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海洋機構物語  作者: FORCE
混沌期
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強化アイテム

にゃん太の料理人レベル91は捏造設定です。

三日月同盟は様々なギルドの監視下にある。

ギルドハウスの中に入る事は出来ないので、外での情報が主になるが、それでも様々な情報を必死になって集めている。

そんな暇があるなら、別の事をすれば良いのに………と思われるかもしれないが、料理の秘密を知りたい商売人と暇人が集まれば結構な情報網になるのだ。


例えば三日月同盟のメンバーがアキバ下水道のボスを倒したと聞いたら、パーティーを組んでアキバ下水道を根こそぎ探索するなど、情報のかけらでも良いのでと思いつつ探索を続けているのであった。


海洋同盟の会議室。

「……食客?」

纏められた報告書を読みながらミチタカは質問する。

「ええ、ぬかりましたよ。まさかギルドに加入していないメンバーがいたなんてね。」

報告書を読みながら一同が頷く。

「にゃん太。〈双剣士〉Lv90………〈料理人〉Lv91だと?」

「三日月同盟の一員と結構仲良くしてましたから気になったんで調べたら、この結果ですよ。

 〈料理人〉はメイン職業に比べてレベルアップが早いですからね。あきらめずに料理していたらレベル91になっちまったんじゃないですか?

 つまりレベル91になったら味のする料理が作れるようになるんじゃ……。」

「………違うな。」

その意見にミチタカは反論する。

「へ?」

「考えてみろ。もしレベルで味がつくつかないが分かれるんだったら、相当量の料理を作る事になる。そりゃ経験も早くたまるだろう。

 もし91からあの食事を作っていたのなら92になっているはずだ。〈料理人〉はレベルアップが早いからな。」

「…………それもそうですね。味のする料理って結構レベル高そうですし。

 あっ、そういえば、ちょっと気になった事があるんですけど。」

「なんだ?」

「クレセントバーガー食っても、能力値上がりませんよね。」

その幹部の言葉にミチタカは頭を振る。

「あのなあ、旨い料理と能力値が上がる料理。どっちが価値がある?」

「いや、ゲームの時代だったらレベルの高い料理食ったら能力値が上がるのが普通だったじゃないですか!

 それなりの値段がするのに能力値が上がらないのは詐欺ですよ!!」

「ふざけるなっ!!」

その意見に対して真っ向から別の幹部が声を張り上げる。

「能力値が上がらないのが詐欺だ? あれだけ楽しみに待っている奴がいて、欲する奴が山のようにいるのを詐欺の一言で済ませて良い物か!!」

「………ですけど………今までそうだったじゃないですか!」

「………………。」

「………………。」

会議室に訪れる沈黙。

「………旨い物を食えるようになるのはそれだけで幸せ……か。」

ぼそりと誰かが呟いた。

「………能力値が上がる料理ってどんな料理だったんだろうな。」

「………味も何もわからない、無味乾燥な料理だってのは確かですね。」

しんみりとした表情で幹部達が呟く。

「俺達は食わんけど、実際に食ってるやつは何て言うんだろうな。」


森の中で数名の男達が必死になって食事をしていた。

「頑張れ! これを食えば1日筋力+10%だ!!」

もぐもぐと食べつつも、全員がまるで苦い薬を飲むように食べている。

「………毎日毎日能力アップの食事ばっかりでつまらないよ………。

 たまにはクレセントバーガー食いたいよ………。」

「馬鹿野郎! 俺達エリート部隊たる『黒剣騎士団』が『D.D.D』の奴等に負けてたまるか!

 だいたい、クレセントバーガー食っても能力値は上がらないんだぞ!!」

「……………俺達が食ってるのって実は食べ物じゃなくて薬なんじゃないのか?」

「……………気にするな。気にしたら負けだ。それによく言うだろ医食同源って。」

「医者はドーピング薬なんてくれないよ。」

その言葉を言いながらもメンバー達はもぐもぐと料理を食べていく。

「クレセントムーンの奴等は、毎食味のするハンバーガーを食えていいなぁ。」

「ハンバーガー毎食食っていたらあきるんじゃね?」

「ピザもあるし、何とかなるんだろ。」

「………どっちにしろ、俺達より良い料理を食ってるのは間違いないだろ。」

「材料費とかも考えたらこっちが高いんだよなぁ。」

話せば話すほど自分達が悲惨になってくる。

「もう薬漬けの生活は嫌だッ!たまにはまともな食事がしたい!!」

「おっおい落ち着けよ。薬漬けって………これも食事アイテムだろ。」

メンバーの一人がなだめるがその男の言葉は止まらない。

「こいつは食事じゃないッ! 只のポーションとかと同じ強化アイテムだっ!

 それもこれも経験値を貯める為だけに使ってるんだろ! 俺達は経験値ためるだけのフォアグラかよッ!」

そこまで言い切って、ぜえぜえと息をする。

「………畜生……畜生………。俺達一体何してるんだよ。」

誰も何も言えなかった。これ以上は何も言えない。何かを言えばどんどん自分がみじめになってきそうなので。


最初強がって勢力争いをしたのだが、結局は何も生み出すことなく戦い続けている。止め時すら見つからず対処方法すらわからない。

人が少なくなれば止まるかもしれないが死んでも甦るこの世界ではそれも期待できない。急速にレベルアップして強くなったとして俺達は周りから何と言われ続けるのか。

彼等は、後悔を開始していた。

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