第8話 昼休み
「キーンコーンカーンコーン」
授業終了のチャイムだ。
朝の朝礼が終わってから授業が流れる滝のように進んでいき、気が付くともう昼休みになっていた。
愛乃の様子だが……授業中ずっと俺の方を見てくる。
なんで見る必要があるんだ愛乃。
俺は、愛乃にじっと見つめられている状況で授業を受けていた。
そんな状況でもちろん授業に集中できるわけがない。
と、そんな事をぶつぶつ考えていると愛梨の声が聞こえた。
愛梨「お~い奏太! 一緒に学食いかない?」
奏太「あぁ、悪い。 今日は購買にするわ」
愛梨「そう、分かったわ」
愛梨に学食に行かないかと誘われたが、今日は購買で済ませることにした。
普段、学食はよく混むのであまり利用しない。 いつも行列ができているからな。
並ぶのはとてもつらい。
その点購買は学食と違い、人がかなり少ない。
だがパンとジュースくらいしか売っていないためバリエーションが少ない。
奏太「愛乃。 パン買いに行くか?」
愛乃「そうね、行きましょう」
こうして愛乃と俺は購買へと向かうことになった。
その道中俺は愛乃に色々質問した。
奏太「なぁ、愛乃。 授業中なんで俺の方ばっかり見るんだ?」
愛乃「そーたの顔が面白いからよ」
俺の顔が面白い? その言葉を聞いて、俺は笑うしかなかった。
というかバカにされている気がして少し腹が立ってきた。
などとそんな会話をしているうちに購買へとたどり着いた。
ちなみに、俺の教室から購買に行くのにはそんなに時間はかからない。
だから俺のクラスでは結構購買に行く人が多いようだ。
奏太「愛乃は何食べたい?」
愛乃「そーたに任せるわ。」
奏太「じゃあメロンパン2つとクロワッサン2つで」
愛乃の希望を確認し、俺はとりあえずパンを2つずつ選びお金を払って買った。
そして、教室へと戻った。
春樹「あっ、奏太! ちょうどいいところに」
奏太「なんだよ春樹」
教室へ戻ったとたんに春樹が急に俺に話しかけてきた。
春樹「一緒に食べないか? あっ、愛乃ちゃんも一緒にさ」
どうやら春樹は俺と愛乃と一緒に昼飯を食べたいらしい。
奏太「どうする? 愛乃。 俺はいいけど」
愛乃「一緒に食べてもいいわ」
春樹「よっしゃ、じゃあ食べようぜ」
こうして、俺と愛乃は春樹と一緒に昼食を食べることにした。
春樹も俺たちと同じで購買で買ったパンを食べるようだ。
春樹「ところでさ、愛乃ちゃんって奏太とどういう関係なんだ?
奏太「ウッ……ゴホッゴホッ!!」
突然春樹がそんなことを言い出したから俺は食べていたパンでむせてしまった。
一方の愛乃は特に表情は変えずに淡々とパンを食べていた。
そして食べながらこう言った。
愛乃「先生が言ってた通り奏太とは親戚よ。 居候させてもらってるわ」
春樹「ほ、本当なのか?」
愛乃「えぇ。」
春樹「でも、ずいぶん急な話だよな。 ちょっとおかしくないか?」
奏太「あ、あぁ! 昨日の夜に急に愛乃が家に来たんだよ! 俺ビックリしちゃってさ」
春樹「そうなのか?」
春樹は疑うような表情をみせたもののどうやら俺の話を信じてくれたらしい。
よしよし、ここはうまく切り抜けたぞ。 俺は少し安心した。
その後も、俺たちは雑談をしながら昼食を食べ続けた。
もちろん愛乃が妖精であることは言わずに。
もし、そんな事をいうと、後後どうなるか分からない。
そして、しばらくすると「キーンコーンカーンコーン」とチャイムが鳴った。
どうやら昼休みが終わるようだ。
俺たちは、雑談を終了し再び自分の席へと戻り昼から行われる授業の準備をし始めた。
そして5時間目、6時間目と授業がトントン拍子で進み、いよいよ放課後が訪れた。相変わらず愛乃は俺の方ばっかり見てきて授業に集中できず、ひどい有様だった。
愛乃「もう、学校終わったの?」
春樹「あぁ、やっと終わった……疲れた~」
愛乃「なんで?」
と、当の本人はこんな様子だった。自覚なんてしているはずがない。
そんなことを思いつつ俺は家に帰る用意を始めた。
春樹「帰るか愛乃」
愛乃「分かった」
今日は愛乃と二人で帰ることにした。
そして俺と愛乃は教室から出て、家へと帰って行った。