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・INORI・  作者: 曖昧 もこ
6/8

占術師・橋本昂祈【INORI/06】

◎人を惹きつける占術師・橋本昂祈を知る小説◎

INORI/06


今日は勤務初日。指示された8階エレベーター前で

私とタツキは真新しい制服に着替え待機していた。


間もなくして8階で止まったエレベーターから大谷と男性が降り何やら話しをしながらこちらに来た。


「おはようございます、現場まで迷わずに来られて良かった、今日からお2人の担当になる現場リーダーの黒川さんです」



「キリヤマさん、緊張しすぎ」って小声でタツキからまた笑われた。



大谷の横に居た細身の若い男性が黙ったまま頭を下げた。髪をブルーに染めているがこんなファンキーな人が現場リーダーとは驚いた。


黒川さんの頭はブルー。黒と青。なんかおもしろいなぁ…


「黒川君、後は宜しくお願いします。私は事務所に戻ります。石森さん、桐山さん頑張って下さいね」大谷はそう言って3階の事務所へ戻る為、再びエレベーターに乗った。



「黒川です、よろしく。石森君と桐山さんには今日梱包作業をしてもらう、それぞれの特性を見てから配属決めるから」


随分上からなタイプ…苦手だ…初めて会ったのにこのタメ口はありえないわ…


メモを取ろうとしていたタツキに黒川は

 

「今メモいらないだろ、何か書く事ある?」


「すみません!」慌ててタツキはメモ帳を胸ポケットにしまった。



完全に萎縮してるタツキが気の毒に見えた、今日から私がタツキを全力で守る!そう心の中で誓った。


どんな出会いにも必ず意味があるとしたら、この黒川から何か学ぶことはあるのか?もしあるとすれば、嫌な上司と上手く付き合う方法と対策位しか今は思いつかない。



「俺と来て」

黒川が右手を軽く上げて前を指差した。


なんか仕草もチャラい…上司とは到底思えないわ…



黒川の案内で梱包作業のエリアに来たが、誰もこちらを見ない。皆急かされているように慌ただしく作業をしている。



「今日梱包作業してもらうから面倒見てあげて」


黒川が言うと、1人の男性だけが反応し顔を上げて

「了解です」そう返事をした。


「了解です」と言ったこの男性従業員…黒川とはまた違うインパクトある雰囲気。髪は金色で女性が羨むような白い肌をしている、背はさほど高くはないが顔は小さくキリッとした一重、左耳のピアスが若干チャラいがかなりの男前。



ミュージシャン?それともハーフ?と私は咄嗟に思った。


普通じゃない雰囲気、しかし黒川とは違い優しそうなオーラを感じていた。



「橋本君ね、色々教えてもらって」

黒川は橋本と言う男性の肩にポンと触れながら言った。



橋本…?! 


名前のマグネットにあった

もしかして、祈りの橋本…??



「はじめまして、ハシモト アキノリと申します。分からない事があったら何でも聞いてください」


私たちに、にこりと笑顔を見せながら作業手袋を外した。細く長い指…すごく綺麗な手をしている。



うわっ?!きれいな指だ…ピアニスト?!


ハシモト アキノリ

ノリ…祈りの、ノリ…?



私は橋本と言う男性の首から下げてるID見たら


「橋本 昂祈」


そう書いてあった。




やっぱりこの人だったんだ!!


アキノリって読むんだ…名は体を表す。というが

この人の雰囲気にはこの名前が絶対に相応しい!!


私のテンションは一気に上がって行く。

橋本という人物を全く知らないが信じたい「何か」を持っていた。


この人只者じゃない、絶対…




「キリヤマさん、テンション上がりすぎ」って

タツキからまた笑われた。


タツキは私のテンションが上がってる本当の理由をまだ知らないが一刻も早く伝えたかった。



橋本 昂祈…


ハシモト アキノリ…


名前を念仏みたいに唱えてる私がいた。



next→【INORI/07】

・登場人物・


橋本 昂祈 Akinori Hashimoto(28歳・独身)

→世界一のギタリストを目指していたがある人物との出会いから占術に魅了され、沖縄で有名な占術家がセミナーを開催するという情報を得て急遽沖縄の浦添へと向かった。家元と呼ばれる占術のセミナーは橋本を更に夢中にさせ「占術と祈り」の密接な繋がりに興味を持った。占術とは相手の心を真摯に学び、己を深く知る為のものであり、幸せを願う事だけでなく突然この世を去った兄と繋がる事が出来る唯一の方法が祈りだと気づく。この気づきをきっかけに次々と奇跡が訪れるようになり、東京に戻った橋本は桐山 誓、石森 健騎と出会い本格的に占術師として活動する事を勧められ対面占術をメインとした占いカフェバー

【REZAR】(レサル)を新宿にオープンさせる計画を始める。REZARはスペイン語で「祈り」



桐山 誓 Chika Kiriyama (37歳・独身)

→長年勤めていた会社が吸収合併される事になり転勤を命じられるが辞退して退職した。この時2年交際していた男との別れも訪れ試練の日々を送る中、橋本と出会い占術の魅力を知りやがて夢中になっていく。



石森 樹騎 Tatsuki Ishimori (23歳・大学中退) 

→左手首に星のタトゥーを入れている。両親が離婚し2人の弟たちを支える為大学を中退し派遣社員となる。桐山とは同期。趣味はビリヤード。

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