緒に行かない?」
「ナルさ・・・ぁああああん!!???」
ライ君がギョッとした顔をして、顔を赤くする。
「え?え??やっぱり、この格好まずいの?変なの??」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
ライ君は、テントの中に突っ込んでいく勢いで入って、また勢いよく出てきた。薄い布をズイッと私の目の前に出す。
「こ、腰に巻いてください!!!」
「え、あ、はい・・」
「う、ウルキラ副団長は、知らないですよね?見てませんよね?」
「あ、うん・・探してたけど」
そう言いつつ、腰に布を巻くとライ君は、手を胸に当てて空を仰いでいた・・。
「・・・助かった・・」
「?何が??」
ライ君が振り返って、私を見る。
「あのですね、年頃の女性がそ、そうやってみだりに、す、素足を晒してはいけないんです!」
「水に足をつけた時は、何も言われなかったよ?」
「あ、あれも・・・結構ギリギリです・・・」
ライ君が目を泳がせつつ、説明してくれた・・。
そうか〜、こっちの女性は暑い時も苦労するな!腰に巻いた布をちょっと指で摘んで、しみじみ思った・・。
「私の世界だと、こんなの普通だったからなぁ〜」
「そ、そうなんですか?!」
「うん、もっと際どい格好してる人いたよ〜」
「な、なななな・・・」
ライ君が顔を赤くしつつ、目を白黒させてる。
国というか、世界が違うと、こんなにも考え方が違うんだな。
「そっか〜、じゃあ今後は気をつけるね」
「はい、是非お願いいたします!!」
そんな事を話しつつ、歩いていくとちょうどフランさんが歩いていたので、手を振った。
「あ、ナルさん〜。ウルキラさんに途中、会いませんでした?」
「いえ?」
「そうでしたか〜、ウルクさんが、ナルさんがやべ〜格好してるって言いに来て、ウルキラさん飛び出して行ったんですけど・・」
「あの馬鹿兄・・・!!!」
ライ君が、頭を押さえてぼやいていた。ご、ごめんね??
とりあえず、フランさんと明日の用意する物の話をしてから、自分のテントに戻ろうと歩いていると、キラさんがこちらへ来た。
「あ、キラさ〜ん」
「ナル」
「なんかあまりよろしくない格好をしちゃったみたいで・・、ご心配かけました」
「この布は?」
「ライ君が、巻いておきなさいって」
「・・・そうか」
キラさんが、ホッとした様子で私を見た。すみません・・・今後は気をつけます・・。キラさんは、じっと私を見て・・
「どこを通って、フランの所まで行った?」
「・・・・キラさん、言いませんよ?」
見た人をどうするつもりだ・・この人。
キャンプに来て、死人を出すわけにはいかない・・。私は、気を引き締めるようにテントへ向かった。