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説明回、らしきものです。
初夜の後、エロメイドからギークくんの情報を多少得ることができた。
意味不明なきっかけで始まった熱い夜を経て、彼女は毒気が抜かれた状態であったため、揉め事になることなく多少の質問をすることができた。
3日後にはギークくんは処刑されてしまうらしい。見せしめのためだ。そしてそこで俺という存在のお披露目も行われるらしい。随分と急いで事が進められている。戦時中だからだろうか。
ギークくんは今、拷問でもされているだろうかと聞いてみたが、それはない、とのこと。
スパイからなにかを聞き出す訳、みたいなことでもないのだから、拷問の必要もないか。
しかし、3日とは、随分と短い。
その間に、俺がこの城を抜け出し、この世界でやっていくことの目処を立てつつ、ギークも逃さなくてはいけない。
かなりむずかしそうだ。
ただまぁ優先順位としては
1.自分の脱出
2.ギークくんの救出
となる。
そりゃそうだ。
死にたくないし。
キツそうだったら、ギークくんについては無理しない。
バッチリ見捨てる覚悟は出来ている。
ごめんね。
ということで、とりあえずこの世界のことを知るために、城の書庫を訪れた。
この先の戦争のために情報が欲しいといったら簡単に入る許可がおりた。
今日は1日かけてこの世界のことを知ろう。
役に立ちそうな本を何冊か身つくろい、必要そうな情報から拾い読みをする。
文字は問題なく読める。
願い事が叶ったおかげだろう。
まず、この世界で最大の宗教は【ルーブ教】というらしい。神ルーブを唯一神とするかなり苛烈な宗教のようだ。
神はこの世界を創造し、産まれた生物を教育、管理している存在で、また、この次元の外の存在とも接触することができるとされている。
この世界が汚れ、腐敗した時、外の次元から使徒を召喚するのだと言い伝えられている。
もし神ルーブが、あの白い世界で俺が話した神を指すものだとしたら、かなり正確なものだ。
太古の昔には、神との謁見を許された人間もいたらしい。 これだけ正確な情報が聖典にあるのだ。おそらく本当にいたのだろう。名前は【大賢者ポルトス】というらしい。
また、この城は大国サリアの中央に位置し、他の国に行くには相当な距離を移動しなくてはならない。
また各町には騎士団の指揮の下、守護兵が警備に当たっているらしい。警察のようなものだろう。しかし実務としては、治安の維持よりも、教義や国に背く異端者を取り締まるもののようだ。これを切り抜けて安全なところまで行くことができるのか……?
そしてこの世界の貨幣制度、存在する職業、ざっくりとした歴史、人間以外の種族についての情報を拾った。大部分は前の世界の歴史やゲームの知識が生かせそうだ。
ここまで調べて思ったのは、まずは何とも身を守る術が必要だということ。それにはスキルが必要だ。
スキルは大きく分けて【身体的スキル】と【魔術的スキル】があるらしい。身体的スキルは剣術や料理など体を使うスキル。これは鍛錬によって習得することができるらしい。一方魔術的スキルは魔法陣を敷いて、契約を行うことで行使できるようになるとか。
またスキルのレベルアップは、自身のレベルアップとともにスキルポイントを得て割り振るらしい。これは魔術的スキルと身体的スキルの両方に共通する。
ああ、夢のスキルポイント10000pt……あれが叶っていたら俺の人生は変わっていたはずなのに。まぁ、もう悔やんでも仕方ない。
とりあえず、俺が目指すべきは、魔法の習得、だと思う。
身体的スキルは鍛えて習得してる暇もないし、城の中で、俺が下手な剣術を稽古してるところなど見られたら、実際は激弱なのがバレてしまう。そしたらメイドにまた偽物判定されて今度こそ殺されてしまいそうだ。
魔法……魔法陣での契約をしなければ。