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ヤンデレ乙女ゲームの主人公だけどコンタクトレンズを外すとVRMMO風異世界に飛んだ  作者: 鴉野 兄貴
運命って信じるかい?「は?」

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男の作者が女主人公を描くと安易にTS女主人公もしくはGL展開をするけど、ソレって女から見てキモイから

敏感肌 中国留学 ブルーベリー 使い捨てコンタクトレンズ コンサルティング

海外留学 オークション 中古車 ダイエット法

「と、いうことがあったのよ」

「そうなのですか」



 ここは日本国某所の私の家というべきアパートである。

 市子の『コンサルティング』能力は本物で、私が家主である。

 何故?! 理由は目の前でインスタントラーメンをすすっている娘。

 今はいろいろあって『中国留学』を目指すお姫様を以前助けたからだ。

 税務署の追及を逃れ莫大な収入をなんとかごまかすべく私はアパートを買った。


 表向き私は元家主の養女ということになっている。

 実の両親? 私がヤンデレ乙女ゲームの主人公をするのが嫌だという正当な理由を告げたうえで『海外留学』もしない、ミッション系スクールにも行かないと言った程度で縁を切っている奴らには文句を言われる理由はない。


 むしろ何度も家賃三万円を待ってくれた元家主夫婦のほうが私たちにはありがたい。



 さて。お姫様だ。『ブルーベリー』ジャムをなぜかラーメンライスのごはんに塗っているこいつ。

 こやつは『敏感肌』とか関係ないほどスキンケア万全。『ダイエット法』には興味なしなギュッギュッギュなウエスト。キラキラ光るみどりの瞳は『使い捨てコンタクトレンズ』不要。

 私たちの隣でインターネットラジオを流すノートパソコンは『オークション』サイトが立ち上がったまま。

 お姫様は18になったら『中古車』を買いたいらしい。

 今からいろいろ見ているのだがお気に入りはコペン。あるいはロードスター。

 ……なぜに。



 え。あのあとゴールドさんとエーロスさんとラーズさんはどうしたのって?

 伸びてた。以上。



 さて。先ほど私たちがこの娘を助けたおかげで莫大な資産を手に入れたのは説明した。

 異世界の報酬は金塊とか、チタン(彼らはミスリルと呼ぶ)を魔法で錬成した武器や防具、工芸品だったりする。前者はヤクザであるおっちゃんがさばくとして、後者は確実に捕まるかもしくは明らかにオーパーツだ。


「バズーカ持ち歩くおっちゃんが?」

「さすがに刀剣は目立つ」


 聞くと真顔で返された。

 だからって学校のそうじロッカーにバズーカ入れていいワケないのだけどね。


 まぁ組長は学校に行くからとかねてから着たかったというセーラー服を身にまとう還暦過ぎなのでこの辺どうしようもない感性の違いを感じていた。


 だが。だ。

 目の前にいる女は組長みたいな比喩ではなく、もとより"住む世界が違う"ヤツである。

 例えばパンの耳が好物だ。お姫様なのに?!


「パンの耳はパンの外側にしか存在しない貴重な食材です。どうしてこの世界ではこれほど良質なパンの耳が捨て値で売られているのでしょう」


 素でそんなことを言う。そういえば遊園地の絶叫マシンに載せたら「どうして異世界の若い娘は好んで怖い目に遭いたがるのでしょうか。身分にこだわらず忌憚なく貴重なお話をいくらでも聞かせてくれる説教マシンのほうが良いと思うのですが」とか言い出す。



 つまり、価値観が抜本的に違う。



 余談だがマヨネーズは誰が食べても美味しいという考えはこの娘には当たらず、即座に吐きだした。壮絶に口に合わなかったらしい。

 そういえば茂宮が異世界の食堂でマヨネーズを作ってドヤ顔してたらぶんなぐられていたな。

 サルネモラ菌を処理するという発想があちらにはないので生卵とか致命傷になるらしい。

 この事実から導かれる結論としてマヨネーズが無いあっちの世界ではタルタルソースがない。

 古いレシピ本にはあるのだが誰も作らない。



 つまり昔誰かがすでに作っているっていうことになる。誰が作ったのかしらね。



「私たちの世界は料理だけはそちらの世界より発達しているようですよ」



 卓上コンロを器用に操る姫君という妙な光景。

 きわめて所帯じみているのだが彼女曰くあっちでは料理ができるのは女性の最低スキルの一つらしい。



 なんでも私たちの世界でいうところのIHコンロやら水道と蛇口などに該当するものが普通にあるらしい。

 加えて呪文をちょっと唱えただけで汚れ物がキレイになる。

 性格も素直だが、悔しいかな私はこの娘をすっごく重宝していると認めざるを得ない。

 ただ、先ほども言ったが。味覚が致命的に私と違う。



 まず、目玉焼きを作るのだがなぜか下にドロドロのパンの耳が入っている。


 パンの耳の上に目玉焼きとなる卵を入れ、水もしくは出汁を入れて蒸すのが向うの『目玉蒸し』という料理らしい。


 一般的かつ親しまれているのだろうが、私にはただ太るだけの巨悪というべき食べ物である。


 そうめんを茹でればそうめんつゆの代わりに納豆の入った味噌汁が出てくる。

 なんでも100年ほど前に国父が編み出した料理らしいが私の口に合うものではない。



 こうして甲斐甲斐しく世話してくれるとどっちがお姫様なのかわからないのだが。



「え? 良人の世話というのは幸せなものですよ。ひぃちゃん」



 彼女の名前はインヴィディアという。『嫉妬』という意味なのだがあちらでは『究極の他者愛』とみなされるらしい。


 名前ないモブじゃないのか貴様ぁ??!

男の作者の描く乙女ゲームものには女にとってありがたくもないGLキャラがなぜかいる(かもしれない)。

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