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海洋機構物語  作者: FORCE
空白期編
12/13

冒険者と大地人

今回、凡人A氏の『ヤマトの国の大地人』の設定を利用させてもらいました。

使用許可を出していただいた凡人A氏、まことにありがとうございます。

「まさか、ここで味のする料理が食べられるとはな。」

「ひょうでひょうひっくひひたへひょ(そうでひょ、びっくりしただしょ)。」

目の前の黒髪の青年の唸るような声に目の前の少女が目の前の食事を食べながら言う。

「『マリーナの店』……まさか<NPC>が知恵をもって食事まできちんと作れるまでいくとは思わなかったぜ。」

男はそう言って頭を抱える。

男の名前は、『たかや』。レベル90の守護戦士/アンデッドハンター。

少女の名前は『ドラゴンナックル』。レベル90の武道家/裁縫師。

両方とも『海洋機構』の構成員だ。

「<NPC>じゃなくて<大地人>!! ミチタカさん達もそう言っていたでしょ。」

「あっああ、そうだったな。」

ドラゴンナックルの言葉にたかやが反応する。

「でも、<大地人>が手料理を作るなんて、驚きだよね。」

ドラゴンナックルの言葉にたかやはやや小さめの言葉で女将に聞こえないようにいう。

「数だけでいうなら、<NPC>が多いし、先行できる奴もいるだろう。

 さらに言うなら屋台で堂々と作ってる奴もいるから、それを覗き見て真似をすれば、ある程度の物は作れるはずだ。」

「だ・か・ら。<NPC>じゃなくて<大地人>。何度も間違えない!あっ、私若鳥のハーブ焼き1つ。」

突っ込みを入れてドラゴンナックルがさらに別の代物を注文しようとするが、それはまだ味がついてないから出せないといわれたので、しかたなく、また同じ物を注文する。

「……少なくとも発想の差では<冒険者>と変わらないって事か。」

「<大地人>しか作れない物もあるひ、少なくとも<大地人>と協力するという方針も間違っていないと思いまふ。」

「まあな。やや素っ頓狂と思ってる奴もいるかもしれんが、俺としては反対する理由は無い。俺も同じのもう1つ。

 あと、食いながら喋るな。」

お待ちしましたーと女将の言葉を聞きながら二人は話を続ける。

「まだこの世界をゲームの中だと思っているの?」

「ああ。」

そう言ってたかやは言葉を一旦切る。

「小学生の頃から、このゲームを始めて、18年間ずーと楽しんでたんだ。

 それがいきなり、この世界はゲームの世界ではありませんと言われて納得できるわけがないだろ。」

「………じゃあさ、なんで、円卓会議の方針に賛成したわけ?」

「決まっている。1万人の冒険者が好き勝手に暴れたら、<エルダー・テイル>を支える経済システム自体が破壊されかねないからだ。」

「どゆこと?」

「外で話そう。なんかここにいると、食べすぎで腹壊しそうだから。」

そう言って、二人はマリーナの宿から外へと出る。ドラゴンナックルが流した噂を聞きつけたのか、入れ替わりに数名の冒険者が入っていくのを見た。


「……その実、オンラインゲームの経済システムなんて頑強な物じゃない。BOTを止められずにゲーム内の経済が破壊されて無くなってしまったオンラインゲームさえある。

 その実<エルダー・テイル>が20年の長い間続けることができたのは、そういうBOTの排除や、専門の経済学者達を配置して、ゲーム内の経済が破たんしないように頑張っていたおかげなんだからな。」

「専門の経済学者って………そこまでしていたの??」

「ああ、動かしていたのはNPCの価格設定とかの判断基準とかだけどな。直接的な介入はPCのやる気を削ぐから、なるべく間接的な方法で経済を動かして活動させていたというわけだ。

