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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
112/566

黙して語らない騎士、嫉妬する。


午後の仕事を終えて、書類を片付けると執務室を出る。

明日は、本来の街の視察を魔術師さん達はするみたいだし・・、ルーンさんも体調が戻ったと言うし、大丈夫だろう。


詰所を出て、医務室へ行こうとすると途中でラフさんに出会う。


「ラフさんお疲れ様です!」

「お疲れ様、訓練場へいかないのか?」

「あ、はい先に医務室へ行って、ルーンさんの様子を見に・・」


「・・・・・・・ああ」


「あの、今の王様の息子さんで次男って・・、本当ですか?」


コソッとラフさんに確認してみた。

ラフさんは、静かに頷いた。



「・・・身内が迷惑をかけているんじゃないかと不安でな・・・」


ラフさんが遠い目をする。すみません、その甥っ子にあたる人にすでにメンチは切るわ、ベッドに押し倒して寝かせました。やばい、何も知らなかった事に絶対する!!!


「大丈夫ですよ!体調が悪くなってただけみたいですし・・」

「だけならいいが・・・」

「・・・ラフさんも色々大変なんですねぇ・・」

「こっちに来て、大分静かになったがな」


ラフさんが小さく笑う。


「リルケさんにも会えましたしね〜。結婚式、秋頃ですか?」

「・・・・・ん、まぁ・・・」


ちょっと照れ臭い顔をするラフさんも幸せそうで何よりだ。


「あのラフさん、医務室へ寄っていくのでキラさんに会えたら、伝えてもらえますか?」

「ああ、わかった」


挨拶して、私は足早に医務室へ入っていくと、ルーンさんは起きていて魔術師のローブかな?羽織っていた。


「あ、もう起きて大丈夫ですか?」

「・・・お前か」

「果物食べられました?熱は引きました?」

「・・果物は食べた。熱も下がった」

「そうですか、それは良かった。明日は街の視察だそうですから、ゆっくり休んで備えて下さいね」


さっきのラフさんの幸せそうな顔で、私は大分頬が緩んでいるし、気分が良い。ニコニコしてそう話すと、ルーンさんはちょっと照れ臭そうに私を見る。


「・・お前は、ルピス様の縁者なのか?」

「・・・・縁者・・・?ああ、そうなるの・・かな?」


ルピスさんの弟の嫁って、そう呼ぶのかな・・?あれ、義理の嫁って、そういう括り?考えている私に、ルーンさんはちょっと嬉しそうな顔をして私を見る。


「・・・街の視察、一緒に行かないのか?」

「案内が必要であれば、行きますが・・」


でも、それだったら私よりフランさんとか、団長さんが適任かな。私、まだ全然こっち知らないし。



「じゃあ、明日・・一緒に「ナル」


ルーンさんの言いかけた言葉に、もう一つの声が重なった。

振り返ると、キラさんが入り口に立っていた。


「キラさん、仕事終わったんですか?」

「ああ、ミラファ殿に言われて、こっちだと言うから」

「そうでしたか、私もいま行こうと・・」


キラさんの近くへ行こうとすると、ルーンさんが私の手首を掴む。


あれ?


手首掴めるの?あ、悪意がないからか??


「えーと、ルーンさん?」

「・・・そいつは何だ?」

「そいつ・・・?」


キラさんの事だろうか?キラさんを見ると、ルーンさんを



すっごい睨んでる。


めっちゃ睨んでる。


ものすごく睨んでる。



え?なんで?何かあったの?私の預かり知らぬ間に・・・???

思わずルーンさんと、キラさんを交互に見るけど、えーとこれはどうすればいいのかな?


そう思っていると、キラさんの後ろから誰かが入って来た。

ルピスさんとラフさんだ!

ルピスさんは、小さくため息をつくと、



「ルーン、ナルさんを離しなさい。彼女はウルキラ副団長の奥様だ」

「・・・・え?!!!」


ルーンさんは私を見る。あ、はい嫁です。思わず頷く。

キラさんはツカツカと歩いて、ルーンさんの手を離すとさっさと私の手を繋いで無言で部屋を出て行こうとする。私は慌てて、後ろを振り返って、



「お、お疲れ様です〜〜!!」


何とか挨拶だけ返した。

ラフさんが苦笑いしながらこちらに小さく手を振っているのが見えたけど、あっという間にキラさんに訓練場まで連れて行かれてしまった。


な、何〜〜〜〜???



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