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彼女がゾンビに着替えたら

作者: ヨコカタアツシ

僕の彼女が死んでしまった。

不幸な事故だった。


彼女は歩きスマホに夢中になって、電車のホームドアを乗り越えてしまい、そこに電車が…。


来たのだが、それはホーム下のスペースに逃げ込むことで回避し、スマホで見ていたBLマンガで、推しの攻めが実はリバで受けになってしまったことを苦に、部屋で首を吊って自殺したのである。


享年24歳、無職。

Aカップで色気はないけど、笑った顔がすごく可愛くて、僕の大事な彼女だった。


僕は落ち込んだ。

一時は後を追おうかとも考えたが、好きなアニメの第二期放送が来年に決定したので、死ぬのは止めた。


そこで僕は、彼女を蘇らせることにしたのだ。

黒魔術とかウィルスなんてちゃちなもんじゃない、想像を超えるやり方で…。


盆戻りサービスに申し込んだ。

死体を火葬せずにサービス会社へ郵送すれば、お盆には死者が帰ってくるという、アレだ。


お盆限定コースは勿論、シーズンオフに20%オフもあるし、好評につき月額12000円で365日、死者と一緒に暮らせる。


僕はそれに申し込んだ。

彼女の家族は、死者と言えど食費やメンテナンス費もかかるし、何よりニートで何の生産性もないので嫌がったが、僕が全料金を負担し、責任をもつと誓ったことで、認めてくれた。


そんな訳で、僕のもとへ彼女は還ってきた。

ゾンビになって。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


巷では、ゾンビ化すると死者は生前の人格を失い、狂暴化するという習性があるらしい。

だが、僕の彼女は違った。


今、僕の部屋で大人しくテレビの前に座り、生前と同じようにPS4のコントローラを握っている。


生前と違う点は3つほど。


まず、プレイしているのはバイオハザードではない、コールオブデューティである。

自分がゾンビになったことで、ゾンビを殺すことには抵抗があるようだ。


だからか分からないが、苦手としていたFPSで人間を殺すのに夢中になっている。


次に、やれ操作感が悪いとか、演出がゴミだとか、僕の枕が臭いとか、そもそも僕自身が臭いとか、しょっちゅう悪態をついていたが、あんまり喋らない。


というか、うまく喋れないようで、ゾンビらしくウーウーと唸って意思表示をしている。


最初はちょっと戸惑ったが、1ヶ月も一緒に生活していると、大抵のウーの意図は分かるようになった。


そして、これは生前と同じだが、ちょっと臭い。


僕のことを不潔がる癖に、風呂嫌いで3日に1度しか入浴しなかった彼女は、今は毎日風呂に入れても、夏場に生ゴミを放置したときのような匂いがする。


おおむねこんなところで、近所のトイプードルを食い殺した以外は特に問題なく、僕と彼女の新生活は3ヶ月を迎えた。


「まどか、僕は明日仕事あるから、そろそろ寝るね」

「ウー…」


「お腹へったら、テーブルの上の鶏肉を食べてね」

「ウァウ」


「それじゃ、おやすみ」

「ウゥ…シネ…」


彼女は喋れないけど、僕と心は通じあっている。

僕はこれからも、ゾンビまどか、略してゾマと二人で幸せに暮らしていくんだ。


僕は安心して眠りに落ちた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「広山さんの死因、知ってる?」

「ゾンビの彼女に食われたらしいね」


「パラヒキニート女を再生させるから、そんなことになるんだよな」

「そうそう、いくら喪男で彼女なんか他に出来なくたって、あれはないよな」


「やっぱり働いてこそ人並みだよ。な、広山」

「ウー」


「あっ、そのデバッグ明日までに終わらせろよ。ゾンビに睡眠時間なんて要らねーだろ」

「ウゥ…シニタイ…」

ギャグを書きたいなと思いました。

やっちゃいました。

反省していません。


ゾンビっていいよね。

僕、ゾンビ大好きです。

食べちゃいたいくらい。

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