 そのおかげでゲーム時代、イベントとかを除いてそれほど<エルダー・テイル>の経済が危機になった事は無かった。」

「すごーい、元の世界に戻ったら会ってみたい!!」

「………会わない方が良いぞ。」

きらきら輝くドラゴンナックルの目を見ながら憂鬱げにたかやは言う。

「え???」

たかやの言葉にドラゴンナックルのが止まる。

「経済学者ってのは自分が正しいと絶対的に信じているからな。どんな豪腕商人よりも引き下がらないぞ。」

「そうなんだ……。」

「まあ、それはおいておいて、その実俺もどれぐらいの被害で影響が出始めるか計算できないし、多分紙と鉛筆だけじゃ計算できるものでもない。

 只、食料アイテムを売ってくれる奴がいなくなれば他のオンラインゲーム同様、いつかは経済が破たんしてしまうって事だけはわかる。

 だからこそ、俺は<円卓会議>の方針に賛成するし、シロエさん達が何を考えていようとそれは気にしない。」

「………。」

「NPC殺しは最悪、新規イベント潰しや新規スキルの追加ができなくなる可能性だってあるからな。

 普通は避けるもんだろ。最悪、重要NPC1人殺したせいでレイドボスを倒すための情報が手に入らない可能性だって出てくるわけだ。」

「………え??」

「何を驚いている?」

「だって、1人死んで重要な情報が手に入らなくなる可能性があるんだったら……今この瞬間にもその1人が死んでる可能性だってあるわけよね。」

「そうだ。そしてその補充は……誰もしてくれない。」

ドラゴンナックルの質問にたかやは静かに答える。それは戦闘系ギルドにとっても生産系ギルドにとっても他人ごとではない事件だろう。

「無論何らかの形で、情報を手に入れる事ができるようになる可能性もあるが……。

 N…大地人が消える事による被害は避け続けないといけない。」

「それを止める為に、何かをしなきゃいけないって事ね。」

「探索に商売に護衛にやらなきゃいけねえ事はたっぷりあるんだが……

 1万人いても人が足りねえ………。」

「砂糖も足りないしね。」

その実、アキバで不足気味な物は砂糖が一番に上げられた。

甘味を好む冒険者は多いが、ゲーム自体は砂糖を使わなくてもお菓子が作れる仕様だったため、ため込む必要が無かったのだ。

その為、備蓄量が少なかったため、急に集められない状況なのだ。

ナインテイルからの商人が船いっぱいのサトウキビを持ってアキバにやってきたのだが、それでもまだ足りなかったりする。

「……幾つか方法は考えてる。『豊穣神の肥料』を使うとかな。

 <大災害>前は趣味の一品だったんだがな。」

『豊穣神の肥料』。畑に使った場合、作物を30倍の速度で成長させる使用型制作級マジックアイテムである。

こういうゲーム時代においては、ちょっとしたサポート系のアイテムだったのがこちらの世界に来たことによって生産に使う幾つかのアイテムの価値が一気に上昇した。


アイテムの価値が上がった事で、それに使う材料の価値も上がっていくという簡単なインフレが起こっているが、今の所問題となるレベルのインフレは起こっていない。

と言うか趣味の領域の品物が実用レベルまで上昇した為のインフレなので、『適正価格になった』というのが適当だろう。


「なんか、こっちでの生活の為に色々とやってるけど、最終目的は元の世界への帰還だよね。」

「まあな。何があったのか、何が起こったのかすらわからない、誰の手で起こった現象なのか今のところさっぱりわかっていないしな。

 ま、MMOにはMMOのルールがあるさ。誰かが引き金を引かなきゃそれほどでかい事件は起きないだろ?」


帰還方法については、幾つかのアイディアが出され、それぞれで検証が進められている。

一つ目は、海外サーバは無視してヤマトの中でレベル100を目指すというものだ。レベルが100になれば何らかの帰還クエストがスタートするのではないかと言う意見だ。これについてはやや黙殺されている。

ゲームが現実化した以上、レベルだけでシナリオの発生が左右されるという状況は考えにくいからだ。

二つ目は、海外サーバの情報収集は最低限にとどめておき、ヤマトにおいて新しいクエストを探すという事である。

これについては、戦闘系ギルドの幾つかが探しているのだが、その『新しい』クエストが見つからなかったりする。

三つ目は、海外サーバに積極的に出向いて、帰還に必要な情報を集めまくるというものだ。もしこの世界が現実化していたとしたら、大魔道師、賢者と呼ばれる存在も現実化しているはずだ。彼等にあって情報を集めるべきだという意見である。

これについては、世界中を駆け回る必要が出てくる上に、藪蛇にもなりかねないとんでもない時間が必要になると予想される。

が、『若い』冒険者の中にはこれを支持する物達が結構いた。

結局のところ折衷案として、幾つかのメンバーが分担して作業を行うという形をする事になり、それぞれの方法での作業が進められる事になったのだった。


「……帰れないなら帰れないなりに、生活の手段も考えなきゃいけないからな。」

「……こういう物語だとさ。最後歴史がいきなりすっ飛んで歴史家の言葉で色々と書かれそうなきがするんだけど……

 せめて、アキバの冒険者達は極悪非道な存在だったって書かれなきゃいいんだけど。」

たかやについて。

ややログホライズンの冒険者としては歪に書いています。

この世界がゲームだと思っているからこそ善良であり続けようとしている系のキャラで書いてみましたけどどうでしょうか?

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