黙して語らない騎士、キャンプで張り切る。
夏だ!キャンプだ!!
まぁ、野営の訓練もあるんで・・、全部遊びっぱなし・・というわけではないけど、あっという間のキャンプに私は朝からワクワクしていた。
今回は、一緒・・ということもあって、キラさんは嬉しそうだ。
それはそれは嬉しそうだ。
ニルギさんは「暑いから嫌だ」と、大変らしいコメントを残し留守番。
ラフさんが今回は、団長補佐として騎士団を守る事になったので、団長さんとキラさんとツートップが珍しく揃ったキャンプらしい。
フランさんと、ライ君は一緒に参加して、朝から持っていく物の管理や確認をしていた。出発までに最後の確認作業をして、馬車に乗ろうとすると、キラさんがやって来た。
「・・・一緒に乗ろう」
「え?いいんですか??訓練でしょう?」
後ろから馬に乗った団長さんがやってきて、
「ウルキラの面倒、お願いね〜!ナルさん!」
超いい笑顔だった・・。まぁ、いっか。団長さんが良いっていうならいいでしょう。キラさんとの乗馬なんて、ものすっごい久々だしね!
「じゃあ、一緒に・・」
言いかけた途端、両脇に手を入れて持ち上げると馬に乗せた・・。
な、懐かしい・・・。無言なのも変わらないな・・・。
キラさんは、長い足をヒラっと上げて私の後ろに座る。耳元に顔を寄せて、
「嬉しい・・・」
ボソッと囁くから、私は真っ赤になった・・。
キラさん、いきなりそういうのは照れるって言ってるんですが・・・。
「出発!」
団長さんの声で、騎士さん達は馬に乗って行く人、今回は馬車を運転する人と別れて出かける。今回は、町から少し離れた川沿いで訓練するらしい。私とキラさんが、来た時に通った道らしい。
高い視界で、町を歩くのも物凄く久しぶりだったから、嬉しくて・・、振り返ってキラさんを見上げる。
「馬で歩くの久しぶりですね!」
「ああ」
「また、馬で出かけたいかも・・」
「今度、遠出するか」
「いいんですか?」
「ああ」
キラさんが嬉しそうに私を見るので、ちょっと照れ臭いけど・・今回は久々過ぎて私も嬉しいので笑い返す。町の外は出た事はないから、楽しみだな。
海も、また一緒にみにいきたいし・・。
「一緒にやりたい事、たくさんありますね」
「そうか」
キラさんの少ない言葉に、小さく笑う。
こんな風に一緒に何かしたいって思うとは、想像できなかったけど・・、面白いもんだな。
そうして、しばらく馬で歩いて行くと・・、何となく覚えている景色が見えてきた。
「あ、懐かしい・・」
そういうと、キラさんが小さく後ろで笑った。
河原へ着くと、団長さんが指示を出して、あちこち準備が始まった。
私もキラさんに降ろしてもらうと、早速準備に取り掛かる。
フランさんと、ライ君とで荷物を運ぶ騎士さんに、場所の指示と確認をしていく。今回は40人くらいの規模だけど・・、結構食べる騎士さんたちの食品管理が大変なのだ。
騎士さん達は、管理してもらって助かります!!って言ってるから・・、遠征の時とか大変なんだろうなぁ。その辺も、遠征に行く時に、もう少し楽にできるようにこちらも手伝おう。色々課題も違う立場だと見えるから・・、団長さんにも伝えておこうと思った。
そうして、テントの設置をテキパキとする騎士さん達を見て、頼もしく思う。は〜〜・・・早い。
「あ、薪とかどうします?」
私がフランさんに聞くと、遠くを指差すとキラさんがものすっごい量の薪をすでに運んでいて、その後ろを慌てて他の騎士さん達が一緒に運ぶ様子が見えた。
・・・キラさん、後ろ、後ろ!!
「キラさんは、いつもあんな感じなんですか?」
側にいたウルクさんに聞くと、
「・・・まぁ、そうなんっすけど、今日はナルさんがいるからスッゲェ機嫌良くて助かってます!!あの薪も、スッゲェ勢いで取って来たんすよ!!」
「兄さんもやれ!!!」
後ろでライ君がキックしてた。
・・この兄弟は、今日もキレッキレだな。