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その頃同士


「ふぅ」


 浴室から出て髪に含まれている水分をタオルで拭きつつ、携帯片手にベッドに腰かけると思わず零してしまった吐息に、年を感じてしまい。

 苦い笑みを顔に浮かべつつ、手にした携帯でSNSアプリを選択し、今日出会った仲間とのトーク画面を開いた。


 変わらずそこに戦のアイコンと、戦のスタンプがある事を確かめて。久々に弾む思いに、自然と顔は緩んでいく。


 せっかくの所謂聖地、と呼ばれるべき場所なのになんら取り沙汰される事もない地元でも、戦の認知度は低く。作者自体は名の知られた人なのに、何故だか上がらない知名度の為、地元としても取り立ててバックアップはしないという悪循環。


 地元でもそうなのだ、当然どこへ行ってもそうだろう。

 むしろ、知っている人が、ファンが自分の他にも本当に実在するのだろうか? なんて疑ってしまう程に、誰に聞いても知らないと言われる現実。


 これは仲間を見つける事は叶わないなと、諦めていたところ。 


 求め続けていたお仲間と、まさか出張先で出会えるなんて思ってもみなかった。


 朝から散々道に迷っていたの自分に、あの時彼女が声を掛けてくれなかったら、道案内を買って出てくれなかったなら。

 何も知らずにそのまま別れ、今日もまた独りの寂しさを感じていただろう。


 そう思えば、優しく手を差し伸べてくれた彼女には感謝してもし足りない。


 まだ話したりないと思いはしてもそれぞれに仕事があり、名残惜しく別れたその日に、思いがけなく早く訪れた再会は居酒屋で。


 朝にあった時とはまた違う様子で笑う彼女は、酔っ払いらしく顔を赤く染め何やら楽しそうに話しかけてくる。

 大概が一人で完結していたけれど、その姿はなんともまぁ可愛らしく。


 友達と来たらしいけど大丈夫かと、余計な心配さえしてしまう。


 あぁ嫌だ。年は取りたくないものだと、さながら自己嫌悪している時に突然のおススメをされ。ぎゅっと手を握って訴えかけてきた彼女に、また可愛いなと思ってしまった。


 そんな彼女は自分の番が来るとすぐに身をひるがえし、またねと手を振ってくる。

 小さく振り返し、彼女が入った後すぐ来た自分の番に、トイレを済ませ出てみてもそこに彼女はいなく。


 自分たちに割り振られた部屋に戻り、おススメされたのだからと長芋を食べてみれば彼女の言葉の通りに美味しかった。


 そこまで思い返し、ふと時間を見れば社会人としてはそこまで遅くはない時間。

 それならいいかと、メッセージを送る事にする。


 おススメ通りに長芋の素揚げを食べた事、美味かったと文字を打ち込み。

 続いて、戦のキャラクターが靴を側に置いておやすみなさいと言っているスタンプもタップした。


 このネタが分かってくれる相手に送れることが、本当に嬉しくて。

 その相手が自分より若い、年下のそれも可愛い女の子でいいのかという事は今はまだ横に置いておこう。


一旦これにて〆させていただきますが、まだ続く予定では一応あります。

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