黙して語らない騎士ご機嫌。
翌日。
快晴!!気持ちいいくらいの快晴!!
ちょっと目に眩しい・・。
キラさんと手を繋いで出勤するが、キラさんは朝からご機嫌だ。・・・・うん、ご機嫌で何よりです。私はちょっと顔が朝から赤いですけど・・。
騎士団の詰所の前に着くと、フランさんがいた。何かあったのかな?
「フランさん、おはようございます!何かありました?」
「魔術師のルーンさんが体調を崩しちゃって・・、今、お医者さんに診てもらっているんですが、他にも仕事が入ってしまって・・、申し訳ないんですが、ルーンさんの荷物を医務室へ一旦持って行ってもらえますか?」
あの失礼なやつか・・・。
しかし、仕事だ・・メンチは切るけど、行きますよ。
フランさんから荷物を受け取って、キラさんを見上げる。
「キラさん、そういうわけだからちょっと行ってきますね」
「ああ」
そういって、行こうとすると私の手首を掴むキラさん。
「・・・・キラさん?」
「昼、一緒に食べたい」
・・そうでした。昨日はバタバタ続きで食べられませんでしたね。
「・・はい、一緒に食べましょう!!」
ヘラっと笑うと、キラさんも小さく笑って手首をそっと離す。
キラさんに手を振ると、小さく振ってくれる。・・・・やっぱりちょっと離れがたい気持ちがあったけど、約束してくれたし、そう思って医務室へ急ぐ。
「失礼します」
医務室へ入ると、ルピスさんとお医者さんと、寝ているルーンさんがいた。
「おう、ナルさんか」
おじさんのお医者さんが手をあげる。ホッとしてお医者さんの側へ行く。
「体調は大丈夫ですか?」
「魔力を使いすぎたな・・、ちっと疲れが出たようだ」
「あれだけやってましたしね・・・」
昨日の火と氷の雨を思い出す。
ルーンさんは、少し赤い顔をしている。熱があるのかな・・額にのせたタオルを取って、体を起こそうとする。
「・・・俺、いけます・・、大丈夫です」
「ダメだ、ルーン・・しっかり休め」
ルピスさんが、そっとルーンさんの肩を押さえる。
「でも、ルピス様は行くのに・・、俺が寝ている場合では・・」
「ルーン・・・」
ちょっと困った顔になっているルピスさん・・。
私は、ツカツカとルーンさんの前にやってきて肩をぐいっとベッドに押した。ルーンさんとルピスさんは驚いて目を丸くする。ルーンさん、顔真っ赤じゃん。
「な、なな・・!!」
うむ、女の人に乱暴を許さない国で良かった。
ピシッと体が固まって動かないルーンさんをいいことにそのままベッドに倒した。
「ルピスさん、魔力めちゃくちゃありそうだし、そんな人と自分を比較して頑張ろうとしてもどうしようもないでしょう?疲れたら休む!普通のことですし、人間の基本です!社会人の心得です!!」
私がルーンさんを指差すと、後ろでお医者さんがでっかい声で笑う。
「・・だが・・」
私は、思いっきり顔を覗き込んでやった。顔が真っ赤な分際で何を言うか!!
「疲れてる状態で仕事をしても、いい事はありません!今日ちゃんと休まないと、困るのはあなたとルピスさんです!大体、顔真っ赤ですよ?熱もあるんじゃないですか?」
額に手を当てると、ルーンさんは真っ赤になって固まるし、お医者さんはゲラゲラ笑うし・・、なんですか・・仕事してくださいよ。
ルピスさんも、小さく笑っていて・・、おお、やはり似てるなんて思っちゃった。
ルーンさんの荷物を、枕元に置いて布団を首まで掛けた。
メンチを切っても、お仕事はしますよ私。
ルピスさんを見て、
「とりあえず、団長さんに伝えてきますね。編成を組み直す事とかありますよね?」
「そうだな・・お願いする」
「はい!ルーンさん、ちゃんと寝てて下さいね!ダメですよ無理しちゃ!」
言葉にならないのか、ルーンさんは布団の中で小さく頷いた。よしよし。
「じゃ、また後で様子見に来ますね!失礼します」
私は急いで執務室へ行って、団長さんに報告する。
ルーンさんが休むと話すと団長さんが驚く。
「ルーンさん、休むって言ってたの!?絶対休まないって言ってたけど・・」
「ベッドに倒して休めって言ってきました」
・・・・団長さんの顔が青くなったけど、何かあった?