黙して語らない騎士の口を動かすお仕事です11
夕食を食べ終え、お風呂に入ると・・もう瞼が重くなる。
乗ったことがない馬に連日乗り、今日は魔物にもあったのだ・・。まぁ、すぐ目をつぶっちゃったんで、なんか口開けたのが飛んできたなぁ〜くらいだけど・・。ベッドに寝っ転がりながら、剣の手入れをしているキラさんに話しかける。
「キラさん、明日も魔物とか出ます・・?」
「いや、今日みたいなのは出ない」
「・・そっか、良かった・・。あ、遅くなっちゃいましたが、守ってくれてありがとうございます」
「ああ」
「シーヤに着いたらキラさん、どうするんですか?」
聞いておいて、ウトウトしてる私・・。
そうだ、明日はシーヤに着くんだ・・騎士団に保護されるって言ってたけど、どうなるんだろ・・。
「・・・団長に報告して、ナルを保護してもらう」
「あ、そこから・・」
「その後、仕事がなければ一度休む」
「そうですよね・・3日間・・一人から二人になっちゃって疲れましたよね」
うぅ、瞼が重い・・。
いいや、閉じつつ会話しよう・・・。
「キラさん大変だったと思うけど、私、キラさんに保護されて良かったです・・」
「そうか」
「・・・この会話も、結構楽しかったです」
「・・そうか」
「だから、時々また話してくださいね・・」
「・・・・・・・・ああ」
体がホカホカしてきて、眠気が襲いかかってくる・・。
あー、もう寝よう。
「・・・また明日起こしてください・・・」
それだけ言うと、私は爆睡した。
明日はシーヤだ・・。そして、新生活が始まる・・、そう思いつつ。
次の日・・。
連日と違って、朝日が上がってからの起床だった。
思わず遅刻した?!と、思った。ベッドから飛び起きて、身支度していると、キラさんが朝食がのったトレイを持って部屋へ戻ってきた。
慌てすぎて、部屋にいる事にも気付いてなかったーー。
「あと半日で着く。ナルも連日、馬に乗って疲れたろう」
「き、キラさん・・・!!!!」
言葉足りねぇ!!!表情、読めねぇ!!!と、文句ばかりを心の中で言いまくって、ごめーん!もう一度反省しとくわ・・。
朝食のサンドイッチをベッドの上で噛み締めながら食べる。
キラさんのは分厚いハムが入ってたけど、私は魚の白身をシンプルに塩で焼いたものだった。・・・もしかして、魚好きだって言ったから、頼んでくれたのかな・・。おかげで今日も完食できたぜ!
そうして、いつものように支度をして、馬に無言で乗せられた私は、シーヤまでの道のりを景色を見ながら楽しんでいた。木の間から見えていた海は、どんどん近くなり、時々潮風だろうか、海の香りがする。
カモメっぽいのが、空を飛んでいる。
そうして、シーヤの町に近づくと、町全体が大きな城壁に囲まれている事に気付く。
門構えが今まで来た町と全然違う!
これ・・都市だよね・・?
石の城壁でできた門の前には、4、5人の甲冑を着た人が立っている。キラさんの顔を見ると、敬礼をして中へ案内してくれるので、びっくりする。
石畳の道を進み、町中を見ると・・色とりどりのレンガでできた家が並び、服や物が綺麗にディスプレイされている店もある。歩いている人の服も様々で、ラフな格好の人もいれば、物凄く綺麗なドレスやスーツを着ている人もいる。
そうして、町の真ん中辺りに白いレンガで出来た大きな建物の前に着くと、キラさんは馬から降りて、私も無言で降ろす。
「・・ここが、騎士団の詰所だ」
キラさんに言われて見上げる・・。
「でっかいですね・・」
「この国で二番目に大きいからな」
「ああ、なるほど」
そんな間抜けなコメントをしながら、キラさんと建物の中へと入る。
・・・まさか、着いて早々に大変な事態が起こるとは知らず・・。