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海洋機構物語  作者: FORCE
空白期編
10/13

クエスト

<円卓会議>成立から2週間。ギルド間の細かな調整や法律の布告・実際に幾つかのプロジェクトを行うにあたっての注意点、問題点の議題。

ススキノの初心者の救出は戦闘系ギルドの方がメインで話が進んでいるので、生産系ギルドは手近な所から開始していくことにしたのだ。


海洋ギルドの会議室。

「アキバの幾つかのクエストについて消失が確認されました。」

その言葉に議場にざわめきが起きる。クエストの消滅はシロエが予測していたことだが、予測ではなく直接の言葉で説明されたはここが最初だったからだ。

「消失が確認されたクエストは大半が『1回起きた後、複数回起きるのが不自然なクエスト』です。

 それと『1日限りの期限クエスト』も起きてないみたいです。5月5日の特殊モンスターも話聞いた限り出てこなかったみたいですし、こっちの世界じゃ日付限定のイベントが起きないんじゃないですか?

 あと素材調達とか護衛任務とかの依頼は逆に増えていますね。特に食料関係ですがとんでもない依頼が舞い込んでました。」

そう言って、ぱらぱらと依頼書をめくる。

「現在は撤回されていますが、

 クレセントムーンのハンバーガー1個金貨500。作り方の<レシピ>金貨2万以上。

 ……全部の依頼を上手く回る事ができればこれだけで金貨500万枚を稼げますね。」

「それだけで500万稼げるって。おいおいいくらPCが1万人いるからってそれだけで500万集めるのは不可能だろ?」

「……いえ、NPC……じゃなかった<大地人>からの依頼が相当数あり、それらを含めれば金貨500万枚を超えます。」

あっさりと否定をしながら報告書をまとめてその幹部が言う。

「<大地人>もおいしい物を食べたいのは一緒……か。」

「あと、スパイみたいな人も結構入って来てるみたいです。」

「スパイだって?」

「はい、食事所で熱心に料理の作り方を見ていたり、<円卓会議>の事を熱心に聞いてたり。」

「へえ。」

「流石に離間工作をされていたら対処すべきなのでしょうが、流石にこの段階でスパイを捕まえるのは厳しい状況です。

 大義名分もありませんし。」

最終目標が現実世界への帰還である以上、それ以外の事への対処は少々後回しになっていくのは仕方がない。

と言うよりも、流石にこの段階でスパイを排除していったら、それだけで業務が吹っ飛びかねない状況なのだ。

その実、<円卓会議>はまだ対外的な活動を抑え込んでいるのだ。

NPCが<大地人>と呼ばれる生きた人間できちんとした生活を持っている以上、貴族みたいなとんでもなく偉い人の元に用もなく出かけて「なんか仕事ありませんか~~。」みたいな事をやるのは一般的な日本人の感覚からすればためらわれた。

はっきり言って押しかけて仕事を探してるようで、やや相手に迷惑をかけるのではないかと思ったのだ。

(これが後に『ゴブリン大進軍』と呼ばれる大事件を引き起こすのだが、神ならぬ冒険者達の身、その感覚がすっぽり抜け落ちていたのだ。)

無論、あちらからしてみればそんな事は無くいきなり冒険者がやってこなくて困り始めていたのだった。

そんな事を一切知らないメンバーは会議を続ける。

「……まあな。それと、ミチタカさん。輸送船ってこんな早く作る必要あるんですか?」

三大生産ギルドが共同で推し進めている計画の一つに新型輸送船の作成があった。

だが、メンバーの中には輸送船計画を疑問視するメンバーも含まれていた。

曰く、船が現在一体何の役に立つというのか、移動するだけなら他の手段でも良いのではないか。

まだ蒸気機関しか開発されていないのに大型船を作るとは何事なのか。

「まあな、移動については<妖精の輪>を使えば良いと思ってる奴もいるかもしれねえが、<妖精の輪>は陸上にしか配置されていないからな。

 もしかすれば海の中を探索する必要が出てくるかもしれない。そうなった時の為にも船は絶対に必要だ。」

そうなのだ。『ハーフガイアプロジェクト』で『セルデシア』が地球の地形を再現している以上、セルデシアの70%は海なのである。

その上、南極や北極などの極地には<妖精の輪>は配置されていないのである。

そこに移動するには冒険者の体一つで泳いでいくか、船を利用していくしかない。

ならば、高性能の船を作ろうという話になるのだが、ここで問題となってくるのがどのような船を作るのかである。

蒸気機関をすっ飛ばして内燃機関を作ろう!!と言う意見もあったのだが、内燃機関用の燃料が見つからずとん挫している。

幾つもの選択肢が存在しそれらを消していった先が現在の船の製造計画であり、その実、建造の計画だってどこに問題が出るのかわからない状況での作成だったりする。

これを船が必要になった! じゃあ作ろう! となった場合、活動はさらに遅くなることが予測される。

「それにな。俺達は『海洋機構』だぜ。海に出なくてどうするんだよ。」

その言葉に一同がどっと笑いだす。なんなんだよその理由はと言いたくなるかもしれないが、確かに海洋と名前をつけておいて陸上を基本に活動するのは変だ。

名前に合わせて目的を決めるというのも悪くない話だ。

「それと、最近ギルドじゃない集まりが幾つか生まれてるみたいですね。」

「ほう?」

その言葉にミチタカが聞き直す。

「現在までに<召喚獣にコスプレさせよう会><カレーの食糧的地位向上委員会><日本刀を手作業で作ろう会>などが確認されています。」

「そういえば黒剣のやつらの召喚士サマナーがウンディーネにコスプレさせていたのはそういう会に入っていたからなのか……。」

「いえ、それはどちらかと言うと規制……いえ入っていてもおかしくないですね。」

あんまりと言えばあんまりな台詞を言う報告者。

「そのあたりが、何か問題なのか?」

「いえ、そういう組織って、今までの『エルダー・テイル』には無かったじゃないですか。

 こっちも、もう一つの世界になってきたんじゃないかなって、そう思うようになってきただけです。」

「ま、ギルドの金に手をつけなきゃ大目に見るさ。……そんな中からひょっこり帰還方法が見つかるかもしれないからな。」

例えそんな組織が幾つもできたとしても、アキバでそこまで考える必要はない。そうアキバでは。

祝! 本編再開と言う事で、こちらも再開してみようと思います。


それと、この物語は1度空白期で切って、続きを別の作品として出してみようと思います。

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