プロローグ
明けましたね。
今年もとうとう明けましたね。
皆様、明けましておめでとうございます。
皆様にとって、お猿な年になりますように。
ウッキウキッな年になりますように。
昔々、あるところに
おじいさんとおばあさんが住んでいました。
2人が住む場所は、山や川が多く
デパートやスーパー
いえいえ、コンビニなんてもってのほか
病院や銀行などの必須場所なんてものはなく
そんなものと引き換えに、自然豊かな場所で暮らしていたそうな。
そんなある日
おじいさんは、山へ柴刈りに
おばあさんは、小川へ洗濯に向かいました。
おじいさんは雑木林の中を進みます。
その道で出会うのは
傷を負った美しい鶴に
舌を切られた可哀想な雀
木々に隠れるようにして並ぶお地蔵様や
そして、竹藪で出会った愛らしい少女
お婆さんは、大量の衣服とタライを抱え込み、川上の方へと足を運びます。
そこで見つけるのは
小さな種を嬉しそうに持ち歩く蟹や
陸の上をのんびりと歩く亀
悪を働く狸に
川下から、どんぶらこと流れてくる巨大な果実
これは昔々、遥か昔のお話で
現実のようで、夢のような
いや、夢なんかじゃない。
この世界では、全てが現実で
似ているようで、全く違う不思議なお話。
少なくとも、私の知っているお話ではないお話の世界だった。