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ロークアンディルテは檻の中  作者: 紺野 柚季
1・夢の中の彼女のお話(えせ童話風)
9/12

1_09:鳥籠のお姫様のお話・4

 石畳の上に足を投げ出して座っている彼女は、黒の中、目を瞑っていました。

 それはいつもと同じ、変えようにも変えられないものなのですが、今日は少し違いました。


 隔離された、真っ暗闇の、鳥籠の中。


 目を瞑る彼女の視界は、赤で埋め尽くされています。


 次々と移り変わる場面の中で、耳をつんざく悲鳴と、怒号。

 きらめく銀に、散っていく、赤。


 聞こえるはずのないものが、見えるはずのないものが、鳥籠中に溢れます。


 これは、記憶の再現。


 彼女が心を壊した、その理由。



 望んでいない現象に、彼女はただ耐えることしか出来ませんでした。



 頬を伝う感触の、それが、せめて赤であればと。

 全て流れきってしまえばいいと、そう、それだけを願いながら。

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