表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/48

反省会

 妙椿との戦いに苦戦し、撤退した日の夜。

 旅籠の一室で反省会。


 取り仕切るのは私。

 八犬士たちを率いた私しか妙椿に勝てないと、村雨くんが言うから、この場を仕切るのも私と言う事になった。



「えぇーっと。まず私が知りたいのは、幻術の効果は無かったと言う事でいいのかな?」



 角ちゃんに向かってたずねる。



「面目ない。

 なぜ効果が無かったのか分からないのですが、妙椿は確かに我々を認識していたようです」

「信乃ちゃんの雷撃が不調だった時みたいな感じかな?」

「でも、妙椿も幻術を仕掛けてこなかったのはどう言う事でしょうか?」

「そ、そ、それは」



 信乃ちゃんの問いかけに村雨くんが口を挟んで来た。

 でもなぜだか、どもって、目を泳がせている。

 見つめていると、泳いでいた目が普通に戻って、話を続けた。



「どうしてなんでしょうかね」



 げっ!

 何が言いたかったの??

 それだけのために口を出してきて、どもったの??


 頼りにならなさそうで、ならない村雨くん??

 村雨くんから視線を信乃ちゃんたちに移した時、一つの仮説が思い浮かんだ。



「妙椿の一番の妖力である幻術を使わないなんて事はあるのでしょうか?

 例えばなんですけど、幻術と幻術がぶつかると相殺されるとか?」



 そう言い終えてから、仮説の検証をしてみた。

 

 猫バスが化け猫に戻った時、幻術が幻術を打ち消したとしたら?

 仮説は正しいことになるけど、幻術を使ったのは誰?

 幻術を使う角ちゃんが打ち消したということになる?

 あれ? 角ちゃんはあの時、いなかったし。


 この仮説は成立しない?

 そんな思いで小首を傾げた時、親ちゃんが言った。



「それは分かりませんが、とにかく、妙椿の幻術は我々には効果がないのかも知れません。

 それこそが、我々八犬士が揃うところに意味があるのかも知れません」



 その言葉にみんなは頷き、私に視線を向けた。

 私の確認を待っている。そう感じた私はこの事に言葉で賛同する事にした。



「理由はともかく、妙椿の幻術に惑わされない事は確かみたいですね」



 そして、もう一つの疑問を口にした。



「あと、気になるのは竜ですね。

 村雨くんはあの竜と戦っているんだよね?

 なんで、妙椿と戦っている時に現れるのかな?」

「私には分からないです」



 きっぱりと言い切った。



「あ、そうですか」



 私もそう言い返すしかない。



「あ、あ、あ、あれは」



 私の言い方が冷たかったので、何か言葉を付け足したいのか、村雨くんが何か言おうとしている。でも、またまたどもって、目が泳いでいる。


 なんで?

 どんな時にどもるの?


 最初は大言壮語を吐く時だと思っていたけど、なんだか違う気も。

 見つめていると、泳いでいた目が止まった。



「私には分からないです」



 きっぱり言い切った。

 それだけのために、口を挟んで、目を泳がせていたの??



「あ、そうですか」



 村雨くんに返すには、この言葉しか見つからない。



「いずれにしても、あの竜は妙椿を襲うのであって、我々の敵ではない感じです」



 信乃ちゃんの言葉に、私は頷いた。



「なので、とりあえずは竜の事は相手にせず、妙椿を倒す方法を考えればよいのでは?」

「でも、不確実性を抱えたまま戦うのは」

「いえ。竜の事は考えなくていいでしょう」



 私の言葉に村雨くんが口を挟んで来た。

 今度はどもりもせず、目を泳がせてもいない。



「そうかなぁ?」

「はい。あの竜の事に関しては、私が一番詳しいですから」

「だったら、どうして二回も妙椿との戦いの最中に姿を現したのかな?」

「それは偶然です」

「いや、それ、説得力ないし」

「り、り、り、竜は」



 またどもって、目を泳がせている。



「偶然です。が、保証します。敵として考える必要はありません」



 泳いでた目が止まると、きっぱりと言い切った。



「偶然かどうかはともかく、竜が現れる前に妙椿を倒せばいいのではないでしょうか?」

「じゃあ、まあ、そう言う事で。

 まずは妙椿の倒し方を考えましょう」



 そう言って、妙椿との戦い方を話し合った。

主人公の仮説、正しいかったとしたら、幻術を使える人が他にもいた??

そして、竜はどんな時に現れていて、次も現れるのか、現れないのか??

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[勝手にランキング]よかったら、クリックお願いします。
評価・感想いただけたら、うれしいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