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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
124/566

黙して語らない騎士心配する・・。


午後の仕事を終えて、一旦家から着替えを持って寮に泊まる用意をする。


「・・・なんか不思議な気分ですね」


カバンに自分の服や、洗面用具を詰めているとしみじみ思って・・、ポツリとこぼすとキラさんは小さく頷く。寮で過ごすって、付き合っていた時みたいだなぁ・・そう思って小さく笑う。

キラさんは、私の側に来て私をじっと見つめる。


「ナル」

「はい?」

「少し・・、長く出かける事になるかもしれない・・」


キラさんから改めて言われて、胸がズキリと痛む・・。



「あ、はい・・。ニルギさんがそう言ってました・・ね・・」


キラさんの瞳が揺れて・・、急に水色の瞳が恋しくなる。

嫌だな・・、やっぱり離れたくないけど・・、言ったら・・辛くなるしな・・。


キラさんが、そっと頬を撫でる。


「ナルといたい・・」


キラさんは、いつも通りだなー・・・。でも、そんなキラさんだから好きなんだけど・・、ちょっと照れくさいから、素直に言えないけど・・。


「早く帰ってきて下さいね」

「約束する」

「はい」


にっこり笑うと、キラさんはいきなり私を横抱きする。

な、なんだってーーーー???!!!


「キラさん!!重い!!重いから!!!」

「・・・軽いが?ナルはもう少し食べた方がいい」

「いやぁ・・、キラさんと結婚してから、私大分食べるようになりましたよ?」


キラさんは涼しい顔で広いコンパスの脚を生かして、ベッドへ連れて行く。

あ、はい・・そういう事・・。


じわじわ顔が赤くなって、ニルギさんに「構い倒される」発言を思い出す。


「・・キラさん、早く騎士団に戻った方がいいと思います、けど・・」

「・・・今の内にナルといたい」


「・・・キラさん、私達ほぼ毎日一緒ですって!!!」


ううう、顔が赤いんだが??

そろっと見上げるとキラさんは、いきなりキスしてきた。驚いて顔を見ると、


「・・・これから、いられない」


「・・それは・・」


キラさんの水色の瞳がじっと見る。

それは反則じゃないか・・?



「・・・・すぐ戻ってくれるなら・・、その・・どうぞ?」


ううう、目がウロウロ泳ぐけど、言いましたとも!!どうじゃーい!?

キラさんは嬉しそうに笑う。

ああ、その顔が本当に好きですよ、見えなくなったら絶対辛い。辛いってもんじゃない・・。そんな事、考えたら泣きそうになって、キラさんの胸に顔を寄せる。



「・・・今だけ・・」



小さく、小さく呟くと、

キラさんは額に、瞼に、頬に、愛おしそうにキスしてくるから、胸がぎゅうぎゅうと痛くなる。一緒にいたい・・。離れたくない。戦いになんて行って欲しくない。傷ついて欲しくない。思わず涙が溢れると、キラさんはそこにもキスする。



「ううぅ〜〜・・・・・」


行かないで。


ここにいて。


そう言ったら、きっと泣き出しちゃうから・・そう思っていたのに、涙が出てきた。

キラさんは私を横抱きしたまま、ベッドに座る。


「ナル・・」

「泣きたくないのに〜・・・・」


「ああ」

「笑って・・送りたいのに・・」


「そうか」

「ごめんね、キラさん・・」


だめだ〜〜・・、涙腺が壊れて、ボロボロ泣いてしまう。

だって、怖い訓練を見て・・あんな時もあるって言われて・・、そうして戦争になるかもって・・。キラさんがいなくなっちゃったらって思ったら・・、怖いし、悲しいし、嫌だし・・。


キラさんは横抱きのまま、ぎゅっと抱きしめる。



「必ず帰るから・・」



泣きつつ、キラさんがちょっと困った顔をしてる。

・・そういえば、こんなに泣いてるの・・誘拐されたとき以来かも・・。ずっと鼻をすすると、キラさんがポケットからハンカチを出して、渡してくれた・・・。なんか、そんな些細な行動に思わず胸が一杯になった。



「・・・キラさん、大好き」



ヘラっと笑うと、キラさんは少しホッとした顔をしてから、柔らかく笑うから、なんだかまた泣けてきた。私から、キラさんにキスすると、キラさんは嬉しそうに笑う。



ニルギさんの言葉通り、構い倒されて・・、ちょっと赤い顔で騎士団に戻ったのだった。




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