第6話 同居生活の幕開け
奏太「なぁ、アルファ。 お前さっきここに住むって言ったよな?」
アルファ「えぇ。 言ったわ。」
奏太「なんでだ? というか嘘だろ?」
アルファ「本当よ。 いつ幻獣が現れたりするか分からないでしょ? だからなるべく一緒にいたほうがいいと思うの」
奏太「でもだからって俺と一緒に住むなんて」
ちなみに現在俺は父親と二人でこの家に暮らしている。
俺の父親は普通の会社員だ。毎日夜遅くまで働いているから平日はあまり顔を合わすことがないし、アルファが見つかる心配はいらない。
だけど、まさかこんな事になるなんて。
もちろん美少女と一緒に暮らすのは大歓迎だが、話が急すぎて頭が混乱している。
アルファ「私じゃ迷惑? だめ……?」
俺の心を突き刺すかのようにアルファは目を潤ませ上目づかいでそう言った。
やめろアルファ。 破壊力がやばすぎる。
というか女の子にこういう風に言われたの今までの人生の中で初めてかもしれない。そう考えた俺は少し悲しくなった。
奏太「はぁ……分かったよ。 アルファ」
アルファ「えへへ~ ありがとそーた!」
奏太「でも寝れるところ俺の部屋くらいしかないぞ? どうするんだ?」
アルファ「そーたの部屋で寝るから心配しないで」
奏太「おい」
こうして俺はアルファと共に一緒に暮らすことになってしまったのだ。
美少女と二人だけで住むっていうのは男なら一度は妄想したことはあるのではないだろうか。 全国の彼女がいない男たちよ。 すまない。
奏太「というか一緒に暮らすのはいいけど、ずっと家にいるのか?」
アルファ「……そーたとずっと一緒がいい」
アルファのその言葉に俺はドキドキしてしまった。
というかなんかエロい感じがするのは気のせいだろうか。
こんな事を言われたのもおそらく人生で初めてだ。
奏太「じゃあ、俺が通ってる学園に転入するか?」
アルファ「う、うんっ!」
即決だった。
ちなみに俺が通ってる学園は神童学園といってこの地域では比較的大きい学園だ。 偏差値もそれなりに高く、スポーツ系の部活もかなり盛んなので毎年入学者が多い。
事情があれば、書類を書くことで転入できる。
でも、だからと言ってアルファが転入できるのは保証できない。
……こんな事を言うとアルファに心配をかけるかもしれないと思った俺はあえて言わないことにした。
奏太「でもお前妖精だよな? いけるのか?」
アルファ「えぇ。 問題ないわ。 力を使ってるからずっと人間の姿のままでいれる」
奏太「そっか。 でも名前はどうするんだ? アルファだとおかしくないか?」
アルファ「そうね、じゃあ今日から私の名前は朝野 愛乃にするわ」
奏太「おいおい、俺はいいけどお前はいいのかよそれで」
アルファ「えぇ。 アルファっていうのも仮名だし」
奏太「そ、そうか……」
どうやら本当にアルファは名前を変えてまで学園に転入したいと思ってるようだ。
でもいくらいつ幻獣が現れるか分からないといっても、学園にまで来ることはないんじゃないか? と思う。 でも、もし現れたらそれこそ大惨事になりかねない。
奏太「そういえばアルファってなんでこんな姿をしてるんだ? 何か理由があるのか?」
アルファ「アルファはダメ。 これから愛乃って呼んで」
奏太「お、おう。 分かった。 愛乃ってなんでこんな姿してるんだ?」
愛乃「……万人受けしそうな姿だからよ。」
こうして改めて愛乃の姿を見てみると……
とても可愛い。 というか可愛すぎる。
黒髪のサラサラなロングストレートでまさに絵にかいたような美少女だ。
胸もそれなりに……ってなにを考えているんだ俺は! 落ち着け。
でも普通の男なら胸も見てしまうのは当然の事だと思う。
ちなみに俺は犯罪者予備軍ではない。
奏太「確かに、万人受けしそうな姿だな。 可愛いよ」
愛乃「!? あ……ありがと」
そう言うと愛乃は頬を真っ赤にして、うつむいてしまった。
こいつ意外と恥ずかしがり屋なんだな。 恥ずかしがってる姿もとても可愛い。
奏太「なぁ、愛乃。 いつ転入するんだ?」
愛乃「明日よ、早速学園に電話しないと」
奏太「明日転入するのかよ!」
愛乃「えぇ。 だから学園の電話番号とパンフレットかなにかちょうだい」
奏太「おう、分かった。」
俺はそう言うと机の上にたまたまあった学園のパンフレットをアルファに手渡した。
奏太「このパンフレットの裏に電話番号も書いてるから。 多分大丈夫」
愛乃「ありがとうそーた」
奏太「お前が電話してる間、風呂に入ってもいいか?」
愛乃「えぇ。 いいわよ」
俺は愛乃が電話してる間風呂に入ることにした。
そしてバスタオルと下着とパジャマを持って脱衣所に向かった。
そして服を脱ぎ風呂へ! 勢いよく浴槽にジャンピング入浴!
