黙して語らない騎士はマイペース。
今回の襲撃事件は、やはりルーンさん狙いだったらしい。
執務室で、とにかく色々な事を終えて一息つくと、団長さんやラフさん、ルピスさん、キラさんも一緒に話し合いをする。私とフランさんは何かあった時のために待機して、ライ君は今回は先に帰ってもらった。・・確かに、いくら賢くてもライ君は、まだ子供だしね。悔しがってたけど。
ルピスさんの魔術で速攻防いだけど、騎士さん達が騎士団が近い事もあって、すぐに呼びに来たらしい。でも、こんな近くに騎士団があるのに、襲うって・・、すぐ駆けつけられるし意味なくない?・・て思っていたら、団長さんが神妙な顔をする。
「・・恐らく、第一王子側の派閥がルーン様の派閥に揺さぶりをかけてきたんだろう。こんな騎士団の近くで、しかも私やウルキラがすぐにいるのに襲うって事は、そう言う事だ・・。襲ってきたのも、そういった事態を理解してないアホな傭兵崩れだった。普通なら、もっと人数を送らないと命を奪うなんて出来ない」
皆、静かに頷いているって事は、すぐにそれを理解していたのか・・
・・・・私はさりげに言ってる内容にゾッとする・・。でもそうなのか・・、そういう世界なんだな・・。
団長さんは、ルピスさんを見て
「このまま、明日帰るのは危険だと思います」
「そうですね・・。ただ、どちらにしても王都へ戻るのは今危険だと思いますが・・」
ええ?!そんな感じなの?私は、横にいたフランさんを見ると、困ったように頷く。団長さんは、ラフさんを見る。
「王に知らせは?」
「すでに出した。王としてはこちらへ滞在させて欲しいとの事だ。王位継承の問題もあるが、隣国のガダの話が片付いていない・・」
「・・ガダか・・、あっちも頭が痛い・・」
な、なんか色々あるんだな・・。
とはいえ、私・・何も出来ませんけど・・。
ふうっと大きなため息をついた団長さんは、私とフランさんを見る。
「宿舎に2部屋、しばらく過ごせるように急だけど整えてきてくれるか?フラン、すまないがニルギを呼んで、警護の話をしておいてくれ」
「わかった。ナルさん手伝ってくれる?」
「はい!」
私は一緒に立って、ちらっとキラさんを見ると、腕を組んで壁に寄りかかっていたキラさんはそっと手を振ってくれた。私もちょっとだけ手を振ってすぐフランさんについて行った。
階段を下りつつ、フランさんは、
「ウルキラさんは、幸せ者ですね〜」
なんて言うから、ちょっと照れてしまう。
いや、私も幸せですけどね。
私とフランさんで宿舎の部屋を用意すると、団長さんがルピスさんとルーンさんを案内しながらこちらへやって来た。宿舎はルピスさんとルーンさんで使うんだな・・。
フランさんは、先に戻っていて大丈夫ですよ〜と言うので、お言葉に甘えて執務室へ戻る。・・・うん、キラさんがまたヤキモチ妬くと困るしね・・。階段を下りて、扉を開けるとキラさんがこちらへ向かっていた。
「あれ?キラさん、こっちに用ですか?」
「・・ナルの迎えに」
「大丈夫ですよ〜」
・・・とはいえ、そういって昨日のパターンである。
じっと見るキラさんの目から、そろっと視線を逸らした・・。
「ナル・・・」
「何もないですよ?大丈夫です!フランさんが先に戻れって・・」
「ああ・・」
キラさんがそっと手を絡ませてくる。
・・いつもと様子が違う?
なんだか胸騒ぎがする。キラさんを見ると、じっとこちらを見つめる。
「・・・キラさん、何かあったの?」
「・・・・まだ」
「まだ?何??何かあるの?あったの?」
ドキドキして聞くと、
「あいつがいる・・」
あいつ・・・?うん・・・??私はキラさんをじっと見る。あいつ・・、あ!ルーンさんの事か?
「ルーン・・さんの事?」
静かに頷くキラさん・・。ちょっと目つきが怖いんですけど。
「・・近付かないように」
「あ、はい」
・・・・キラさんは、どんな情勢でも私の方が気になるらしい・・。そうか・・、思わず笑ってしまうとキラさんは、不思議そうに私を見る。・・うん、キラさんがいれば、大丈夫な気がしてきた。