黙して語らない騎士、あと少し。
すぐにシーヤの街に仕掛けられた爆発の魔法は解除され、無事に騎士さん達が戻ってきた。
ルピスさんは、私に見せてくれた魔法は
「秘密に」
と、いうので首を縦に何度も振っておいた。
なんせキラさんのお兄さんだ。怒らせたら大変危険なのは身をもって知っている・・。
そうしてしばらくして、ゴタゴタが続いていたらしい王都の王位継承問題も、ガダの問題もようやく問題が解決されたらしい。・・あ、全部フランさんから聞いた話ですけどね?
ライ君も私も、それを聞いてほっと胸を撫で下ろした。
ルーンさんとルピスさんは、団長さん達が王都の騎士団の人と一緒に戻ってきたら帰る事が決まった。
魔物が増えていたのは、ガダの仕業だったらしく・・、まだ出現しているのでキラさん達は、そちらが片付き次第帰って来るらしい。
多分・・すぐ帰ってくるな・・・。なにせ今回はニルギさんも一緒だ。そろそろ持たせたお菓子も底をつく頃だし。
ルピスさんは、一緒に執務室で過ごすことが増えたおかげで、表情がキラさんよりも豊かな事に気付いた。話しかけると、柔らかく笑うのでほんわかする。
キラさん同様、モテるんだろうなぁ・・。
執務室での仕事を終えて、フランさんとルーンさん、ルピスさん、ライ君とお茶をする。
「王都へ帰ったら、ルピスさんはどうするんですか?」
ルピスさん、魔術師として視察へ来てたけど・・、状況も変わったし・・どうするんだろうと思って聞いてみた。
「もともと王の直属の魔術師として働いていたので、そうなるかと・・」
「へ〜〜、そうなんですか・・、でも、そうなるとなかなか外へは出られなくなっちゃいますね・・・」
そっか〜、キラさんと会うの難しくなるな・・。
ルーンさんはちらっと私を見る。
「・・・ナル達が王都へ来ればいいだろ・・、遊びに」
「あ、そっか!確かにいいかも〜!王都へは、まだ一回も行った事ないんだよね」
「・・連絡すれば、泊めてやるよ」
「あら、ありがとうございます!そしたらルピスさんもまた会いましょうね!」
できれば、キラさんともうちょっと関わりが持てたら・・嬉しいし。
ルピスさんは小さく笑う。あ、その顔はキラさんに似てる。
「・・・妹がいたら、こんな感じなのかな」
ルピスさんがそう言って、私を見ると思わず照れてしまう。い、妹ですか・・、それはちょっと嬉しいなぁ。こんな格好いいお兄さんだったら自慢しちゃうな。
ルーンさんは、私を見て、
「・・・ナルが妹なんて、強すぎて俺は嫌だ」
「え?この可愛い女子のどこが強いんですか?」
「・・そういうとこだよ」
え〜、そうかな〜???
ライ君を見ると、にっこり笑う。
「僕はそのままでいて欲しいです」
「ほら〜、ライ君はこんなにいい事言ってるのに!」
「否定してないだろ!!」
「え?そうだっけ?」
ライ君はふふっと笑ってお茶を飲むだけだった。・・・横でフランさんが笑いを噛み殺してるけど、そんな面白い事言ってないよね?
そんな風に、執務室はいつもの穏やかな時間が流れていた。
そうしてしばらくして、団長さん達が無事シーヤ騎士団へ帰って来た!!!
皆で走って出迎えに行って、団長さんを騎士さん達は嬉しそうに囲んでいたけど、一番会ったら嬉しいルーナさんもちゃんと呼んでおいた。
団長さんが照れくさそうに笑って、そっとルーナさんを抱きしめる姿を見て、騎士さん達はなんか涙ぐんでるし・・。二人が嬉しそうに笑い合う姿を見て、私と近くにいたライ君は笑いあった。
やっぱり幸せなのが一番いいよね!
早くキラさんに会いたいな・・、そう思って空を見上げた。




