黙して語らない騎士出動!
大層上機嫌になったキラさんに、結局家に帰って愛でられた翌日・・、
執務室へ出勤すると、団長さんがニヤニヤしてる。
あ、昨日の詰所まで全力疾走したのを知ってるな・・。
「・・・・おはようございます」
「おはよ〜!今日もお仕事頑張ろうね!」
・・・腹たつんで、その笑顔やめてもらっていいですかね・・・。
思わずジロッと睨んだよ。
「・・・はい、頑張りましょう」
「ナルさん、今日はこっちの仕事と、街への視察とどっちがいい?」
「・・・へ?なんで視察?私、書類の仕事しますよ。あと、団長さんキラさんにそういう事言うと殺されますよ・・。私、昨日は珍しく怒られたんですから・・」
「へ〜!!!ウルキラが!?ナルさんに?!珍しくない!!!???」
団長さんが目を丸くする。
そうだよねー・・・、私もそう思う。といっても、悪いのは私じゃないと思うんだけどなぁ・・。家に帰ったらまず言われたんだよね・・。
「不用意に触らせないように・・と言われたんですけど、防ぎきれます??」
団長さんに同意を求めたら、思い当たる事があったのか・・納得・・な顔をしてた。え、やっぱり私がダメだった感じ?
「そうだねぇ・・、ウルキラはナルさん大好きだからねぇ」
「・・・・あの、しみじみ言わないで頂けると・・」
ちょっと顔が赤くなる・・。
そういうのは職場でなく、お茶した時にでもお願いします。
「ちょっとイジワル言ってごめんね、ナルさんが珍獣扱いが凄すぎて・・面白くて。今日は書類仕事お願いね!」
「さり気なく酷い言われようですけど、頑張ります。お茶菓子チョコスコーンです、もそもそする甘いのをどうぞお召し上がりください」
えーーーって団長さんは言うけど、当然です!!
ライ君や、フランさんが書類を運びつつ部屋に入ってきて、その後はいつも通り大忙しだった。団長さんも、今日は書類の始末に追われていた・・。そうだよね〜、訓練連日付き合ってたら、いくら一緒にやっても終わらないもんね。
ひと段落ついたので、お茶を淹れる。
団長さんがお茶を一口飲んで、思いっきり息を吐いた。お疲れ。
「今日の街の視察はミラファ殿が行ってくれて助かった・・」
「あ、やっぱりそうだったんですか?」
朝からラフさん見ないな〜とは思ってたんだ。ラフさんも忙しいだろうに・・。帰ってきたらまたお茶を淹れないとかなぁ〜なんて思いながら、窓の外を見る。
「・・・王族って、大変ですね」
私がポツリとこぼすと、団長さんが眉を下げて笑う。
「そうだよね〜、でもこの国を守る役目があるからね」
「・・・そうですね」
まぁそれは団長さん達も同じだろうけど。
国防の面では、結構ここ大事な場所だってラフさん言ってたし。
「明日少し早めにルピスさん達帰ることになったから、とりあえず言っておくね」
「え、そうだったんですか?!」
キラさんとの関係もどこか変わったか、変わらないか・・みたいで。微妙だけど、あ、でもお兄さんという存在を認識してただけ違うのかな?
「本当に難しい・・」
「お嫁さんは大変だね!」
ニヤニヤしながら団長さんが言う。
まったく何かしら言いたいらしい・・。と、ドアを叩く音が聞こえて、珍しいなと思ってドアを見る。
団長さんはサッと顔つきが変わって、返事をするとドアが勢いよく開く。
騎士さんの一人が勢いよく入ってくる。
「ルピスさん達が、襲われて今応戦中です!至急応援お願いします!!!」
「すぐ行く!場所は!?」
「港の近くです!」
「あそこか。ウルキラと騎士5名を向かわせろ!」
返事をした騎士さんは急いで呼びに向かう。団長さんも追うようにすぐ向かっていった。
私は急な展開で、ライ君とどうにもできずその間立ち尽くしてしまった・・。