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バイト市議 (ショート・ショート)

作者: さきら天悟

号泣市議、


脱法ハーブ県議、


しかし、まだ知られていない問題地方議員がいた。


それは、バイト市議だった。



市民は無関心。

新聞、テレビのメディアにはこのおいしい情報は届かなかった。



それもその筈だった。

最大会派の痔診ん党はバイト市議を任命した市長の責任を追及しなかった。



「おい他の他の党との調整はとれたか?」


「はい、4ヶ月後、市長選挙の2ヶ月前に責任追及することでまとめました」


「今、追及できないのは情けないな~」


「はい、市長の人気は絶大ですからね」


「ああ、商工会長を擁立しようとしたら、断られた。

負ける戦はしないと言ってな」


「でも4ヶ月あれば、候補を立てられます」


「それに市議定数削減、議員報酬削減、政務調査費の公開とかの法案も

ウヤムヤにできそうだ」


「今回もギリギリ過半数は抑えてますが、

一人寝返ったら危なかったから冷や冷やしました。

政務調査費は美味しいですから、使いづらくなると市議のうま味が減っちゃいます」


「ああ、それにしても、あのバイトは何者だ?」


市長は汚職で捕まった議員を補充するためにバイトの若者を市議にした。

市長、市議の同時選挙まであと半年だったので、補充選挙をするのはムダと公言した。



「後援会長の3男でニートだったようです」


「でも何でだ。今まで改革で実績を上げてきた市長が。

なんで最後の任期にドロを塗る?」


「きっと後援会長に泣きつかれたんじゃないですか?」


二人の市議は高笑いを上げた。




4ヶ月が経った。


『独裁市長!第二の橋○か!?』


『身内を市議に』


週刊誌での追及が始まった。

不思議とこれまで責任を追及しなかった市議たちの記事は載らなかった。

裏取引が出来ていたのだった。


それから新聞、テレビで取り上げられ、

市議会での市長の責任追及は注目の的になった。


「この出張調査報告書、政務調査費の使途を見てください」


市議は市議やメディアに配布された資料を高々と掲げ、声を張った。


「中学生の作文です。それに使途が不明確です。

これでは税金の無駄遣いです。

このバイト市議を採用した市長の責任を追及します」


追及する議員はバイト市議の行動を常にチェックしていた。

ひょっとして、凄く仕事ができる人物だと困るのだ。

期待通り、普通の人以下の仕事でホッとしていた。


各党の追及も激しく、市長は沈痛な顔を下に向けていた。



市長は壇上に立った。

晴れやかな顔をしていた。


「しかし、彼の政務調査費の使用にはすべて領収書がつけられています。

だから、皆さんが使い道の議論ができるのです。

彼は立派に議員の仕事をしています」


他の議員は3万円以下の領収書を添付していなかった。


「そんなのは詭弁です。

彼には市議の資質、いや能力がありません」



「これを配布してください」


市長は市職員に資料を配る指示をした。


「これはある市議団の出張調査報告書です。

海外の観光地の調査という名目の旅行です。

その証拠にこのあと1年経っても議会に観光について何の提案もありません。

それに報告書自体も彼のものより稚拙です」


市長はバイト市議を指差した。


「彼はバイトで、月15万円。

しかし、市議には議員報酬、政務調査費で約2000万円支払われています。

これこそが税金のムダです」


議会は騒然となった。

混とんとして3時間後、時間切りとなり、議会の幕は閉じられた。



この市議会がテレビで取り上げられ、意見が2つに割れた。

『市長の独裁反対』と『議員削減』との意見だった。


混乱が続き、市長はついに市政の混乱の責任を取って辞職を表明した。

任期をあと3日残してのことだった。




3週間後に市長、市議同時選挙を控えていた。


「私は議員定数削減に命をかけます」


市長は立候補表明演説でこう宣言した。



演説を終えた市長はタバコを吸いながら、第一秘書に言った。


「これで、もう2、3期やれるな」


「私も職にふれずに済みました」


市長は今まで任期を3期、12年とを明言していたのだった。


市長は秘書にニヤリと笑った。

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