第1話 退屈な日常
日常ってなんだろう。
俺はふとそんな事を思った。
毎日、習慣的な動作を繰り返して人間の俺たちは生きている。
いや、人間だけではないかもしれない。
人間以外の生き物も習慣的な動作を繰り返して生きているんだと
俺はそう思っている。
???「フワァ~~」
と、大きな欠伸をした俺、朝野 奏太は今日も単調な生活に嫌気がさしていた。
女の子にモテたい、お金持ちになりたい、ニートになりたいなど普通の男になら
なにかしら夢があるだろう。いや、ニートになりたいはどうかと思うが。
とにかく、みんな何かしら夢があるはずだ。
だけど俺は特に〇〇になりたいとかそういう夢はないんだ。
そろそろ夢を見つけたいなと思っているんだが......
そう簡単に夢は見つからないんだよな.......
???「おい、奏太大丈夫か欠伸なんかして」
奏太「ん?......あぁ春樹か。」
のんきに欠伸している俺に話しかけてきたのは、友達の黒田春樹。俺の数少ない友達の一人だ。俺と同じ2年B組でいわゆる腐れ縁みたいなもんだ。勉強はできないがスポーツはそれなりにできるらしい。
春樹「なんか考えてただろお前。毎日つまんないな~とか思ってたんだろ?どうせ」
奏太「なんでわかるんだよ」
春樹「お前とは長い付き合いだからな、それぐらいわかるって」
さすが春樹だ。こいつは超能力者かなにかか?
いくら付き合いが長いからって俺の表情を見ただけで思ってることが分かるってどういうことだよ!
春樹「なぁ、お前今日暇か?」
奏太「え? なんで?」
春樹「カラオケとか行かないか?」
奏太「ごめん、今日はパスするわ」
春樹「なんか用事あるのか?」
奏太「いや、特にないけど家でゆっくりしたいからさ」
春樹の誘いは正直嬉しい。カラオケとかもう半年くらい行ってなかったからな。
だけど今日は久しぶりに家でゆっくりしようと考えてた。
てか、いつものんびりしてるな俺は。
まぁとにかく今日は家に帰ろう。することは帰ってから考えるとしよう。
春樹「じゃあまた明日な!」
奏太「おう、じゃあな」
何回交わしたか分からない挨拶をし大きい鞄を肩に背負い
教室を出て家に帰ることにした。しかしこの時俺はまだ知らなかった。
いつもの日常が少しずつ消え去り始めていることを。