黙して語らない騎士、戦いへ?!
赤ちゃん騒動でちょっと慌しかったけれど、大変癒された私達・・。
執務室の大人達は、写真は見せてもらったけど、やっぱりちょっと寂しかった。
団長さんは、しみじみと・・
「小さい子って、やっぱ可愛いなぁ・・。いいなぁ、ウルク」
「団長さん、山盛りの書類で現実逃避したい気持ちは分かりますが、お仕事しましょう」
「わぁああん・・・、もうお仕事嫌だよう」
まあね〜、色々ありすぎて大変だよね・・。
王都の方も、なんかまだゴタゴタしてるらしいし。
ルピスさん・・・、こうなるのちょっと予想してて、こっちに視察に来る名目でルーンさん連れ出したのかな・・。あれ?もしかして、そういうこと・・?
ちょっと団長さんを見ると、書類を見ながら、
「まぁ、そうです〜って、一応言っとく〜」
「団長さん、人の心を読まないで下さい・・」
「お?合ってた?すごくない僕?」
この人は・・・、すごいんだか、すごくないんだか・・。はぁっとため息をついて、窓の外の訓練場を見る。今日も騎士さん達が「マジで死ぬ3秒前!!」とかいう訓練しているんだろうなぁ・・。
「・・ルピスさんの魔力量に、こっちの騎士さん達・・死なないといいけど」
「いやぁ〜、すっごい鍛えられて助けるけどね」
自分はしないから、気楽だな〜・・。
ライ君とフランさんが、部屋へ書類を持ってきた。
「団長さ〜ん、お手紙来たよ〜」
「・・・・・嫌だなぁ・・、フランのその口調から、嫌な手紙きたろ?」
・・そうなのか。
フランさんは、ふふっと笑いながら団長さんに手紙を渡すと、すぐに確認した団長さんが、あっまいチョコクッキーを見た時のような顔をする・・。
「・・・・来たよ・・・・」
苦々しく言うと、手紙をさっと開けて中身を確認する。
大変そうだなぁ・・、私は自分の書類仕事をする。あ、誤字発見・・。後で直してもらおう。
「ナルさん、お仕事中ごめんね。ウルキラとルピスさんとルーンさん訓練場から呼んで来てくれる?フラン、ニルギ頼むわ〜」
「はい!」「は〜い」
何かあったのだろう、さっと書類を置いてすぐに訓練場へ向かう。
訓練場の中へ入っていくと、個別練習なのか騎士さん達は魔術師さん達と、一緒に訓練していた。真ん中の方に、キラキラ光る銀髪が二つ見える。あ、なんかいいな・・。
思わずほんわかしちゃうけど、いかん・・今、仕事だ。
「キラさーーん!!!」
思いっきり大きな声で呼ぶと、キラさんがこちらを見て駆け寄ってくる。
「ルピスさんと、ルーンさんも団長さんが執務室へって呼んでます!」
そう言うと、二人も一緒にやって来た。
先にやって来たキラさんは、私を見て小さく笑う。
「お仕事中、すみません・・。団長さんが・・」
「ああ、ありがとう」
お仕事モードのキラさんは、キリッとしてて格好いいなぁ・・。ちょっとソワッとするんだが。程なく二人もやってきて、ルーンさんと目が合うと、ちょっと照れ臭さそうに俯く。・・・すみません、いつぞやはご迷惑おかけしました。速攻でキラさんが私の前に壁になった。
おっけー、キラさん・・冷静になろう。
4人で執務室まで一緒に行って、私は一旦お茶を淹れるべく給湯室へ行く。
お湯を沸かしていると、呼ばれたニルギさんが給湯室へ顔を出す。・・・お菓子狙いですね?
「お菓子・・、こちらですよ?」
そっとクッキー缶を渡すと、ニコニコ笑って早速蓋を開けて食べ出す。早い・・早いですよ、ニルギさん。クッキーをもぐもぐ食べながら、私を見る。
「そろそろ色々起きそうだな」
「そうなんですか?・・またキラさん、魔物討伐の遠征ですか・・?」
「いや、戦争になるかも知れん」
ニルギさんの突然の言葉に、体が固まった。なんだって・・・・・???