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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士、出立。


執務室へ入ると、重苦しい雰囲気で私のすぐ後にフランさんと眠そうな顔のニルギさんも入ってきた。


ペコっと二人に会釈すると、ニコニコ笑って手を振ってくれるので、安心する・・。ニルギさんは、「おはよ〜」って、緩いまま団長さん達が座っているソファーに近づいて座った。


団長さんは、周囲の人達を見て・・、小さくため息をついた。


「第一王子の勢力が動き出した」


ニルギさんは頬杖をつきながら、ちらっとラフさんを見る。ラフさんは小さく頷くと、


「・・王の方も、把握はしていたので無事だが、襲われて療養中・・というままにしている。恐らく、また動き出すと予想している・・それも近く」


な、なんか不穏な事ばっかり言ってない???

私は思わずフランさんを見ると、いつものほんわか笑顔で小さく頷きつつ、口に指を当てる。はい、静かにしてます・・。


ルピスさんもため息をつく。


「・・・できれば、あの世界には関わらずにいられれば良かったが・・」


団長さんがルピスさんを見る。


「ルピス殿、ルーン様は?」

「・・・覚悟はしています。隣の部屋で今、待って頂いています。こちらへ?」

「知っておいた方がいいでしょう、それとなく話してはありますが」

「わかりました」


ルピスさんはそう言うと、隣の部屋へルーンさんを呼びに行き、すぐに戻ってきた。緊張した顔のルーンさんは、この間まで見たちょっと生意気そうな魔術師さんから、なんか威厳を感じる顔つきになってる。ルーンさんはソファーに座って、小さく頭を下げた。


「・・・世話になる・・」


「ルーン様・・、頭を上げて下さい・・。今は、まだ一緒にここで戦う仲間です」

「ラトル殿・・、ルピス・・、兄がすまない」


ルーンさんが悔しそうな顔をする。ラフさんはルーンさんを見ると、


「ルーン、動き出した以上は仕方ない。わかってるだろ?団長、今の状況と今後はどうする?」


「・・恐らく、ここにも手を出すやもしれません。こちらはルピス殿と、魔術師、王都の騎士とこちらの騎士団でルーン様を守ってもらうつもりです。いざとなったら隣国のファントに・・。そちらへは話がついています」


何か危険があればファントっていう国に逃す・・って事かな?王族って・・大変だな。フランさんを見ると、静かに頷く。


「・・・ルーン、わかったな?」

「・・・はい」


ラフさんがルーンさんに話すと覚悟していたのか、小さく頷く。団長さんはそれを確認すると、


「王都と、シーヤの中間で魔物の動きが活発化しているのも、ガダと第一王子の動きとリンクしています。そちらを叩きつつ、王都へも向かいます。ウルキラ、ニルギは魔物の方を・・、私とミラファ殿は王都へ」


全員が頷く。

・・・え、そんな・・、いきなりだな・・。

私はちょっと呆然としていると、フランさんが肩に手をおいて、にっこり笑う。・・・そうだよね、何か起きそうっていってたしね・・。


団長さんは、この後すぐ行きます!そう言うと、一斉にみんな動き出す。


キラさんとニルギさんは、顔を見合わせると頷いてる。

ニルギさんは私の側へ来ると・・、


「そういう事みたいだから、お菓子・・俺用に用意しておいてくれ」

「・・・ニルギさん、開口一番それですか・・」


私は思わず肩の力が抜ける。

ニルギさんの後ろからキラさんがやってきて、小さく笑う。


「・・・ナル、行ってくる」

「はい・・・」


キラさんは私のキラさんの守護魔法がついている手首をそっと持ち、魔力を流す。・・感じられないからわからないけど、銀色に淡く光った。ニルギさんがニヤニヤ笑ってそれを見るから、ちょっと照れるんですが・・。


「愛されてるねぇ」

「・・・・あまり言わないで頂けると・・・」


私が横目で呟くと、フランさんとニルギさんは笑った。

キラさんは、私の手首を確認すると満足そうにして、すぐに下へ行った。



敵側に悟られないように・・、いつもは騒がしく出発する騎士団の皆は静かに音を立てないようにあっという間に出発して行った。




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