この瞬間がたまらないのだ。
身も心も浄化されていくような不思議な感覚に陥ってしまう。
奏太「はぁ~……生き返る~……」
おっさんか俺は! だけどおそらく大体の人がこう思うはずだ。
それぐらい風呂は極楽だ。
そして、湯船につかりながら俺はアルファ……じゃなくて愛乃のことや自分が幻術というのを使えることを今一度考えていた。
昨日の俺はまさかこんなことになるなんて思ってはいないだろうな。
それほど今日起きた出来事の数々は衝撃的なものだった。
15分程度だろうか……いろんなことを考えていると少し酔ってきた。
そろそろ湯船から出て体を洗うとするか。
そう思い俺は湯船から出てシャワーを浴びようと立ち上がった。
その時だった。 不意に風呂のドアが開いたのだ。
愛乃「あっ……」
奏太「あっ……」
ヤバイぞ。 これは。 まさか愛乃が風呂にくるなんて!
しかも今の俺は裸でアソコも見えている。
すると、愛乃は俺のアソコを見て顔を真っ赤にして大声で叫んだ。
愛乃「キャ~~~~~~~~!!!!!!」
奏太「おい愛乃!」
愛乃は顔を真っ赤にして猛スピードで走って行ってしまった。
まぁ普通こうなるよな……。 でもあいつなんで風呂に来たんだ?
そんな疑問を抱きつつ俺はシャワーを浴びて体を洗い始めた。
~10分後~
奏太「ふぅ~……さっぱりした。」
愛乃「……」
奏太「なぁ、愛乃。 なんでさっき風呂に来たんだ? 俺ビックリしたんだが」
愛乃「こっちもビックリしたわよ!! その……そーたのアソコも見えてたし……」
愛乃は顔を真っ赤にしてそう言い放った。 いやいやおかしいだろ。
風呂なんだから素っ裸になるのは当たり前だ。
奏太「……なんかごめんな。愛乃」
愛乃「う、うん」
俺は一応愛乃に謝った。 いくら事故とはいえこれは仕方がない。
というかなんで俺が謝ってるんだよ、俺が悪いのか?
奏太「それで学園の件はどうなったんだ?
愛乃「明日から通うことになったわ。 2年B組だって。」
奏太「俺と同じクラスか」
愛乃「そーたも2年B組なの!?」
奏太「あぁ。 そうだよ」
どうやら愛乃は俺と同じ2年B組になったらしい。
俺と同じクラスであることを知った愛乃は小さい子供のように目を輝かせ何とも嬉しそうに喜んだ。
奏太「で、先生はなんて言ってたんだ?」
愛乃「明日登校したら職員室に来るようにって言ってたわ。」
奏太「転入の手続きとかいろいろあるもんな」
愛乃「そうね。 ねぇそーた」
奏太「ん? どうした?」
愛乃「ねむい、おやすみ……」
奏太「!? 愛乃?」
どうやら愛乃は眠いらしい。 というか寝てしまった。
地べたに。 まぁ無理もない、もう夜の11時半過ぎだ。
俺も今とても眠い。
奏太「俺も寝るか……」
愛乃が寝たのを確認して俺も寝ることにした。
地べたに寝ている愛乃が風邪をひいたら大変なので布団をかぶせた。
奏太「おやすみ……愛乃」
俺は愛乃にそう言ってベッドに行き横になり目を閉じた。
そして俺の意識は遠のいて行った。