第3話 黒髪の妖精
???「スーッ……スーッ……」
奏太「……え?」
俺はその光景を見て思わずそう口にした。
目の前に広がる光景……それは黒髪の美少女が俺のベッドで寝ているという
なんとも非現実的な光景であった。
漫画とかアニメならあるあるの光景だけどどうも現実に起こると非現実的でしかない。
ってかこれ普通の人から見たら犯罪者扱いされそうで怖い。
俺は勇気を振り絞って寝ている黒髪美少女に声をかけてみることにした
奏太「あの~……大丈夫ですか?」
とりあえず咄嗟に出てきた言葉がこれだった。なにを言ってるんだ。
そもそもここは俺の部屋で帰ってきたら黒髪の美少女がいて……
って頭が混乱している。危ない危ない。
その後も俺は声をかけ続けたが女の子から返事がない。
どうやら本当に寝ている様子だった。
とりあえずこのまま起こすのはかわいそうなのでこれ以上声をかけずに俺は部屋を出ようとした。その時だった。
???「んーっ……ここは?」
奏太「!? 気づいたのか?」
どうやら女の子は目を覚ましたようだ。
俺は目を覚ました女の子にすぐさま質問を投げかけた。
奏太「あの、ここ俺の部屋なんだけど?」
くっそ、バカか俺は。挑発的な態度をとってどうする。
でもそれが本音だった。
誰だって自分の部屋のベッドに知らない女の子が寝ていたらこういう反応をするはずだ。
???「……あなたが朝野 奏太?」
奏太「えっ」
女の子が俺の名前を知っている?ちょっと待て、おかしい。
親戚の子にこんな可愛い女の子はいないし、顔も今初めて見たのになんでこの子俺の名前を知っているんだ。
奏太「お前は、一体誰なんだ」
???「……私は、妖精」
奏太「……は?」
女の子の口から出た言葉は自分が妖精だということ。
予想外の答えに俺は凍りついたようにその場に立っていた。
妖精……この言葉を聞いて一般の人はどういう反応をするのだろうか。
やっぱり俺と同じ反応をするのだろうか。
俺は妖精と名乗る女の子と会話を続けた。
???「私の名前はアルファ。 妖精。 あなたに会うためにここに来た。」
奏太「なんで俺に会うために?」
アルファ「あなたは選ばれし者……」
奏太「は? 俺が選ばれしものだって?」
黒髪の女の子は自分の事をアルファと名乗った。
そして俺の事を選ばれし者だと言った。
……ちょっと待て、俺はごく普通の学生だ。
選ばれるようなことは何もしてないぞ。妖精の言ってることは真実なのかと疑った。
アルファ「そう。 あなたに世界を救ってほしい。」
奏太「ちょ、ちょっと待て。 急すぎるだろ。 それ本当なのか?」
アルファ「本当。 あなたしかいない」
俺に向けられたアルファと名乗る女の子の目は光り輝いていた。
いや、でもこれは罠かもしれない。
そ、そうだドッキリっていう可能性もあるんだ。 落ち着け、俺。
だけどアルファのまなざしは変わることはなかった。
その時だった
ズドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
突然、近くに隕石が落ちたかのような轟音が響き渡った。
最初は地震が起きたのではないかと思ったが、そんなことはなかった。
アルファ「一緒に来て」
奏太「えっ?」
アルファと名乗る妖精はそう言うと俺の腕をひっぱり猛ダッシュで家を出て
どこかへ向かった。