ひょっとしてこっちの世界でもヤンデレゲームの主人公?!
バイク ホンダ パソコン 激安 恋愛 ペニーオークション
海外留学 ニキビケア 航空券 懸賞金
エーロスは死んだと思うが、茂宮は表情が死んでいる。
別に悪い意味ではなく、怒り狂っているかららしいのだが。
「死体が無い。探すぞ」
『バイク』にまたがり私を手招き。
別に裸見られたわけでもないから、無理に追う理由もないのだけど。
犯罪者を追いつめると思わぬ痛手を受ける。
ってか。私は彼の背に抱き着いて一言。
「あんた妙に化粧臭いわ。『ニキビケア』しているの?」
「必要ないだろう。必要なのは風呂だ」
「なら風呂入れよ」
「入ろうと思ったらこの騒ぎだ」
そういってスピード全開。
あっという間に視界が動き、風がごうごう。
この世界でのバイクはとてもとても速い移動手段であり、追いつける生き物も少ない。
少ないっていうことはバイクより早く走る生き物がいるということだ。恐ろしい世界である。
「別に変態の『懸賞金』なんかいらないのだけど」
「『海外留学』の『航空券』程度なら買えると思うよ」
まぁそうかもね。でも今の私たちってあまりせっぱつまってお金必要じゃないし。
私は茂宮の背中に胸を押し当てていたことに気付いて手を緩める。
「おい。しっかりつかまれ……おいっ?」
「無理言うなッ?! セクハラッ! 市子やおばちゃんと違って大きくはないけど小さくもないッ!」
別に『恋愛』マンガみたいなやり取りをしたいわけでもない私たちはエーロスの姿を求めてバイクを走らせる。
「今わかった。『激安』『パソコン』を『ペニーオークション』で手に入れようとしたんだけど」
「ちょっと。ちょっと。走りながら何を話すのよ」
「お前のコンタクトレンズを奪われているっぽいんだ」
「え? 今なんていったの?!」
風が凄いのだけど。眼鏡があるので目は閉じずに済むけどノーヘルは本当に勘弁願いたいわ。
「取り返さないと元の世界に戻れん」
そ、そうね。
って。待った。
「おいこらまてやぁ!」
「?!」
急停止したのは私がバイクから飛び降りようとしたからだ。よくよく考えなくても死ぬ。
「あんた、茂宮じゃないだろうっ?!」
私は素早くバイクから離れる。
「よくわかったな」
「『ホンダ』じゃないしね。それKawasaki。私は好きだけど」
それに、茂宮は眼鏡の女には触られるのも嫌がるのだ。
ヤツは邪悪な笑みを浮かべるとその能面のような茂宮の顔を取り外して笑う。
それは以前自動車を操っていた貴族のボンボンのそれだった。
「エーロスに君は渡しませんよ。正攻法が通じないなら無理にでも」




