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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
131/566

黙して語らない騎士の妻。


翌日、


王都の騎士さん達とシーヤの騎士団の人達で、ルーンさんとルピスさんを王都まで送るために、騎士団の玄関は整然と並んで用意された。


執務室では、ルーンさんが物憂げな顔をして、ローブでなくマントを羽織った。・・そうか、次は王様になるのか・・。

ルピスさんは、そんなルーンさんを見て静かに頷く。


「・・団長、色々とありがとう」


ルーンさんは、団長さんを見て静かに言うと、団長さんは小さくお辞儀する。ラフさんを見ると、静かに頷いて執務室を出ようとする。と、私と目が合う。


「・・・またな」

「・・風邪ひかないように気をつけて下さいね」


ニマッと笑うと、ルーンさんは一瞬真面目な顔が崩れて、ニヤッと笑う。


「・・王都、遊びに来いよ」

「はい」


そう笑うと、またスッと顔つきを変えて下へ行く。

後ろについていたルピスさんは、私に静かに微笑むので、私も笑い返した。


静かに後から下りて外へ出ると、王都の騎士さんも、シーヤの騎士さんも整然と並んでいる。団長さんが、ルーンさんとルピスさんの前で敬礼をすると、二人は大きな黒塗りの馬車へ向かう。


馬車の前には、キラさんとラフさんが立っている。


ルーンさんがちらっとキラさんを見て、何か囁くとキラさんが目を丸くする。ん?何かあった?横でルピスさんが小さく笑って、キラさんを見つめると、キラさんも目配せする。


な、なんだろ・・・。


二人が馬車へ乗り込むと団長さんは、「敬礼!!」そう言って、全員敬礼する。


ラフさんが今回は先導して行くのか、馬に乗って進むと馬車も進んで行く。なんだか・・、寂しくて・・、馬車の小さな小窓に向かって手を振ってみた。


そうして、馬車が見えなくなるとそっと手を下ろした。

団長さんは周囲を見て、


「敬礼やめ!帰った騎士は、本日の午後まで休め、他の騎士はそれぞれの仕事をするように」


はい!!と、野太い声がすると騎士さん達は一斉に動き出した。

おお〜〜・・流石だな・・。



団長さんは、ハァ〜っと息を吐いて・・私を見る。


「ナルさーん、お茶飲みたいデスー」


いつもの団長さんに戻ったようで、私は笑って頷くとキラさんがこちらへ来る。

あ、帰ったばかりだから・・午後までお休みなのかな?


「キラさん、午後までお休みですか?」


キラさんは静かに頷く。「うん」とか「はい」とかあってもいいんですよ?


「じゃあ、今執務室でお茶を淹れるんですけど、一緒に飲みませんか?」

「・・・ああ」


おお、返事した。

私の手を繋ぐと一緒に階段を登って行くので、前を歩いていた団長さんは、「相変わらずだねぇ」と笑う。キラさん、自重して・・。ちょっと照れる・・。


見送ったフランさんや、ライ君、ニルギさんも執務室へやって来て・・、久々の穏やかなお茶タイムになった。やっぱ平和いいわ〜・・・。


あ、そういえば・・、ルーンさん何かキラさんに言ってたよね?ふとお茶を飲んでいる時、思い出してキラさんを見る。


「キラさん、ルーンさんが馬車に乗る時、なんて言われたんですか?」


キラさんは、ちょっと考えて・・カップを置くと、私をじっと見る。



「・・・ナルは、すごくいい女だから羨ましい。そう言ってた」



真剣な目で言われたからお茶を吹いた。

は、はぁああああ????!!いい女???絶対言われる事のないワード第一位ぶっちぎりだな!?


後ろで団長さん、めっちゃ爆笑してるし!!お茶菓子激甘にしてやる!

フランさんまで口に手を当てて、プルプルしてるし!!

ライ君は・・、ニルギさんとうんうんって頷いてるけど・・、あれ?どっち?


キラさんは、至極当然のような顔をして私を見る。



「ナルは、世界一いい女だと思う」

「や、やめてーーーーーーーー!!!!」



執務室で、恥ずかしさのあまり叫ぶ私と団長さんの爆笑が響き渡ったのは言うまでもない・・・。




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