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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士との約束。


家に帰って、夕食を食べ終わるとクタクタになった・・。

お風呂、お風呂だけは入るぞ・・。


気合いで這うようにお風呂に入って、ベッドに倒れこむ。つ、疲れた・・。精神的な疲労って、こんなにも体に来るのか・・。そりゃ遠征帰りのキラさんだって熱も出すわ・・。


キラさんはサクッとお風呂に入ってきたのだろう・・。

髪がびしょびしょです・・キラさん。



「キラさん、風邪また引いちゃいますよ・・」


そういうと、私の前に座る。

・・・はい、拭いて欲しいと。無言のキラさんの銀髪をタオルでゴシゴシと拭く。


タオルの隙間から嬉しそうな水色の瞳が見えた。


「キラさん・・・、子供みたいです」

「そうか」


いつもの返事に小さく笑って、髪を拭く。


「今日の訓練・・怖かったです・・。キラさんが怪我しちゃうかもって思って・・」

「・・ああ」

「あんな風に現場でも大変な時があるって聞いて・・、心配になって」

「そうか」


タオルを、そっと下ろしてキラさんを見る。

この嬉しそうに髪を拭かせる人とこんな風に一緒にいられなくなる・・そんな事を考えたら胸が痛くて仕方ない。


「・・・キラさん、絶対帰ってきてください・・」

「ああ・・」

「いなくなっちゃったら・・・嫌です」


死ぬ・・・という言葉は一つも使いたくなかった。

綺麗な水色の瞳をずっと見ていたいのに・・、そんな言葉聞きたくないし、話したくない。そう思ったら、鼻がツンとしてきた。ダメだ・・泣かないようにしようと思ったのに・・。


キラさんが、そっと抱きしめてくる。


「・・・・キラさん、ずっといて下さい・・」

「ナル」

「約束です・・」

「約束する」


私はキラさんのシャツをぎゅっと握りしめる。


どこにもいかないで欲しいけど・・、そうはできない・・。でも、今だけ・・そう思って握りしめる。ちょっと涙目でキラさんを見上げると、表情筋が珍しく動いてる。


ものっすごい嬉しそうに笑ってる!!


「わ、笑うところじゃないのに!!」


こっちは、心配で心臓止まりそうだったのに!!!その後も、色々考えちゃってたのに!!!キラさんは、そんな私を嬉しそうにずーっと笑って見てる。


「・・心配してくれて、嬉しい」

「遠征に行った時はいつだって心配してます!!」

「ああ・・」

「きょ、今日は訓練・・すごかったから・・もっと心配しましたけど・・」

「ああ」


はい、いつもの回答ーー!!!言葉ー!!もっと出して!!あとずっと笑わない!!ここは真剣なところですよ?


「もー、キラさん!私の心配してる気持ち、本当にわかってます?!」


「嬉しい・・・」


キラさんが、嬉しそうに笑う。

いや、それは知ってますよ?知ってますけど、どうしてここに来て・・そんな天下の宝刀みたいな一言を言ってくるんですか?!ええ、顔は真っ赤ですよ、文句ありますか?!



「今日、甘えたいって言ってた」

「うっ、言ってましたね・・。でも、今胸いっぱい、お腹いっぱいで十分な感じなので、もう結構かと・・」



言いましたね・・そんな事。

忙しいからもう忘れてるかな〜なんて思っていたんですけど、私の事は一つも忘れないのがキラさんでしたね?うっかりしてました・・。


そろっと目を逸らして、キラさんの腕の中から抜け出そうとするけど、びくともしない!そうでしたね・・、あんな火の雨、氷の雨の中、私に守護魔法をかけられる余裕と体力ありますもんね。


「俺は甘えたい」

「キラさん、割と通常運転では?!」


「ナル」


静かに響く声が耳元で名前を囁く。

どうにか逃げ出せないかな・・と、思うのに、キラさんの腕はいつの間にかぎゅっと抱きしめて、そのままベッドに私の体を横に倒す。



「・・・えーと、キラさん・・明日も早いのでは?」


「問題ない」

「いやぁ・・私としては問題が大有りで・・」



その言葉を最後に、キラさんに愛でられまくるのだった・・。

言葉は本当に気をつけなければならない・・。

沈黙は金だ!!!いい子の皆、よく覚えておこう!・・・・そんな事を考えた夜だった。





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― 新着の感想 ―
[一言] ナルちゃん、そんなことを考えられるならまだ大丈夫だ(≧∇≦)b
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