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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
123/566

黙して語らない騎士、準備します。


ニルギさんの一言に固まった私の横で、ケトルがピーっと沸騰した事を知らせて我に返る。


急いで火を止めて、ポットにお湯を入れつつ、ニルギさんを見ると、ニルギさんはまたクッキーを食べ出す。・・・糖分取ってもよく痩せてるなぁ・・。


「んー・・、そろそろ起きそうなんだよ」

「戦争がですか?」

「そう、王位継承権争いとかね・・」

「・・・仲良くすればいいのに〜〜〜」

「・・・そうだな」


ニルギさんは、ふっと小さく笑う。

ウルクさん家とか、キラさん達だって・・まぁ、仲は悪くないと思うのに・・。


「ナルのように、皆そんな風に思えれば、もっと世界は楽しいと思うがな。そう思えない残念な輩が多くてなぁ」


ニルギさんはボリボリとクッキーを齧りつつ、もう一枚新たに食べようとする。


「ニルギさん、ペース早いです」

「そうか?」

「ちょっと抑えめでお願いします・・」


そう言うと、ニヤッと笑う・・。ニルギさんは本当にマイペースだなぁ・・。


「多分、団長達はその辺りを話している。ナル、ある程度覚悟しておけよ」


胸がドキンとする・・。それは、どういう意味・・・?

キラさんが帰ってこない・・とか?

戦争が長引くとか・・?ごくりと唾を飲むと、ニルギさんは真剣に見つめる。



「多分、ウルキラ・・戦争に行くってなったら構い倒す」

「・・・そっちか〜〜〜〜!!!」



思わず力が抜ける・・。

ああ、でもそうなるな・・、絶対そうなる。


「・・なんかキラさんだけは、何があっても変わらなくて・・安心します」

「そうだろう、うちの息子は本当にいい子に育った」

「・・それ、ニルギさん言いたかっただけじゃないですか?」

「そうとも言う」


ニルギさんは、嬉しそうに笑う。

そうだな・・。キラさんは、何があっても変わらずキラさんのままだろう。

ニルギさんは、不安になるだろう私をそれとなく励ましてくれたんだろうな・・、そう思ったらじわっと胸が温かくなる。優しい人ばっかりだな!嬉しいな・・。


「・・・今度、お茶菓子何がいいですか?」

「チョコとナッツのクッキーだな」


二人で顔を見合わせて笑う。

不安よりも、きっと大丈夫って気持ちをもらって私は執務室へニルギさんと向かった。



・・でも、ニルギさんお菓子食べ過ぎだと思うな〜・・。



執務室へ入ると、ある程度話は纏まったのだろう。

団長さんはニルギさんを見ると、手招きして耳元で何やら話していた。


キラさんを見ると部屋の壁にもたれかかって、少し考え事をしていたようだ。


テーブルにお茶が入ったトレイを置くと、ハッと私に気付いた様子だったな・・。珍しいな・・。やっぱり色々考えることあるんだな。


ルピスさんとルーンさんも、ちょっと思いつめた顔をしていた。


カップを順に渡すと、ルーンさんはホッとした顔をしていた。そうだよね・・、色々あるから緊張するもんね・・。

ルピスさんは、お茶を受け取ると、小さく笑って・・


「ありがとう・・」


お礼を言うから、微笑み返した。

大分表情、柔らかくなってきたな・・。


団長さんは、私達をぐるっと見回して・・


「ウルキラ、ニルギ、フランは、寮にしばらく寝泊まりしてくれ・・。最悪、ここからすぐに戦いに向かう可能性がある」


戦い・・。

そんなに深刻なのか・・、思わずキラさんの顔を見る。

キラさんは、そっと私の側へ来て手を繋ぐ。

真剣な目に、体が固まる。


「ナルも泊まる」

「・・・・・うん、キラさん、本当にマイペースだね・・・」


私は遠くを見る目になった・・。

いや、思わず遠くを見るよ・・。

本当にマイペースだな・・・。



「ナルさん、ウルキラ頼むね〜!」



って言うけど、それは団長さんの仕事だと思います!!!

ちょっと顔を赤くしつつ、ギロッと睨んでおいた。




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