1_06:罪の意識、嫌悪
いまだ口を聞いてくれない『弓使い』に、ロッテは誰が見ても分かるほどに落ち込んでいました。
「ロッテ、どうかした?」
『魔法使い』の言葉に、ロッテは弱々しい視線を送ります。
「なにがいけなかったのかは、分かった?」
いきなりいなくなったこと、だと、こくりと頷いて返しました。
ロッテだって、いきなりみんなが居なくなってしまったら、きっと心配するのだろうと、何となく分かり始めたからです。
「じゃあ、悪いことをした時は?」
「……ごめんなさい?」
「そう」
いってらっしゃい、と言って送り出す『魔法使い』にロッテはまた頷いて、『魔法使い』の部屋を出ていきました。
何回も何回も、それこそ泣きそうになりながら謝って、ようやく『弓使い』が許してくれたのは、夕飯の時間が終わってからでした。
* * *
ぽんぽん、と優しく背を撫でるように優しく叩かれて、とろりとした眠気が忍んでくるのを感じます。
だけど、ロッテは首をふってそれに抗いました。
「どうしたの、疲れてるでしょう? 寝なよ」
「ねるのは、いや」
怖い夢を見るからいや、そう零したロッテに、『魔法使い』は少し考えて、その頭を抱き寄せて言いました。
「大丈夫。ぼくがいるから、怖くないよ」
そうして、優しい声と優しい温度に、ロッテはいつしか、眠りに落ちて。
しかし、怖い夢は、不思議と近寄ってきませんでした。