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道士

広間には大勢の男たちが居並ぶ。

玉座に座る男が、口を開いた。

「それで、摩羅からは何か連絡はあったのか?

・・それ・・について。」

両手を胸の前で組合わせた若い男が頭を下げつつ、前に進み出た。

「直ぐに知らせが来るものと思われます。」

「フム、それからで間に合うのか? 

 他国よりも、早くに行動を起こすのがそなたの仕事であろう、項照大臣。

 班可将軍に出立の準備を整えさせなくて良いのか?」

その言葉に、大臣の脇に控えた男が数歩進み出た。

大国の将軍という任を与えられたにしては、若い。

彼が拝礼するより先に、別の男が口を開く。

「恐れながら申し上げます。

 班可将軍が一国の兵を率いて向かうとなれば、相手国とは穏やかに事を済ませられません。

 ここは一つ隠密裏に行動できる者を使うべきかと。」

「ほうお~元徳大臣、なにか良い考えがあると?」

「はい、他国の関心を引かずに、それも当事国にも怪しまれずに。

 かのモノをとらえることが出来る者たちを差し向けてはいかがでしょうか?」

「ふむむ・・それは、あの者達のことかな?」

「精鋭の者、火の10人程で足りるかと。」

 元徳は長い髭を片手で撫でつけながら、後ろを振り向いた。

「皆の者、ここへ!」

彼の声に応えるように、背の高い若い男が白い長衣を着た男達と共に進み出る。

「たかが道士10人で、ことが成せるのか?」

怪訝そうに項照が片眉を上げた。

元徳はその言葉に笑顔を返す。

いや、そんな穏やかなものではなく。

『まあ、そなたは見ておれば良いのだ。

この俺様がすることを!』

 と、言わんばかりの態度だった。

「おまかせあれ。この芳藍はこの国一番の道士ですぞ!」

その名前を聞いて、広間がざわついた。

「芳藍ですと? あれは、北荻の者ぞ。」

「子供ではなかったか?」

「5年ほど前に我が国に破れた、王室の傍系ではないか。」

「そうだ、異国の者だ!」

「余所者に、大役を任せるとは?」

口々に避難の声が上がる。

玉座の男は片手をあげて、騒ぎを鎮めた。

「ふうむ・・あの者をか。確か、そなたが後見人であったな。」

「はっ、陛下。左様にございます!

出会った時は子供でしたが。

その頃、既に名高い道士の弟子でありましたから。

その後の成長は著しく、今では火の長として部下をまとめる程になりました。」


「そうか。」

王は頷いて跪く道士達を見まわし、中央の男に目を止めた。



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