黙して語らない騎士、一緒に可愛いがる。
結局キラさんがお昼ご飯を執務室へ持ってきてくれた・・。
ごめん・・・赤ちゃん可愛すぎて・・。
ソファーに座ってスヤスヤ寝ている赤ちゃんを抱っこしているのを見ると、癒される!!!ここの所、色々ありすぎたから余計に癒される!!!小声で隣に座るキラさんに、
「可愛いですよね〜〜〜!!」
と、言うとキラさんも微笑んで頷く。
キラさんも赤ちゃん好きなんだなぁ・・。
「ナルも可愛い」
「・・・キラさん、そこは張り合わなくていいですからね?」
小声で言ってくれて良かった・・。
団長さんが書類仕事しててくれて助かった・・。ホッとして目の前のニルギさんと目が合う。ニヤニヤ笑ってらっしゃる・・、バッチリ聞いてましたね・・。
「親子みたいだな」
「・・な、ななな・・・」
ニルギさんの一言に、思わず顔が赤くなる。あ、ちょ、キラさん横で静かに頷かないで!なんというか照れくさいから!!ライ君はお昼を食べ終わったのか、こちらへ来る。あ、ああ〜・・赤ちゃんタイムが・・。
「ナルさんすみません、お昼の時間なのに・・」
「とんでもないよ〜!お仕事は大丈夫?」
「はい、皆さんが赤ちゃんを抱っこしてくれたので・・」
そうかぁ〜・・、それなら仕方ないかぁ〜・・。
そっと赤ちゃんを起こさないように、ライ君に渡すと上手に抱っこする。
弟が小さい時、面倒を見ていただけあって、手慣れてるなぁ・・。
「ナル、お昼を食べよう」
「そうだね、キラさん持ってきてくれてありがとう」
「・・ああ」
起こさないように、私がいつも作業している机の方に移動してお昼を食べる。
「赤ちゃん・・可愛いけど、早くお母さん見つかるといいですね」
「そうだな・・、あの辺りだったらすぐ見つかりそうだが」
「そうなんですか?」
騎士団の情報網すごいな!思わず目を丸くする。
「・・・まぁ、警備隊もいるからな、そことも連絡を取り合うだろう」
「頼もしいしかないですね・・」
そういえば街の人から相談を受けてたな・・。
騎士団の仕事・・本当に多くて大変だな。
あ、そうだ!見習い騎士の時代とか、団長さんに聞きたいと思ってたんだ!本人が目の前にいるけれど・・、話してくれるんだろうか・・。
「キラさんも警備してたって、前に言ってましたね」
「ああ」
「何か思い出に残っているのありますか?」
「・・・・・団長が冬に道で滑って、下り坂をものすごい勢いでそのまま滑り下りていった」
「あ!!ウルキラ・・!!おま・・それはもう忘れろ!!」
団長さんが途端に反応したが、赤ちゃんが寝ているので小声だ。私とニルギさんが同時に団長さんを見て、ニヤリと笑った。あ、さすがニルギさん・・こういう時は気が合う!
「・・そのまま坂の下まで滑って、樽に突っ込んでいったな」
ニルギさんがニヤニヤしながら話すと、団長さんは両手で顔を隠す。
「・・・・もう嫌、この親子・・・・」
団長さんの悲痛な叫びは小声だ。
赤ちゃんに配慮しててえらいなぁ・・・。ちょっと可哀想だったので、食べやすいって言ってたレモンクッキーを渡したら、団長さんはキラさんに「いいだろ〜、ナルさんに貰っちゃった〜」と、言うのでキラさんがフォークを投げようとした。・・やめて、執務室で!!しかも赤ちゃんいるから!!!流血だめ!絶対!!
あとニルギさんも静かに笑ってないで、止めてください。
普段だったら、ドタバタと騒がしいのに・・赤ちゃんが寝ているために、静かな騒動を巻き起こしていた・・・。途中、執務室へ来たラフさんが驚いていたのは言うまでもない。
結局、赤ちゃんのお母さんはまだ見つからず・・情報が入り次第、知らせる事になった。ライ君は、ちょっと安心したような顔で赤ちゃんを抱っこする。そうだよね・・可愛いもんね。
ちなみにウルクさんが詰所の前まで迎えにくると、赤ちゃんが一番喜んできゃっきゃと笑うので、みんなでやっぱり父親なんじゃ・・と疑わしい目を向けられた。
「違うっすよ〜!俺、赤ちゃんとお年寄りにはめちゃくちゃモテるんすよ〜!!」
そういうウルクさんに、後ろの騎士さん達が憐れみの目で見つめていて、ライ君は大きな・・大きなため息をついていた・・。お、お疲れ様です。