黙して語らない騎士、仕事してきた。
団長さん達は馬に乗って、あっという間にキラさん達を連れて行ってしまった。
私とライ君が、ちょっとソワソワしているとフランさんが
「まぁ、予想はしてたから・・大丈夫ですよ、なにせ最強コンビですからね」
そう笑ってお茶を飲む。そ、そうなの???
「最強コンビって、団長さんとキラさんですか?」
「はい〜、しかもそこにルピスさんもいるんだから、襲った方はたまったもんじゃないはずですよ」
ニコニコ笑うフランさんに、ライ君と目を合わせて、大きなため息をついてしまう。そう言われても、急な事態はやっぱり慣れていないんですよね・・・私達。ライ君は少し考えてから、
「兄から聞きましたけど、ルーンさんって、王位継承者なんですよね?そういった身分のために襲われたんですかね?」
「うーん、今回はそっちの線かもね〜、なにせ普段はもっと護衛がついてるし」
フランさんが事もなげに言うので驚いてしまう。そうだったの?!昨日、医務室はお医者さんとルーンさんの二人のみだったけど??大丈夫だったの???思わず目を丸くすると、フランさんはニコニコ笑って私を見る。
「ナルさんの事もあって、悪い人はこちらへ絶対入ってこられないようにウルキラさんとニルギさんが、魔法をかけてくれてるんですよ」
「あ、なるほど・・・・・・?」
いいのか、理由が私からで・・。
いや、あの二人はいいのかも。団長さんは・・、きっと楽だからいいや〜って思ってそうだな・・。
「そうだったんですか・・、ルーンさんも大変なんですね」
「今回はルピスさんと一緒で嬉しそうでしたしね〜・・、まぁ慣れてると思いますけど」
「・・・いや、慣れたくないですよね」
思わず目が遠くなる。
嫌だよ・・そんな常時狙われる人生・・。
フランさんは眉を下げて笑う。
「せめて、安心してここでは過ごせたら良かったんですけどねぇ・・・」
「そうですね・・」
帰ってきたら、お茶を淹れる人・・増えそうだな。ちらっとライ君をみると、同じ事を思っていたらしい。
「ナルさん、食堂にお茶とお茶菓子・・お願いしに行きませんか?」
「うん、同じ事思ってた・・。フランさん、ちょっと行ってきていいですか?」
「はい、お願いします〜」
のんびりした口調に私達がホッとする。
ちょっと体を動かして、この緊張をどうにかしたいのもあるし。
ライ君と一緒に階段を下りて行きながら、お茶菓子を何にしようかと話すと、ライ君はいいことを思い付いた顔をする。
「団長さん、すっごく疲れてるんでルーナさんも一緒にお茶出しお願いしたらいいと思います」
「・・・ライ君、優しいね〜。でも、いいねそれ!そうしよう!」
二人で笑い合って、食堂へ行った。
早く帰ってきてね、キラさん・・そう思って、玄関の方をチラッと見つつ・・。
そうしてしばらくすると、団長さん達が戻ってきたのか執務室から騎士団の玄関の方を見ると、馬に乗って指示するキラさんの姿が見えた。
「帰ってきた!」
私が窓を見て、ライ君とフランさんに言うと二人は頷いて、一緒に下へ降りて行く。他の騎士さん達もすでに玄関の方へ集まっていて、馬を連れて馬房へ向かう人もいたり、お医者さんも待機してたのか団長さんと話していた。
キラさん、さっき見かけたけど・・どこかな?
キョロキョロ探していると、銀色の頭が見えて、思わず駆け寄ったらルピスさんだった。
「だ、大丈夫でしたか?」
思わず声をかけると、少し驚いた顔をしてから小さく笑って、
「ああ・・、すぐにウルキラ達が来てくれたからね。助かったよ」
穏やかに話す姿に、ホッとした。
あ、ルーンさんは一緒じゃないの?大丈夫かな?と、周囲を見渡すと肩に手が置かれて、振り向くとキラさんが立っていた。
「キラさん!良かった・・、大丈夫?怪我してない?」
「ああ」
「・・・良かった。あ、もし落ち着いたらお茶を食堂にお願いしてあるんだけど・・」
「伝えておく」
私は頷くと、キラさんは小さく微笑んだ。
いつもの水色の瞳が見られて、心底安心した・・。