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海洋機構物語  作者: FORCE
混沌期
2/13

海洋機構の危機

「……するってとなんだ?このままじゃ2年後には海洋機構が無くなっちまうって事か?」


海洋機構の会議室内でギルドマスターであるミチタカが報告書を見ながらそう答える。


「はい、《大災害》後の収入と、倉庫やギルドホールの維持費、パーティーメンバーの食費などの支出を計算するとこのままいけば2年後に金がなくなります。」


金が無くなれば維持費も払えなくなり、海洋機構は商品などの保護ができずに事業を縮小するしか無くなるだろう。それはつまり人員を削っていくことにもつながりかねない事態だ。


「………まずいな。」


食料アイテムが思うように売れず、武器や防具などの摩耗は基本的に大きな戦闘ギルドであったら専門の要因がいる。

1万人と言うのは多いように見えるかもしれないが、ログインしていなかった人員は《大災害》に巻き込まれなかったわけであり、商売相手の人数も減っているわけである。

支出の方は借りている建物の維持費を切れば支出などを抑える事はできる。しかし収入を上げる手段は今の所一切見当たらない。


今ある物が売れないのなら新しい物を作るしかない。しかし新しい物を作るには問題点が存在する。


『エルダーテイル』で物を作るには『材料』『レシピ』『サブ技能』が必要である。


新しい物を作るには新しい『レシピ』が必要である。しかし新しい『レシピ』を手に入れるには何らかのクエストを受け取る必要がある。新しいクエストを受けるには新しいクエストを探す必要があり、それには何らかのリソースを必要とする。

探すには時間がかかるがPKが存在する以上お金はあまり持ちたくない。しかしお金が無ければ始まらないクエストも存在する。

しかもその『新しいレシピ』の商品が売れるかどうかは別の問題だ。


例えば今のアキバで新しい『鎧』を売るとしよう。それを買うのは前衛職だ。それで全員が買ったらその次新しい『鎧』を売ったとしても全員が買うわけでない。

装備などは消耗品ではない為、次が売れないのだ。


ではポーションなどはどうかと言うと、これも難しい問題がある。HP,MPが休めば回復する以上、戦闘が予想されなければ誰もポーションを買ったりはしない。

戦闘ギルドが使用するポーションもあるが、それぐらいしかポーションは使用しない。

また、ポーションというのはそれほど種類が必要ではないというのも問題として存在する。

HP回復、MP回復、各種バッドステータス解除、能力値アップ、敵の能力値ダウン。これぐらいだろう。

前3つはともかく後ろ2つはいつもいつも使うわけではない。使用人数が減っている以上主力商品としては厳しい物がある。


ポーションの中でも一番価値が高いのが《EXPポーション》だが、これは通常の手段では作る事は出来ない。しかも効果がかなり高いために戦闘系ギルドが高い値段で買っているのだが、そこで起きている問題は皆も知っての通りだと思う。


食料なんかはどうかと言うと見た目だけ違って同じ味の同じ食感。これでは高く売るのはとても難しい。


新しいクエストを見つけるまで古いクエストは後回しにする。現在クエストを探す人達はどんどんとそんな方針へと進んでいき、それによって、『ゴブリン王の帰還』などの古いクエストが後回しにされ、後に恐るべき事態を引き起こすのだが、神ならぬ彼等の視点においては未だ知らぬ身である。

(最も世界中でこのような『ゲーム時はとるに足らないクエストではあるために《大災害》後ほおっておいて大被害を及ぼしたクエスト』は海外サーバも含めて幾つも存在しており、アキバの冒険者達が特別怠惰だったというわけではない。多分。)


売れるものが無ければ稼げない。売れる物を作りたくても自分で『レシピ』を作る事が出来ない。

金と素材と人だけは大量にあってもないない尽くしの海洋同盟。多すぎる人は金を食いつぶし、素材をどんどんと売るしかなくなっていく。


海洋機構は金銭的危機を迎えていた。

経済危機に関しては次回で解決します。

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